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【投機の流儀 セレクション】筆者が考える「調査の野村」の実力と注意点

「調査の野村」としては創業40周年を期して鎌倉に野村総合研究所を創設し、多くの理系社員を入れて理系科学をも研究させた。これが日本の「総研」の嚆矢である。それは重油を食うバクテリアを培養して四日市の汚れた海を綺麗にするというようなビジネスモデルを作ったが、それ以外にカネになるものは開発されず、ついに総研の名はそのまま残し経済研究所を都心に移した。その経済研究所は当代一級の経済学徒が集結する場となった。
したがってその経済データは信用してよく、特に企業業績などミクロの世界には断然の強みを持つ。だが、マクロの調査では時に大間違いを犯すこともあった。1970年の大阪万博の来場者はケタを間違えて過少予測したし、出店場所ごとの繁盛予測なども間違えた。
さて、これと年末の株価予測とは別である。当たるか外れるかの問題ではない。
野村、大和、日興など大手証券は、全国津々浦々の社員が投資信託を売って歩くわけだから、将来は常に明るくなくてはならない。大手証券、特に野村、大和の万年強気の真因はここにある。
そして、外部要因が悪化すると予測値を引き下げる。外部要因が好転すると予測値を引き上げる。
これはちょうど、市場で指値売り注文を出したものの株価が上がるにつれ指値を上げていって遂に売りそこない、塩漬け株を抱いて大底圏を買う金もなく過ごす優柔不断な顧客に似ている。

【今週号の目次】
(1)当面の市況
 ●3分の1戻りは達して半値戻りに迫ったが、盛り上がりに欠ける相場
 ●海外の警戒材料山積み
 ●3月円高の可能性
 ●日本株は世界一の世界経済敏感株だ。来期業績への不安があればPERは世界的に見て割安水準であっても日本株は出遅れる
(2)自社株買いと12月決算低調と海外勢の動向
(3)昨年12月にデッドクロスをしたままの相場
(4)「過度の悲観」か「適度の悲観」か
(5)工作機械受注額、4ヶ月連続で前年比を下回る
(6)これからは円安傾向か円高傾向か
(7)FRBが抱えている二つの懸念材料(R・クー)
(8)英、EU離脱の着地点
(9)欧州金融システムに不透明要素は残るが取り敢えずは落ち着いている
(10)2四半期連続してGDPの年率比がマイナスならば景気後退と判断する
(11)中国の春節(旧正月)の商戦、今年は振るわず
(12)巨体中国経済が傾けば、またいで先へは進めない
(13)原油価格引き上げのためのOPECの積極的減産
(14)米株式アナリストが弱気の姿勢をとる二つの要因
(15)来年の大統領選挙は現代人類史に大きな影響を及ぼすことになる
(16)「ヘッジファンド全体が輝いていた時代は終わった」
(17)「歴史は繰り返さないが韻を踏む」
【蛇足】わが心の故郷、魂の道場、野村證券

【お知らせ】
「投機の流儀 セレクション」のアーカイブは、電子書籍の紹介サイト「デンショバ」にてご覧になれます。
デンショバ
http://denshoba.com/writer/ya/yamazakikazukuni/touki/

【プロフィール】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年シンガポール生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。野村證券入社後、1974年に同社支店長。退社後、三井ホーム九州支店長に、1990年、常務取締役・兼・三井ホームエンジニアリング社長。2001年、同社を退社し、産業能率大学講師、2004年武蔵野学院大学教授。現在同大学大学院教授、同大学名誉教授。大学院教授は世を忍ぶ仮の姿。実態は現職の投資家。投資歴57年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築、晩年は現役投資家で且つ「研究者」として大学院で実用経済学を講義。
趣味は狩猟(長野県下伊那郡で1シーズンに鹿、猪を3~5頭)、ゴルフ(オフィシャルHDCP12)、居合(古流4段、全日本剣道連盟3段)。一番の趣味は何と言っても金融市場で金融資産を増やすこと。
著書『投機学入門』『投資詐欺』(講談社)など多数。

ツイッター https://twitter.com/toukinoryugi

【著書】
『賢者の投資、愚者の投資』
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