詩「生きる物」
この世には玻璃の箱がある
一見、全て透き通って見えるものの、よく目を凝らすと澱みの泥が顕在する
それは距離によって左右され、近き物には箱が見えず澱みのみ存在すると思い込み、遠き物には泥が見えず麗しき玻璃のみ存在すると思い込む
だから、ある時玻璃の箱が崩れ澱みの泥が露出した時、人はそれを手のひら返しに拒絶する
澱みは金であり
澱みは性であり
澱みは時であり
澱みは力であり
澱みは質である
これは「人間」の話
この世には玻璃の箱がある
一見、全て透き通って見えるものの、よく目を凝らすと澱みの泥が顕在する
人間に疲れた者は癒しを求めて、それは泥が見えず麗しき玻璃のみ存在すると思い込み癒しを求める
だから、ある時玻璃の箱が崩れ澱みの泥が露出した時、人はそれを手のひら返しに拒絶する
澱みは牙であり
澱みは爪であり
澱みは角であり
澱みは棘であり
澱みは毒である
これは「獣」や「草木」の話
しかしながら、元来生きとし生けるものは全て玻璃の箱のみ存在して誕生した
澱みの泥は成長するにつれて増えていく
玻璃の箱も成長するにつれて形を変える
いずれ壊れないように
いずれ壊されないように
だけど、限界は手招きを忘れない
人間よ「澱み」を忘れていたのか
人間よ「玻璃」を忘れていたのか
人間よこの2つを忘れていたのか
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