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離したくないのが、恋

2Aの団子屋は
なんだかんだで盛り上がっていた。

美奈は結構一生懸命やっている。


ハッピなんて着ちゃって

すごい似合ってる。


「美奈。」

「あっ、ヒロー!!」


俺の顔を見るとニコリと微笑み
軽く手を振ってくれる。


「ライブお疲れ!!」

「うん、お疲れ。」

「行けなくてごめんね!!」


来る気なかったんだろーなーって。

なんか、そう思った。


「ギャラスタも出たのに。」

「うーん。
まぁ、私なんかより好きな人
いっぱいいると思うし。

お姉ちゃんとか、お姉ちゃんとか、
あとお姉ちゃんとか。」


そう笑いながら俺の隣に並ぶ。


「抜けて平気??」

「うん、大丈夫!!
ヒロが来たら抜けるねって
言ってあったから。」


そう笑いながら俺の腕を組み
密着してくる美奈。


「ベタベタしすぎ。」

「なに、いまさら。」


来賓の人達は少し冷めた目で
俺達を見たりしてたけど

それくらいが良い。


恋愛は引かれるくらいが丁度楽しいってのが

美奈の言い分。
俺も賛成。


「なんか食べたいのある??」

「うーんと…、あ、1Cのホットドックー。」


パンフレットを見ながらそう言ったけど
俺は内心うわっ、と思う。

1Cってたしか
征矢のクラスじゃね??


征矢は夏休み前、俺に

美奈奪います宣言してきた男子。


俺はその時格好つけて
なんか、余裕かましたけど

その後、冷静に考えたら
征矢はかなりイケメンで

今日の決定戦も
そういえば参加していた。


美奈もあれは時枝と見てたし

いまこのタイミングで会わせたくない。


「…ホットドックなら別に
ラグビー部のでよくね??」

「うーん、っていうか私、
1Cに行きたいんだよね。

千島くん会いたくて。」


…マジかよ。

マジかよっ?!


「…なんで??」

「さっきかっこよくなかった??
私、ああいう人
何気に割とタイプなんだよね。」


だと思った。


決定戦を見ながらそう思ったし
もっと言えば確実に

美奈に向けて喋っていた。


まぁ、さすがの美奈も

まさか交流ほとんどゼロの後輩が
自分に気があるなんて
考えないだろうから

今はまだ、『かっこいー』
で済んでるけど、そんなの


いつ、なんで、どうやって

キッカケがあるかなんて

誰にも分からない。


征矢にはなんか、
かっこつけたくせに

俺の言った言葉は
実にズルいものだった。


「妬かせるようなこと言うなよ。」


そう言った俺を見て
ふふー、と笑う美奈。


「やっぱりヒロ、大好き。」

「ははっ、嬉しい。」


ごめんな、征矢。

俺、マジで美奈好きなんだわ。


そう簡単に渡さないし


悔しい想いもしたくない。



離したくないのが、恋







**


相変わらず、ヒロは
私をきゅんきゅんさせるのが上手。


だけどなんか、

ちょっと違和感。


どうしてそんなに

真顔なの。






2011.12.27

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