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今年はさらに頼りになる彼氏


優二は私の隣で明るく手を叩く。


「いやー、年、明けましたね!!

今年もよろしくお願いします!!」


そう言いながら
私のお父さんにお酌する姿、


まるで部下。


「優二くん、今年も美波をよろしくな。」

「えぇ、それはもちろん!!」


社交的のレベルを越えて

優二のこれはもう才能なんだろうな、と
思い始めている。


「でも、優二くんは良かったの??
お家の方は大丈夫??」

「あぁ、家には明日、行く予定です。」

「伊達くんは??一人で年越し??」

「いや、あいつは今日から
家に帰ってますね。

あ、お母さんもどうぞ。」


さりげなくお母さんにも私にもお酌し

自分だけお茶。


「優二くんはお酒飲めないのかい??」

「いや、自分は未成年なので!!」


真面目な優二を

お父さんもお母さんも

すごい気に入っている。


初めて家にきたのは
高校生の時だったけど

もうなんかすっかり
私の家にも馴染んでしまい、


今年はとうとう

年越しまで我が家で迎えていた。


「いやー、それにしても
俺なんかが新年そうそう
上がり込ませて頂いて

本当、ありがとうございます。」

「良いのよー。
もう家族みたいなものじゃない。」


お母さんのその言葉に

優二はハハ、と明るく笑う。


しかし私はなんか、
その言葉はリアルすぎて
なんとも言えなかった。


「…私、新しいお酒持ってくる!!」

「美波も優二がいると
張り切っちゃうのよねー。」

「うっさい!!」


冷蔵庫に向かった私。


しかし、日本酒の場所が分からない。


「さっき、お父さんが
向こうに置いてたぞ。」


ビックリして振り返ると

優二が笑って立っていた。


「な、なんで知ってるの?!」

「いや、たまたま見たんだよ。」


そして私の隣から
よいしょ、と日本酒を持ち上げる。


「…ゆーじ、ごめんね??

ウチの親、年越しは家族と、とか
そういう固いタイプっていうか、」

「なんでゴメンなんだよ。
良い家族じゃねーか。

俺の家なんて
『今年は流星くんはどうするのー』とか
俺より流星だからな。」


そう笑った優二に
私はつられて笑顔になる。


「やっぱり優二が彼氏で良かったなー。」

「はは、なんだそれ。」


「今年もずっと

一緒にいてね。」


任せとけー、って

優二は日本酒片手に

軽く手を挙げた。



今年はさらに
頼りになる彼氏







**


今年の抱負??

うーん、なんだろうな。


まぁ、美波が就職するし

俺の就活も始まるしな。


現実見つつ、

美波を支えつつ、


前向きに頑張ります。






2012.01.01

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