見出し画像

彼女が可愛いすぎる先輩

私のバイト先で働く、
二つ年上の和泉さんは
なにかと、惜しい人だ。

なかなか仕事も出来るし
頭も普通に良い。

この間、バイトの人達で
ボーリング行った時も
かなりうまかった。

顔も、悪くはない。
別にイカしてる訳でもないけど。


だけど、なんか足りない。


「和泉さんて、
なんか足りないですよねー。」


たまたま二人で休憩になった時、
私がそう呟くと
ちょっと悲しそうな顔をした。


「なんで落合ってそんな冷たいの?」

「いや、なんか見てて思うんですよねー。
イタいです、なんか。

和泉さんて、イタい。」


私の失礼極まりない発言にも怒る素振りは特に見せず、最近流行りの辛口のお菓子を口に運ぶ和泉さん。


「俺のどこがイタいのか、具体的に教えて。
治せそうなら治すし、無理なら諦めるし。」

「いや、どことかじゃなくて。
なんか、全体的にイタいです。

メッチャ良い人なのに、
なんか足りない。」


私の答えに和泉さんは
なぜか少し笑う。


「なに笑ってるんですか。」

「いや、同じこと、彼女にも言われたなーって。
思い出したら、笑えてきた。」

和泉さんはそう言うと、
ハァ、と小さくため息をついた。


「つか、和泉さんて、彼女いるんだ。」

「まぁ、一応。」

「プリとかないんですか。」


私の言葉に和泉さんは
少し渋い顔をした。


「その顔は、あるパターンですね。」

「まぁ、あるっちゃある。」


和泉さんは携帯をいじって、
チラッと私を確認した。

「なんすか。」

「いや、お前、
女に対する評価メチャ辛いじゃん。
俺の彼女のこと、イタいとか言われたらやだ。」

確かに私は女優とかのこと
悪く言いがち。

和泉さんが好きなみーあのことも

ロリとかぶりっ子とか、
散々言ってる。


「辛く判定しまーす。」

「やめて!
彼女までバカにされたら俺、
お前に全否定された気持ちになるから!」


そう言いつつも和泉さんは
自信ありげに携帯を見せてきた。


そこにいたのは超、美人な女性で。


正直、何も言えなかった。


「…これ、一般人ですか?」

「まぁ、そのプリクラは
すごい盛れてるけどな。」


和泉さんは少し
得意げに笑っていた。

私はその和泉さんを初めて、

かっこいいなと思った。

「…和泉さん、
メッチャ彼女好きですね。」

そしたら和泉さんはなんか、
偉そうに笑った。



「あいつが俺に
ベタ惚れなんだよ。」


それこそ、ホントは
イタかったはずなんだけど。


「…和泉さん、キモいです。」
「はい、出た。毒舌落合ー。」


なんか、こんな奴にトキメくとか、

マジ悔しいんですけど。




彼女が可愛いすぎる先輩







**


後から他の人から聞いたら
和泉さんは、遠恋らしい。

なにそれって、思った。


一途愛とか、

更にイタいし、素敵すぎる。


まぁ、彼氏には
したくないけど。






2012.03.07

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?