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許しちゃうんだもん


今日は久々のデートでさ。

ショッピングって言うから
いっぱいお洒落もしてきた。


口紅だって新色だし

ほら、このスカートだって
この間買ったやつだよ。

靴なんて、頑張って
高いの履いてきてさ。


まぁ、どーせ

気付かないだろうけど。


「…優二、昨日
ショッピングって言ってたよね??」

「おー、言ったな。」


「こんなの、ただ

新しい掃除機買うだけじゃん!!」


高い靴も、

花柄のスカートも、

巻いてきた髪も、


この量販店じゃあ

浮きまくりじゃないっ!!


「ショッピングだろ??」

「アウトレットとか行くと思った!!」

「この間、山本と服買に行ったって
お前言ってたじゃんか。

まだ服買うのかよ??」


そりゃあ貴方みたいに
年がら年中ジャージみたいな、

年がら年中同じ服着回しみたいな、

年がら年中季節感ゼロとかなら


新しい服なんて

必要ないかもねっ!!


「女ってゆーのは
ウィンドウショッピングが好きなの!!」


私が強くそう言うと
へぇー、と言いながら
掃除機を見て回る。


私より、掃除機?!


「だいたい優二の家に
掃除機あるじゃんっ!!」

「壊れたんだよ。
言わなかったっけ??」


理由とかじゃなくて、


なんで掃除機買うために

私は早起きしてお洒落して

こんなウキウキしちゃってるのよ?!


「どっちが良いと思う??」

「どっちでも良いよ。」


なんか楽しそうに
掃除機動かしてみたり

パンフレット見たりしてさ。


真剣に選びすぎでしょ?!


「…どう違うのよ??」

「分かんねーなぁ…。

秀連れてくりゃ良かったかな。

あいつ詳しいから。」


…だったら私じゃなくて

秀と来なよっ!!


「私、あっち見てくる。」


別に新しいのが欲しい訳じゃないけど

そっちのがマシ。


「新しいの欲しいのか??」


そう言って顔をあげて私の方に来る。


「良いよ、来なくて。
掃除機見てなよ。」

「そんなに怒んなよ。

悪かった、悪かった。」


そして私を見て

少しだけ笑った。


「…なによ??」

「新しい服、可愛いな。」


あれ、気付いた。

珍しい。


「なに、突然。」



「ま、美波は

何着てても可愛いけどな。」



…あーあ、もう。


ホント、情けない。



許しちゃうんだもん







**


ムカつくのも、嬉しいのも

結局あなたのことが


どーしたって好きだから。






2011.04.21

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