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【配信書庫#1】GAMABOOKSリスナーが選ぶ2023年の一冊【全50冊】

親愛なる夜更かしのみなさま、こんばんは。
GAMABOOKS書店員の燈花ふゆです。

配信で紹介した本をまとめる「配信書庫」

第1回目の配信書庫では、2024年1月11日/1月18日/1月25日の配信より
「GAMABOOKSリスナーが選ぶ!2023年の一冊」をご紹介します。


前書き|アンケートの実施とYouTube配信紹介

◆アンケートの実施

2023年12月末~2024年1月にかけて、「あなたが選ぶ"2023年の一冊"はなんですか?」というアンケートを実施しました。

年末の思い付きで始めたアンケートですが、 たくさんの方にご回答いただきなんと合計46冊ものベスト本が集まりました!
みなさまご回答ありがとうございました!

◆YouTubeの配信アーカイブはこちら

アンケートで集まった本はYouTube配信にてご紹介しています。
アーカイブは前編・中編・後編の3部構成です。
だいぶ長丁場になってしまいましたが、一冊一冊あらすじを紹介したりコメント欄のみなさんとわいわい楽しんでおりますので、気になる方はぜひアーカイブをご視聴ください。
(本記事と本の紹介順は異なっております。)

それではさっそくGAMABOOKSリスナーの皆さんが2023年に出会った「とっておきの一冊」を覗いていきましょう!

📘小説|現代小説・ファンタジー

『夜行』森見登美彦

ホラー小説ですが怖い、というより怪しくて少し不気味といった感じです。でも、読み終えると綺麗な話だった、そう思える不思議で素敵な本でした。

『四畳半神話大系』森見登美彦

『宙わたる教室』伊与原新

『今日は天気がいいので上司を撲殺しようと思います』夕鷺 かのう

『光のとこにいてね』一穂ミチ

📘小説|ミステリー・ホラー

『地雷グリコ』 青崎有吾

『近畿地方のある場所について』背筋

『戻り川心中』 連城三紀彦

諸星めぐる(GAMABOOKS書店員)が配信でおススメしていたものです。どの短編も名作で、その時代の中に生きた人間の生き様と自然の美しさと真相が見事に調和しているミステリーでした。最後の謎を知ってしまえば、世界が崩れてしまうような気がして、何度も読みとめましたが、結局気になって読んでしまいました。ちなみにこれは大阪への旅行中に読んだこともあり、この本の内容を旅を振り返るように時々思い出して、美しかった余韻を感じています。

📘小説|SF

『走馬灯のセトリは考えておいて』 柴田勝家

世にも奇妙な物語で表題作がドラマ化され話題を呼びました。AIが目覚ましい進歩を遂げた今年一年は、現実とバーチャル、存在と非存在、本物と偽物、虚実の境目が溶け合い曖昧になった年でもありました。そんな中でバーチャルアイドルのお葬式というど直球な題材で現実に鋭く切り込んでいった本作は、読む人にハッとする瞬間を与えてくれる楽しい一冊になっていたと思います。殿に続け〜!

『クラーキの黙示』ラムジー・キャンベル

まさか翻訳されているとは思わなかったので

『プロジェクト・ヘイル・メアリー』アンディ・ウィアー

『地球の果ての温室で』キム・ヨチョプ

『天冥の標』小川一水

出会ったのは2023年より前なのですが、なんせ全10巻・計17冊と非常に長く、昨年ようやく読み終えたので、この作品を選ばせていただきました。 この作品の魅力は、なんといっても物語の壮大さです。巻によって時代や場所、登場人物が異なり、いくつかの物語に分かれる形になっていて、物語が進むにつれて徐々にそれらのつながりが見えてきます。後半になるにしたがって、あの話がここに影響してくるのか!と伏線が回収されていくのがたまりません!! また物語全体で感染症が重要なテーマになるのですが、コロナ禍以前に書かれているにもかかわらず、まるでコロナ禍を予言しているかのような内容に驚かされました。 長編の作品は読み終えるのに時間がかかるので、必然的に主人公たちと共有する時間が長くなり、心の中で彼らが生き生きと動いているように感じるので、僕は長編小説が大好きです。(上橋菜穂子さんLOVE)

📘小説|時代小説・官能小説

『書楼弔堂シリーズ』京極夏彦

『ヨガ義母』相内凪

今まで官能小説を読んだ事無かったけど、ワードセンスが凄かった。そんな言葉あるぅ?っていうのが詰め込まれてて、発想の凄さに驚嘆した(ここでは書けないけど)。様々な角度で楽しませてもらった。

📘小説|海外文学

『東方綺譚』マルグリット・ユルスナール

『星の王子さま』 バンド・デシネ版

ガマブに出会ってバンド・デシネを知って手にした一冊 絵もさることながら、翻訳も相まって、子供だけではなく大人にも楽しんでもらいたいと思った一冊です。

『遠い町から来た話』ショーン・タン 

某GAMABOOKのプレゼント企画でもらった

『いずれすべては海の中に』サラ・ピンスカー

📗ノンフィクション・評論・哲学

『感染症としての文学と哲学』福嶋亮大

『訂正可能性の哲学』東浩紀

『わが友、シューベルト』掘朋平

『詩については、人は沈黙しなければならない 』高塚 謙太郎 

『暁の宇品 陸軍船舶司令官たちのヒロシマ』堀川惠子

広島市の宇品にあった陸軍船舶司令部、通称「暁部隊」を主たる舞台に、「船舶の神」と呼ばれた田尻昌次司令官らの苦闘を書き残した手記をもとに克明に追っていきます。 海洋輸送の歴史、上陸作戦の近代化、太平洋戦争開戦に至る経緯、南太平洋域での船舶輸送作戦が史料をもとに語られていき、知られざる事実を掘り起こし、読者をひきつけていきます。 陸軍の船舶輸送、兵站に焦点をあてた読み応え満載のドキュメンタリー小説で、序文に書かれている 「旧日本軍最大の輸送基地・宇品には、この国の過去と未来が凝縮されていた」 という一文が本を読み終えた後、深い言葉として重くのしかかってきます。 テレビ番組の歴史探偵とかが好きな方なら多分、楽しめる作品だと思います。

『無人島に生きる十六人』須川邦彦 

明治36年5月、遠洋漁業調査船「龍睡丸」が太平洋沖で座礁し、
16人の船員が無人島に流れ着いた。
距離的にも文明的にも絶望的に断絶された世界で生き抜くという物語。
遭難事故モノというジャンルにおいては悲劇的なシナリオが連想されるのだが、ここに漂着した船員はすべて海のスペシャリストだったのだ!
全滅フラグを淡々と打ち消していく姿がじつに爽快な冒険譚(笑
これが実際に起きた事故を記したものだということに驚きます。
人間の知恵と行動力に賛美を送りたくなる一冊でした。
青空文庫にもあるので是非~

📗実用・教育

『土偶を読むを読む』望月昭秀編

未来を切り拓く古典教材 和本・くずし字でこんな授業ができる

『古書と生きた人生曼陀羅図』青木正美

本書はちくま文庫『古本屋群雄伝』と東京堂出版の『古本屋奇人伝』の合本です。どちらも現在は絶版です。古書通信社の本なので、八木書店1Fの右の棚にある、はず... 有名どころでは岩波茂雄や反町茂雄、一誠堂創業者の酒井宇吉(初代)、山王書房の関口良雄(この人については夏葉社から『昔日の客』が復刊している)など、近現代の東京の古本屋を人物から迫るなら必ず読んでおくべき1冊です。『東京古書組合五十年史』や『東京古書組合百年史』の補足資料となるはずです。

『板木は語る 』 永井 一彰

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『製本と編集者』笠井瑠美子

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『若竹集 : 創業期出版記録(竹苞叢書 ; 第1輯)』佐々木竹苞書楼

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神田の古書会館で開かれた即売会、「東西吉祥会」(2023年より開始)の第1回にて佐々木竹苞書楼(ささきちくほうしょろう)より出品されたのを見つけました。2023年に買った中で最も高い本で、諭吉3人飛ばしました。京都の本能寺対面で今も営業している1751年創業に創業した古書肆の記録で、当時の出版記録など、近世出版史の一側面を垣間見ることができる貴重な資料です。 因州和紙を用いており、さわり心地が非常によい和綴じの本です。 NDLに入っているので、『東西書肆街考』(岩波新書)にも出てくる老舗書肆の歴史を知りたい方はぜひ読んでみてほしいです。現在、佐々木竹苞書楼は和本を中心に取り扱っているので、実店舗も行ってみると非常にいいかもしれません(単価高めですが安い掘り出し物もあります)

📗教養・画集

『「前衛」写真の精神:なんでもないものの変容』瀧口修造・阿部展也・大辻清司・牛腸茂雄

素晴らしかった。展覧会の図録という括りを超えて、写真と言葉の、どちらかだけでは成り立たない物が、そこにあると強く感ぜられた一冊。好き。いい。

『わからない』佐内正史

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📗エッセイ・自己啓発

『いつもひとりだった、京都での日々』宋 欣穎(ソン・シンイン)

台湾から京都へ留学に来た著者。その暮らしの中で出会う人々について書かれたエッセイです。 真っ暗な部屋で暮らす人、情熱的なタンゴを流すおばあさんなど…。 留学直前に体験した喪失から来る寂しさと個性的な人々の面白さの入り混じる不思議な本でした。

『手紙屋 僕の就職活動を変えた十通の手紙』 喜多川泰

📙漫画

『ROCA』いしいひさいち

春に中国地方を旅行していた折、宿泊先の岡山市内をぶらぶらしていると、古本屋の店先に「本店と東京タコシェのみで販売」と書かれた漫画本が積まれているのが目に留まりました。四コマの大家いしい先生が自費出版したストーリー漫画ということで一部では話題になっていたのですが、その時の私はまったく知らず、なんとなく縁を感じて購入。内容は、歌手を目指す地方出身の女子高生と、彼女を支えるヤンキーの女友達の友情物語。ちょうどその日に立ち寄っていた玉野市が舞台ということもあり、いしい先生の絵の力と構成の妙にはまり込んで一気に読み終えました。
旅先での出会いがとても鮮烈だったので今年の一冊に選びました。

『夢十夜ネオン街の蜘蛛と蝶』滝端

https://www.ichijinsha.co.jp/gateau/title/%e6%bb%9d%e7%ab%af/#%e3%83%8d%e3%82%aa%e3%83%b3%e8%a1%97%e3%81%ae%e8%9c%98%e8%9b%9b%e3%81%a8%e8%9d%b6

続編含め一気買いしたので厳密には一冊ではないのですが。

『司書正』丸山薫 

来年に向けて展開が気になるのは、こちらの連載漫画です。いまのところ第1巻が刊行されています。大王陛下のみに仕える「司書正」その役割は、すべての書籍を記憶して、大王陛下の求めに応じて暗唱することだった。司書正が交替するシステムや、そしてどの司書正に対しても1名だけ決められる側女の役割。まだ何も分からなくて、想像の幅は広がります。この先をゆっくり待ちたいと思います。

『神田ごくら町職人ばなし』坂上 暁仁

江戸の工芸職人がテーマの漫画作品。作り手から見ても、これほど手しごとに迫った丁寧な取材と緻密な描写は見たことがありません。 セリフのない絵だけのコマが特に秀逸で、匠たちの流れるようなルーティンワークも、息が止まるような集中力で張り詰めた空気も、見事に描き切っています。 興味の入り口って、いろんな所に開かれているのだなと感じさせてくれる作品。この漫画に触れた多くの方が「工芸はいいぞ!」という出口に導かれることを期待します。次巻が待ち遠しい! 

『ほろ酔い道草学概論』zinbei

📕辞典

三省堂 現代新国語辞典 第七版

三省堂の国語辞典の中でも特に新語に強い辞書です。
本書にユニークな語釈も多数あって、読み応えは十分です!
僕は、「辞書は複数冊持つべし!」とする辞書オタクですが、1冊だけ手元に置いてみようかな?という人に十分勧められる国語辞典です!

おまけ|GAMABOOKS書店員が選ぶ2023年ベスト本

『北欧こじらせ日記』週末北欧部chika

海外エッセイの中でも一番好きです

萬金丹チカ子選

『YOKAI NO SHIMA
日本の祝祭 ― 万物に宿る神々の仮装』シャルル・フレジェ

これをきっかけに東北旅したし、よりいっそう民俗学を現地で感じる意欲につながった!

諸星めぐる選

『破獄』吉村昭

記録文学ですが、冒険小説もびっくりの血沸き肉躍る圧巻の面白さです

桃仁しの選

『エモい古語辞典』堀越英美

デビューしてすぐの配信でご紹介した一冊で、思い出深い本です。
色々なエモい言葉を堪能できる、読んでも眺めても楽しい一冊ということでベスト本に選びました。

燈花ふゆ選

後書き|感想とまとめ

アンケートで集まった46冊、加えてGAMABOOKS書店員4名(2023年12月当時)のおすすめの本4冊、合計50冊をご紹介しました。
いっぱい!大ボリューム!!
こうやってならべてみると壮観ですねぇ

改めてアンケートに回答してくださったみなさま、ありがとうございました!

一言で「本が好き」といっても、どんなジャンルの本が好きかはひとそれぞれ。
今回のアンケートではGAMABOOKSリスナーの幅の広さを想像させる、多種多様なジャンル・嗜好の本が集まったな~と思います。

なかなか他人のおすすめの本、それも一年間で読んだ本の中で一番よかったなと思う本を聞く機会は少ないので、「こういう本あるんだ!」「これが世間では人気なのかな~」と集計していてとても楽しかったです。

ちなみに、複数人から推薦された本もありました。
2023年に話題になった本はやはり人気な様子。
でも被りが3冊だけだったのは意外だったかも?

プロジェクト・ヘイル・メアリー(2人)
近畿地方のある場所について(3人)
訂正可能性の哲学(2人)

被った本一覧

さてさて皆さまの気になった一冊はありましたか?
気になった本があったらぜひ本屋さんで手に取ってみてくださいね!

それではまた次の記事でお会いしましょう!

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