建設業界の談合は正義かもしれないという話

このnoteでは私が居住する地域を例に挙げ、水道工事会社で施工管理として働いていた経験をもとにお話しするものです。一般的に「談合は悪だ」というイメージですが建設業界の場合違います。適切に仕事を配分するという機能があります。細かく説明していきます。

下請けと元請の関係

下請けは取引先として複数の元請企業を選びます。私が住んでいる地域は主に3グループあり、それぞれのグループ専属の下請けがつく、という構造でした。現在では、とあるグループが元請企業を複数束ね、入札に一万円刻みで応札するという事態となっています。落札すると下請けと元請の間に2社から3社間に入りピンハネし、予定価格の25%をピンハネされ残りの75%の金額で下請けが仕事をするという状態になっています。これはグループごとに取り分は異なります。弊社が所属しているグループでは元請の取り分は予定価格の12%で残り88%で下請けが仕事をするという決まりになっています。最大勢力のグループはピンハネが多いですがその分、仕事を多くとるのでそこの下請けは年間を通して仕事がもらえるというわけです。現在では最大勢力のグループが水道工事をほぼ独占している状態です。

現在、市内で生き残っている水道工事会社

現在、生き残っている水道工事会社はまず倒産寸前の弊社です。一般競争入札でもう仕事が取れず、2024年9月ごろに倒産が確実となっています。もう一社が多能工化に成功しているT社です。T社は建築工事の下請けもこなし、水道工事以外にハウスメーカーの下請けなどもこなしており営業力が強いです。しかし、一般競争入札は年間に一本とれるかどうかといったところです。そのほかの水道工事会社B社は最大勢力の企業グループの下請けをこなしています。他にも四国からも下請けが流入しています。主な企業はこの3社とその他の小規模企業の下請けです。ほとんどが50代以上となっています。

電子入札が導入されて何が変わったか

電子入札は2010年ごろを目安に市町村に導入された仕組みです。導入される前までは水道工事は談合で仕事の順番が決まっていました。空いている下請けを探し、その下請けが所属している企業群の中から元請企業が選定され、仕事を受注するという流れでした。それが電子入札が導入され一気に流れが変わりました。どの元請が仕事を受注できるか分からなくなり、下請けが安定して仕事を受注できなくなりました。その結果、多くの従業員を抱える下請けから順に経営を維持できなくなり倒産していきました。弊社も当時は従業員30人ほどいましたが、今では9人ほどになってしまいました。そして元請企業では倒産寸前の企業をとある右翼団体が前身の建設会社が次々に元請企業を吸収し、勢力を拡大していきました。そして現在のように一万円刻みで応札し、仕事を落札し利益をグループ内で循環させる仕組みを構築したのです。現在、市内の最大勢力のグループは右翼団体が前身なのです。笑えない話ですよね。

地元企業育成を阻む一般競争入札

下請けが安定的に仕事を受注できないため、新たな従業員を入れることができません。しかし、安定的に受注できたとしても今の若者は建設業界を選びません。人手不足に拍車がかかるばかりです。あと15年もすれば市内で水道工事を行う企業はなくなるでしょう。談合をしない影響がここに出ています。談合の目的は下請けと元請が安定的に仕事を受注すること、全員に仕事を配分することにあります。もちろん、予定価格の99%の価格で応札するのはルール違反だとは思います。

談合が残る職種、市町村

私が住む都道府県ではM市がいまだ談合で仕事を回しあっています。私が住む市では舗装工事のみが談合で決まっています。談合はなくなったわけではありません。田舎ほど談合しているかもしれませんね。

建設業界の談合は悪ではない

談合は後進の育成のためにも必須の施策です。建設業界になくてはならないものです。談合せずランダムに仕事を配分している限り、地元企業は育成されません。または悪条件で仕事を受注する下請けばかりになってしまいます。

ただし、いまだ談合が行われている地域ではピンハネ率が25%と高いですが…

下請けに優しい世界になることを願うばかりです。建設業界の談合に対する認識を改めてほしいと願います。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

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