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椅子に嵌められた

長い長い春休みを終え、授業が始まった。
レジュメを見ながら、先生の話に耳を傾けて、
気になったことをメモに残す...
なんてことはできるわけがなく、
私は授業のほとんどを寝て過ごしていた。 

「なんて怠惰な奴だ!」
など思う方がいるかもしれないが、
私自身はそうは思っていなかった。
大学の授業料は実質単位取得のため、ひいては
大学卒という学歴のために払っているものだと
考えているから。

しかし、一昨日ふと思った。
せっかく授業に行ってるなら、
ちゃんと授業を聞いた方がいいのではないか。

至極当然の考えである。
しかし私には革新的な発想だった。
授業を聞くより寝ている方が気持ちいいじゃ〜ん
どうせ数年後には何にも覚えてないしね〜
なんて今までは思っていたが、
よくよく考えてみると、
授業中に寝ることは、何年後だろうと役に立たないし、寝るぐらいなら授業をサボって他のことに費やした方が有意義である。

そういうわけがあって、
今日は90分間寝ずに授業を受けてみようと
意思を固めていた。
結論を言うと、
授業の半分を寝て過ごしてしまった。
しかしこれは決して私の意志が弱いからではない!
この私の強固な意志を踏み倒した諸悪の根源は
教室の椅子である‼︎
椅子⁉︎と思われるかもしれないが
そう椅子である。

みなさんは授業を受ける時に座っていた、または座っている椅子はどのようなものだろうか?
中学生や高校生であれば木と鉄パイプでできた、
妙に光沢感のあるあの椅子であろう。
大学生となるとプラスチックの土台に申し訳程度にくっつけたクッションがある椅子が多いだろう。
座る時に座面を下ろした使うあれである。
私も普段は上にあげた薄いクッションの椅子に座ることがほとんどだが、今日の教室は一味違った。
とにかくクッションがふかふかなのだ。
赤紫色をした、厚さ10cmはありそうな代物で
そのまま映画館にも流用できそうである。
そんなもの「ごゆっくりご寛ぎくださいませ」と
言われているようなものである。
私はただその文言に従った結果、
眠りにつかされたのである。
ただ、誘いに乗った善良な市民であるのに。
私は何も悪くないのに

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