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【無料】【東大生が解説】5分でわかる!高騰する電気代、その理由とこれから

はじめに

近年、電気代の高騰こうとうが話題となっています。
家計が圧迫されて苦しい思いをしている方も多いのではないでしょうか。

そんな中、大手電力会社が6月から以下のように電気料金を値上げすることを発表しました。

首都圏は10%程度の値上げに留まっていますが、沖縄や北陸地方は約40%も値上げするというのです。

この情報はメディアでも大きく取り上げられ、多くの方を不安させたことでしょう。

しかし、ほとんどの人がこの値上げを正しく理解できていません

ネットやメディアでは人の関心を惹くポイントばかりが強調され、その実態が正しく伝えられていないのです。

そこで、今回はなぜ今まで電気料金が高騰していたのか、6月の電気料金は報道の通りに高騰するのか7月からの電気料金はどのように変化するのかについて、正しくみなさんにお伝えします。

この記事を読めば、電気料金の変化を正しく理解することができ、無関心のうちに状況が大きく変わってしまったり、過度な報道に惑わされる心配がなくなるでしょう。

この記事を含めた、最初の5本は無料で公開します。

それ以降の記事はサブスクリプションにて公開するので、もっと学びたい方はメンバーシップへのご入会もお待ちしております。


なぜ今まで電気料金が高騰していたのか

その要因は「燃料費の高騰」と「発電所の稼働縮小」にあります。

・燃料費の高騰

日本では東日本大震災以降、原子力発電の使用が激減し、今では電力のうちの約75%を火力発電に頼っています

火力発電は、天然ガス石炭を燃やして発電しているので

「燃料が安ければ電気料金も安く、燃料が高ければ電気料金も高くなる」のです。

しかし、昨年からそれらの燃料が入手しづらくなりました。

その原因は、ウクライナ戦争にあります。
2022年2月、ウクライナへの侵略を開始したロシアに対して経済的な打撃を与えるため日本とアメリカを含めた各国はロシアからの燃料輸入を禁止しました。

しかし、ロシアは「燃料大国」であり天然ガスの輸出額が世界1位、石炭も世界3位なのです。

日本は、燃料の輸入をロシアに大きく頼っていたためロシアへの経済制裁が、逆に日本における燃料費の高騰を招きました。

・発電所の稼働縮小

もう1つの理由は、発電所の稼働縮小です。

日本では、東日本大震災による福島原発の事故が発生してから「原子力発電は危険だ」と言われるようになりました。

そのため、2010年には原子力発電が日本における発電量全体の25%を占めていましたが、現在では実にその大半が稼働していません

また、火力発電所も老朽化が進んだことで稼働量が減らされました。

ウクライナ戦争による燃料費の高騰原子力・火力発電所の稼働量減少がこれまでの電気料金高騰を引き起こしていたのです。


6月の電気料金は報道の通りに高騰するのか

結論としては、電気料金が図のようにいきなり高騰することはありません

では、この図は何を表しているのでしょうか。

正しく理解するためには「電気料金がどのようにして決められているのか」という部分から学ぶ必要があります。

・電気料金はどのようにして決まるのか

電気料金は、以下のような式から決められています。

・電気量料金:使用した電力に応じて料金が発生するもので、私たちが想像する電気料金とはこれに当たります。
燃料調整額:燃料費によって左右されるもので、燃料が高くなればこの値も高くなり、燃料が安くなればこの値も低くなります。
再エネ賦課金ふかきん太陽光などの再生可能エネルギーを使用した発電により変動する数値です。(数値の変動には大きく影響しないので、ここでは触れません。)

つまり、電気料金の基本的な変動は電気量料金と燃料調整額の合計を見ることでわかるということです。

そこで、電気量料金燃料調整額のそれぞれについて、どのように値が変化しているのかを見ていきましょう。

・高騰するのは”電気”料金ではなく”電気量”料金!

大手電力会社が発表した電気料金の値上げですが、報道を鵜呑みにしてはいけません。

実は、電力会社が値上げしたのは”電気”料金ではなく"電気量"料金です。

電気料金全体が値上げしたわけではないのです。紛らわしいですが、これが大きな誤解を生んでいます。

”電気量”料金は電気代を構成する要素の一つでしかなく、このあたいが上がったとしても燃料調整額次第では料金変動はそこまで大きなものにはなりません。

それでは、燃料調整額はどうなっているのでしょうか。

・燃料調整額は値下げ?

実は、燃料の供給が追いついてきたことで燃料調整額は下がっています

つまり電気量料金が高くなり燃料調整額は低くなったのです。

しかも電気量料金高騰への対策として、政府が「激変緩和措置」をとりました。具体的に言えば「燃料調整額へ政府が補助金を出す」ということです。

これにより燃料調整額はさらに低くなりました

先程も説明したように電気料金の変動は「電気量料金と燃料調整額の合計」に影響されるため「一方が高くなり、もう一方が低くなる場合は変化が起きない」のです。

ここから6月の電気料金はそれほど急激には変化しないという結論が導き出されます。

余談ですが、物事の変化をうまく捉えたい場合は「物事を要素ごとに分解した上で、その要素についてきちんと評価するのが必要だ」ということですね。

ちなみに「激変緩和措置」は9月で終了するので、その際に燃料調整額がどのように変化するのかは確認したほうが良いでしょう。


7月からの電気料金はどのように変化するのか

・報道されていない、電気料金「値下げ」

実は先日、大手電力会社が7月からの電気料金値下げを発表しました。

6月の電気料金高騰に気を取られるあまり、このニュースはあまり認知されていません。「値”上げ”」報道の方が視聴者を惹きつけることから、この事実があまり大きく報道されていないことが原因でもあります。

しかし値下げは事実であり、燃料供給が安定してきたことを背景に電気料金も安く設定できるようになりました。

・燃料費に影響されない社会へ

電気料金の高騰こうとう問題は一旦落ち着きを見せそうですが、日本の電力が火力発電に依存しているという事実は変わっていません。

つまり、燃料供給が難しくなると再び電気料金も高くなるのです。

根本的に電気料金の高騰こうとうを防ぐには、どうすればいいのでしょうか。

①原子力発電所を再稼働させる

原子力発電は天然ガスや石炭に頼らないため、世界情勢に大きく影響されることはありません。

しかし、地震による原子力発電所事故が起きないとは限りません。
この日本は地震大国なので、いつ大地震がきてもおかしくないのです。

そのため、原発を再稼働するか否か、国内で大きく意見が分かれています。

ですが、この現状を知って初めて原発を再稼働させるのかどうかという問題を正しく議論できるのです。

②再生可能エネルギーで発電する

太陽光発電のような環境に優しい再生可能エネルギーは徐々に浸透し、今ではかなり一般的になっています。

最も大きな特徴は、誰でも電気を作れるという点です。

太陽光発電は一般家庭でもよく見られ、電気を電力会社に依存しない家庭が増えています。

実は、あのApple社もそうです。

世界的なテック企業であるため、莫大な電力を使用するにもかかわらず電力の約75%を太陽光による自家発電でまかなっています

各家庭が自分の太陽光パネルで発電し「電気を購入する」という文化自体がなくなれば、この問題は間違いなく解決するでしょう。

そのような時代は実際に来るのでしょうか。

6月30日までにメンバーシップへご入会いただけた方は、初月の会費を”無料”にさせていただきますので、是非ご入会お願いします!


今回のまとめ

  1. 電気代高騰は、燃料費の高騰発電所の稼働縮小が原因!

  2. 日本は火力発電に依存しているため、燃料費が上がると電気代も高くなる

  3. ウクライナ戦争によるロシアへの経済制裁で、燃料が入手しづらくなった!

  4. ”電気”料金は、”電気量”料金+燃料調整額で決まる!

  5. 今回の値上げは”電気量”料金に対するもの

  6. 燃料の供給が安定してきたことで燃料調整額が下がり、電気代全体で見るとニュースほど大きく値上げしたわけではない

  7. 7月からの電気代は下がることが発表されている!

  8. 海外情勢の影響を受けないために、最近は再生可能エネルギーが注目されている!




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