バウンダリー:自分にとって心地よい距離感と、相手にとって心地よい距離感
セラピーの時に集中しているポイントは、姿勢や呼吸の維持、身体のレイヤーに対する意識、などいくつもあるんだけど、それらを粛々と行いながらも相手のバウンダリーを尊重する、ということにもかなりエネルギーを注いでいる。
「触れる」ということと、「バウンダリー(境界線)」を尊重するということは切り離せない。
自分にとって心地よい距離感と、相手にとって心地よい距離感はちがうかもしれない。
それは触れようとする相手を否定することととはちがう。
まず、自分が心地よくいられる境界線の基本ラインのようなものがあって、さらに自分と触れる相手との関係性によっても、あるいはその時々のシチュエーションによっても、心地よさの距離感が変わる。
そのようにバウンダリーは有機的に変化している。
ということを知っておく必要がある。
触れるタイプのセラピーを受けに来る方は「どうぞ、私に触れてください」と来てくださる前提なわけだけど。
それでもなお、お互いの間にバウンダリーがあることを、セラピストは忘れてはならない。
相手のバウンダリーを尊重して触れることで、より安心して心と身体を休めてもらうことができる。
セラピスト自身がバウンダリーを意識することで、相手に寄り添いながらも「お客様の心身の痛みや不調は、自分のものではない」と、適切な距離を保ちながらソリューションに尽力することができる。
今日と明日では、その距離が微妙に変わるかもしれないし、もっと言えば瞬間ごとに変化している可能性もある。
これは、セラピーに限った話ではなく。
日々の人間関係においてもバウンダリーは大切で、誰かとの関係が自分にとって少し圧迫感を感じるような時には、自分が心地よく存在できるところまでそっと、距離をとってみる。
そうして呼吸が深くできる位置から眺めてみることで、新たな関係性を前向きに構築することもできるかもしれない。
その距離がすごく遠くなることもあれば、しばらくしてまた近づくことができる場合もある。
その境界線のゆらぎを受け止め、適切な間合いを取り続けていくこと。
それがお互いを尊重することであり、安心できる関係性を築く基盤となる。
■ 小松ゆり子 official web site
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