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原書感想文⑥「Publisher 책을 만드는 곳, 출판사(本を作るところ、出版社)

Urbanlike  No.42

「自分が持っている本の中で、どの出版社の本が一番多いですか?」

この質問を見た時、すぐ横にある本棚を見直した。所狭しと小さな本棚に詰まっている本棚にある本でどの出版社の本が多いかを数えるのは、骨が折れる作業でしばらくして諦めた。しかし数を数えるために本棚の前で本を見つめていた時間は私に「出版社」という存在を再度考えさせられる時間だった。そういえば、出版社って”この出版社はこんな感じ”というイメージはあっても、それを一つ一つ掘って深く知る時間を持つことは少ない。
意識の下に溜まっている情報はあるものの、敢えてそれを言葉を使って考える時間が少ない存在なのかと思った。(存在感に比べて)少なくとも私はそうだった。


圧倒的物質性

Urbanlikeは2013年4月に創刊された韓国の雑誌で、年2回発行される。ソウルという都市の中で、1つのテーマを決めて特集する。文具、ホテル、生活空間など生活の要素を都市の観点でまとめる。Urbanlike 42号のテーマは「出版社」だ。

冒頭にも書いたように、私にとって「出版社」でこの本は好きな出版社だなと思うこと刹那刹那にあるものの、それをずっと一気に向き合う時間を持ったことはなかった。言葉を動員して考えることもなかった。Urbanlike42号、「出版社」は、それらについて考え、言葉にして認識させる仕掛けの数々が詰まった1冊だった。

いいなと思って通り過ぎたあの本。その出版社を作った人の創業のインタビューは、ある人がいて、その人がその企画を作るまで詰め込んだ時間、本というメディアに思いを載せるためにかけた時間、ひいては生きてきた長い長い時間までを想像させた。

現在の出版と向き合ってる出版人がいたなら、それまで前を歩き踏み固めて道を作った人たちもいる。フランスのEditions Gallimardの創刊者 Gaston Gallimard、韓国の文学の基礎を作ったとされる민음사(ミヌンサ)の創刊者박맹호(パク・メンホ)のインタビューは出版社の歴史を、歩んできた時間を感じさせた。

左 パク・メンホ 右 Gaston Gallimard

そして何より、出版業界に従事する編集者、デザイナー、書店経営者、著者、愛読家50人に共通の質問を投げかけたコーナーでは、本に対しての姿勢の多様さ、自由さを感じると共に、自分ならどうやって答えるだろうか?と自分に投げかけられた(50人分、50回)

ここに登場した人の答えも興味深かったが、この質問を周りの人に投げかけたらどんな回答が返ってくるのか気になった。一度立ち止まって目の前の本棚の前に立って、考えてみてほしい。ついでに、私にも少しお裾分けもしてくれるとちょっと嬉しい。


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