見出し画像

【Tottori HOPES】大山町地域おこし協力隊|藤本 匡裕

Tottori HOPESは鳥取県内で活躍している地域おこし協力隊を紹介するマガジンです。鳥取県内の市町村にやってきた背景や、その人の取り組むミッション、あるいはその人自身にスポットをあて、紹介していきます。今回は、大山町地域おこし協力隊として、Iターン移住をした藤本匡裕さんをご紹介します。

藤本匡裕

出身:兵庫県
属性:Iターン移住者
担当市町村:大山町
ミッション:情報発信

鳥取県大山町は、中国地方最高峰の名峰「大山」のふもと、日本海のそばの鳥取県西部にある町だ。

この日は、昨年まで中南米3か国の日本大使館総料理長を兼任し、現在は大山町地域おこし協力隊を務めている藤本匡裕さんを訪ねた。

日本海のすぐそば。キッチンの目の前に大きめのテーブルにランチマット、そして椅子が置かれ、いかにも美味しいお料理をいただけそうな装いをしているのが藤本さんのご自宅。

ここでお料理をいただきながら、お話を聞けるということで、胸が高鳴っていた。
藤本さんは、関西弁の抜けきらない口調で、さわやかな笑顔が印象的な「お兄さん」という表現がぴったりな男性だった。

異彩なキャリア

藤本さんの前職は、ジャマイカ・バハマ・ベリーズという中南米3か国の日本大使館を束ねる総料理長。ペルーの日本大使館で料理長を務めていた知り合いからの紹介がきっかけ。

もちろん運だけではない。自身の料理の腕前、提案、スキルによって勝ち取った大役だった。

「もともと海外で働きたいと思っていて。海外の感性を世界で一番美味しいと言われる日本の食材を使って、アートとして表現したかったんです。」
そんな思いが、海外での活躍の一助を担った。

そしてなぜ鳥取県へ。なぜ大山町へ。

帰国、そして鳥取へ

「ジャマイカでの生活の中で、日本について考えることが増えて。
自分にとっての日本らしさは「水」でした。山の栄養をたっぷり含んだ水が湧水として海に流れて、そのミネラルを求めて小魚が集まり、食物連鎖を生んでいる。それが日本の特徴です。」

そんな日本の中でも選ばれたのは鳥取県だった。

鳥取県を選んだ理由が2つある。
1つ目は「食の発信に力を入れている」こと。「食パラダイス」を掲げる鳥取県は、県外の飲食店に鳥取県の食材を届け、食の豊かさを発信している。一人の料理人として、連携をとっていきたかったそうだ。

もう1つは、鳥取県がジャマイカとの姉妹都市であったこと。
ジャマイカの日本大使館で、ジャマイカの陸上選手団に食事をふるまった経験から、日本でも食を通じてジャマイカとつながりたいという思いが芽生えた。

「2025年に世界陸上が日本で開催されます。それまでに鳥取県に合宿に来た選手団に食事をふるまうことができるようになっていたいと思っています。」

そんなお話を聞きながら、藤本さんに作っていただいたトマトのマリネを一口。決して舌が肥えているわけではないが、これならジャマイカの選手団も喜ぶに違いない。トマトを食べて、頬が緩んだのは人生で初めての経験だった。

トマトのマリネ

選ばれた大山町

藤本さんの中で明確に、大山町でないといけない理由があった。

帰国した理由は、食の専門家や知識を集約し、プロ育成をするためのキッチンスタジオを開設するため。

このキッチンスタジオを構える拠点として、最も日本らしさを表現している環境を求めた。それが大山町だった。

藤本さんのご自宅から10分ほどの場所にある海岸

「大山が一番日本の特徴を表現しやすい環境。山と海も近い。思い描くキッチンスタジオの構想としてはぴったり。」

今は物件を探している最中とのことで、その間地域おこし協力隊として活動することになった。

唯一無二の情報発信

藤本さんのミッションは「情報発信」である。
だが藤本さんの情報発信の仕方は、藤本さんにしかできない方法で、藤本さんにしかできない価値提供だった。

「県外の料理人仲間の元に行って、大山町の食材を使って現地の方々に料理をふるまいます。食事をしながら、大山町での暮らしを伝えました。」

昨年はこの方法で通年300人を集客。

そして、情報収集も兼ねて町内では生産者の方と一緒にイベントを開催することもある。

「僕みたいな外部から来た人間が、大山町の食材がいかに素晴らしいかを伝えてあげることが大事です。そういった価値の再定義もしている。地元の人たちはあまり自分たちの食材のことをすごいと思われてないから(笑)」

経歴も腕前もプロである藤本さんに認められることは、生産者にとってもこの上ない喜びだろう。藤本さんは県外に向けて大山町の豊かさを、町内に向けて自分たちの町のすばらしさと喜びを届けていた。

穏やかな毎日

「大山どりを使ったリゾットです。熱いうちに。」

食べるにはもったいないほど綺麗に盛り付けられたリゾットで、私は取材であることを忘れないように必死だった。そんな中、大山町での暮らしについて伺う。

「夕陽がめちゃくちゃ綺麗ですよ!ここから10分くらい歩いたところに海があるんですけど、仕事が終わった後に、そこでワイン片手に1人反省会することもあります。(笑)」

まれに近くにいた漁師さんとご一緒することもあるとのこと。
さらには、近所の生産者さんや県外の事業者さんがふらっと自宅にやってきて、料理をふるまうこともあるそうだ。

きっと誰とでも仲良くなれる性格なのだろう。
話しやすいし、これは町の人気者に違いない、、、と思っているとリゾットのおかわりを進めてくれた。

「鳥取はいい県やな~。思いながら住んでます(笑)」

調理のときは、食材に真剣なまなざしを向けていた藤本さんは、
窓の外を見ながらやさしい顔つきでそう言った。

自然豊かな鳥取県。
名峰と美しい海に囲まれたこの町は、
藤本さんの腕でさらに彩られる。

↓藤本さんのInstagramアカウント。プロフィール記載のYouTubeチャンネルには料理動画もあるので必見です。

↓ふるさと鳥取県定住機構について