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文化の日だから文化的に?(岡山・広島への旅)

鳥取に引っ越してきたのが2020年だったせいか、近くにある県に出かけていないことに気付いた。
移住4年目である。

計画

そんな時、3連休の中日にデジタル・シティズンシップ教育研究会が広島であると知った。
広島には同じ時期に引っ越した友人がいたので、行こう行こうと思ってなかなか行けないでいた。
それにかこつけて、久しぶりに泊まりで出かけ会いに行くことに決めた。

旅行の計画はざっくり立てておきたいタイプで、なんとなく行き先を決めることにした。
泊まりの一人旅は久しぶりだ。
知らない街に出かけるので、迷ってしまい、倉敷や尾道も気になりだす。
悩んだ結果、欲張らないことにした。
岡山駅で一回降りて朝食を食べがてら散策し、お昼には広島市内に行って、研究会に参加したあとはまっすぐ鳥取に帰ることにした。

岡山。急にギャラリーに行くことを思い立つ。

岡山では「スロウな本屋」に行くことと朝食を駅近くで食べることだけ決心して、朝7時の特急いなばに乗り込む。

そこで、岡山でアートな旅と銘打った記事から、ギャラリーでの展示をしていることを知った。
かつては醤油造りをしていた場所を改築し、ギャラリーになっているようで、ちょうど展示があるらしい。

アイムジャストレスティングマイアイズ」と題されたその展示では、「アンダーグラウンド」がひとつのテーマになっている。
実際に地下に入って行き、ライトを照らしながら展示を見る。
たしかに普段の展覧会では、分かりきった展示の流れを辿ることになるのだが、暗闇のせいでどこに何があるか全然わからない。

ただ目を休ませているだけなのか。目を閉じてしまったのは永遠なのか、一瞬なのか。

そんなことを思いながら、絵本と一般書両方を扱う「スロウな本屋」へと向かった。
時節柄、平和にまつわる絵本が多くあった。
家の一角のような落ち着いた空間で、おすすめの小説に合わせた写真が収められた本を買った。

広島現代美術館へ

広島駅のあたりは大都会だと思う。

なんとかホテルに着いて荷物を置き、友人に薦められた広島現代美術館に行く。
文化の日ということもあり、この日は展示が無料だった。

美術館の周りにある彫刻の周りで子供たちが遊んでいる。老夫婦がカフェで涼んでいる。
一方で私は、思いがけず案内されたテラス席で、1人気ままに、昼食をとった。
身分不相応な味だなと思いつつ。

そこであったコレクション展でも、原爆の影は消えない。
横尾忠則の広島にまつわるY字路の作品。
原爆や戦争の悲惨さを描いた作品。
平和への祈り。
黒田大スケの彫刻についての展示は、まさに戦争と彫刻の関係に迫る作品で、反省をしていない日本美術界への批判もなされている。
美しい建物の中で語られるものの背景には、原爆の強烈な被害がある。

平和記念資料館に自分で行けるか


実は広島市に来るのは2回目で、大学の卒業旅行で宮島に泊まり、平和記念公園にも行った。
その時は資料館まで足がのびなかった。
時間がなかったのもあるし、一緒にいる友人とそこまでは行かなくてもいいだろうという話になった。
それがずっと引っかかっていた。

現代美術館に行ってみて、やはり一生避けることはできないと思った。
どれだけ発展していたとしても、1945年に起きたことを語らずしてこの街はない。

翌朝8:40頃には資料館に着いたが、開館前から列はあったのだろう。外国人の観光客も、私のような県外からの観光客も多い。私も4、50分並んで中に入る。
おそらくかつてよりは抑えた展示となっているのだろうが、中に入ると途中で出ていく子供もいた。
一方でそれほどの現実がその日には多くの人の目の前にあったこと。
その日の後の生活もままならなかったこと。
人としての権利が踏みにじられるような現実。
そこには資料館のように出口はない。
さまざまに記録され、1時間では足りないほどだった。

見終えた後に、私が感じたのは絶望と怒りだった。
現実には悲惨な出来事は世界中にあり、核兵器の廃絶への道のりは長い。
(ウクライナとロシア。イスラエルとパレスチナ。核兵器についても意識せざるを得ない戦場がある。)
それでも、これだけの人がここに集まっていることに希望は持っていたい。

シティズンシップを学ぶ

そこから急いで昼食を食べて向かったのが、デジタル・シティズンシップの教育研究会だった。
デジタル・シティズンシップは、制限するばかりでなく、子ども達が市民意識を持ってどのようにICTを活用できるかという発想が元になっている教育の考え方だ。

デジタルの世界に使われるのではなく、使える人にするにはどうしたらいいか、私自身も悩んでいる。
正解は大人が持っていると子どもに思われている節もあるが、自分自身も手探りで不安だ。
ただ、一緒に悩む「ひとりの人格」として、子どもたちを尊重していくことが一番大事な一歩目なのではないだろうか?
そう思えば、一緒に悩む毎日は意外と間違っていないのかもしれない。
そんなふうに思いながら、帰り道、約3時間の道のりへと向かっていった。

旅の仕方

結局、研究会と友人に会うことだけを決めて出かけた私だったが、考えるチャンスがたくさんある旅になっていた。
無目的、というよりゆるい目的の中から生まれることもあるのではと思ったりする。
それは私の場合、街中をぶらぶら歩く中で、目的地から目的地に移動する中で自然と生まれたりする。
そして、悩む。
目を開いて悩み続ける。

追伸:ご飯もおいしかった

友人と会ったBier Lovenの食事が美味しかったので記録に残しておく。
広島アンデルセンの近くで、「あ、なら朝ごはんはアンデルセンにしよう」と思ったら、パンがおいしくて帰る前に買ってしまった。
昔は食べ物なんて気にしなかったのに、今は旅行で大事なことになったかもしれない。色々食べれるくらいには元気です。キープしたいですというご報告。

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