ボクの親知らずの抜歯のおもいで
病院によりますと11月8日、西彼杵郡在住の30代の女性患者の抜歯手術で、左側の上下の親知らずを抜くはずが、執刀医が誤って左右の下の親知らずを抜きました。5日後の13日、女性患者から病院へ、予定と違う歯を抜いたことについて説明を求める電話があり、16日に執刀医が謝罪しました。
小さい頃から母がデンタルケアに気を遣ってくれていたので、歯のトラブルで神経を抜くだの、抜歯するだのといった恐ろしい経験とは無縁だった。
歯科検診に行けば、歯石取りなどのクリーニングでおしまいという日々だったが、10代の終わり頃、歯医者から「この親知らずは抜いたほうがいいですよ」と言われ、驚愕した。
「歯を抜く！？そんな恐ろしいことできません！！」と心で叫びつつ「あ、え、えぇ、まぁ、考えておきます…」と茶を濁していたら、その歯科医院が閉院してしまったので、別の歯科医院に通うことにした。
このX歯科医院のドクターは若くてイケメンで「大丈夫か？こいつは」と怪しんでいたら、こちらの心の内を見抜いたのか「親知らず、抜いたほうがいいですよ」と、いつかと同じことを言われた。上下左右、全て抜歯した方が良い生え方だったが、早急に抜歯すべき親知らずは右上とのことだった。
実は僕は、X歯科医院に通い始める前、諸事情により入院し、人生で初めて手術を経験した。麻酔・手術・入院を経験すると怖いものが不思議と無くなって(笑)、それを承諾したものの、唯一の心配がお金だった。
「あのぉ…親知らずの抜歯って、お金はいくらかかるんですか？何万円とかします？」
「いえいえ、保険適用ですからそんなにしないですよ。数千円ってところです」
そう、僕は抜歯はものすごくお金がかかると思っていたのだ。
「ただ、この親知らずは紹介する総合病院の口腔外科で抜いてもらうので、そこまでの交通費、レントゲン、抜歯後の飲み薬なども含むと、もう少しかかりますが」
こうして僕は紹介状を握りしめて、総合病院に行ったのであった（X歯科医院と同じエリアにあるので交通費は特別発生しない）。この右上の親知らずは、40分ほどで抜けた記憶がある。
次に抜いた親知らずは、右下であった。これは比較的キレイな生え方をしていたので、いつものX歯科医院でイケメンドクターが15分ほどで抜いてくれた。
さて、親知らずの抜歯の何が嫌かと言うと、抜歯後の縫合である。
僕の場合、1週間後の抜糸であったが、その間、ずーっと口の中に糸があるのである。違和感でしかない。歯磨きの際に口を開けば異物が見える。この非日常感もちょっとした恐怖がある。ちなみに、イケメンドクターによる右下の抜歯の時は縫合無しで大丈夫だった。
この後、諸事情があって僕は再び歯科医院を変え、Y歯科医院へと通うようになった。Y歯科医院のドクターはダンディーなイケオジで「国際ロマンス詐欺の詐欺師みたいだな…大丈夫か？」と心配していたら「左側の親知らずも抜きます？」と言われたので、ハイと答えた(笑)。
「ただ、仕事が忙しくて時間が無いんです。左側の上下同時に、同日に抜けますかね？」
「大丈夫ですよ。でもこれは、おそらく、すごく抜きにくい生え方をしているので、総合病院の口腔外科を紹介します。そちらで抜いて下さい」
本心としては仕事は休みたかったが仕事は忙しいし、口腔外科の予約は取りにくいし、抜歯翌日は消毒の為に必ず来院しなければならずで、諸々の理由により忘れもしない、超忙しい月曜日に抜くことになったのである。
抜歯をしてくれたのは女医だったが、イケオジドクターの予言通り「これは…本当に抜けにくいですね…」と、女医が器具を持つ手を途中で休めなければならないほどの強敵だったようだ。上下合わせて、2時間ほどかかっただろうか。
抜けたそれの根は、蛸の足のように広がっていた。
抜歯後は、特段に顔が腫れることも無く、痛みも無かったが、唇の周囲が痛かった。鏡を見てみると、上唇の周辺が青紫になっている。どうやら、抜歯の時に使用した器具の持ち手が長時間当たっていたことによる、青あざのようなものらしかった。
翌日の消毒の際にその旨を伝えた。
「痛みはどうですか？」
「歯ではなく、この唇が痛いんです。変色してしまって」
「あら！出来る限り、器具が触れないように気を付けたつもりだったのですが…塗り薬をお出しします」
そう言われて処方された塗り薬はすごい効き目で、患部はすぐにキレイになった。
僕の親知らずはこれにて全て抜き終えた。
親知らずの抜歯を勧められて恐れおののく昔の僕に言いたい。抜くなら今よ、と。社会人になってからでは時間が取りにくいし、顔が腫れたら人前にも出にくい。それに若い方が回復も早く、骨が柔らかいので抜きやすいそうだ。
悩んでいる皆さん、若くて時間があるうちに抜きましょう。社会人になってからの抜歯は辛いですよ。
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