経営者と労働力

最近は酪農家も法人化が進み会社になっていることは珍しくなくなりました。さて、これから個人事業主から法人を立ち上げようとした時に様々な問題も出て来ます。ここでフォーカスしたいのは労働力の確保、所謂雇用です。

家族労働から雇用に、そして働きかた改革との向き合い方

自分がまだ牧場の家族労働員として働いていたときは、1日のある程度決まったスケジュールをこなしていました。
作業マニュアル等は一切無く、工具や物の置く場所も曖昧で誰が何処に何を持っていったのかがはっきりわからないまま探してたりしているような要領が悪い働き方をしていました。当時から思っていましたが時間の無駄ですね😅
昔からそんな環境で育ったので自分だけは取り敢えず敷地内の場所や物の置く位置はある程度把握していますがこれが全く知らない、初めてうちに働きに来る人ではどうでしょうか?
全く動けないですよね。

ある程度のマニュアルが無ければ何をどうしていいか「普通は」わからないのです。誰かがしっかり教えればいい話なんですが、ここが家族労働である故の落とし穴があります。
人に物を教える事に慣れていないという事です。キツイ言い方をすれば教え方が下手なのです。

酪農家は経営者自身が先陣きって働きまくり自分の姿を見ていれば次に何するかわかるだろ?だからお前も働け。というような昔ながらの思考が今も尚強く残っているので人材の教育という大事な部分が理解出来ていないのです。
そして、先にも述べた「自分自身が何でもこなすことは経費を削減できて儲かる土台を俺は築いている」と【思い込んでる】のでとにかく経営者には時間が足りません。そんな時の家族労働です。何が足りず何をすれば良いか概ね判断をしながら仕事をしています。
経営者が時間的に優先順位的に出来ない事を従業員の手で回す。これは正解だと思いますが、度が過ぎる効率の悪さは生産性の低下に繋がります。
これは従業員のストレス増加に直結し徐々に仕事がうまく回らないのは社長せいと責任感の減退、仕事は大変だから金は欲しい給料上げろとまでなっていきます。時間的にも早く仕事をやって終わらせてもどうせ別の仕事が立て続けに入ってくる可能性が高いので今の仕事をゆっくりやろうと向上心の低下も招いてしまうこともあり、経営者が想い描く人材の成長と教育とは、かけ離れた結果になりがちです。簡単に言えば今まで通りの人の扱い方では家族は動かせても従業員は動かないということです。
これは経営者としてマネジメントが従業員対して出来ていないという事が最たる理由だと思います。経営者は投資という面と教育という面で従業員の働きやすい環境という物を作りあげ尚且つそこで上がる生産性を利益に還元し初めて会社が回るという事を理解する事が重要です。

従業員というのは家族労働では無い為、ブラック的な働かせ方はご法度です。今まで当たり前にできてた作業が出来なくなる可能性も十分にありますがそこは機械化なりするして対応していきましょう。任せる仕事はベースになる搾乳、除糞、哺乳等を主とした部分に絞り、餌、繁殖などは牛群管理ソフトを導入するなりし効率化を図り、1日の作業マニュアルを作成するといいと思います。Ipadを使い動画内で搾乳手順を説明できるようにしておくと尚良いですね。全てお金のかかる話になっていますがこれこそ今後先を見つめた投資という部分になると僕は思います。

ただ、畜産業という業種は特殊な環境なのでそこは慮ってくれるとありがたいです。
生き物を飼うと言う事は、牛の分娩で難産になってしまたったり機械のトラブルがあったりと時間が必ずマニュアル通りここで終わりという正確な基準が無いに等しいのも事実です。
だからこそ、個人経営の酪農家は日々変わらない日常が一番幸せだと感じ、環境の変化を好まない傾向が強い理由なのかもしれません。

人の価値観も働き方に対する考え方、機械のハイテク化、時代の流れはどんどん変わりつつあります。そしてその流れは自分達が思っている以上に本当に早いです。取り残されてしまっては、安定とは程遠い老後が待っている可能性もあります。だからこそ、雇用と働き方そして人材の教育と経営者としての学びを意識して生きていく事が今、大事になってくるのではないでしょうか。
経営者にとって何が正解かなんてものはありませんが、ただ身に付けた知識と学びは裏切らないのでそこで導き出した答えは自分の道になると信じて進むだけなのです。

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