うた

この断崖はいつから続くのか

母が始まってからずっとである

最後に残るのは

男か女か賭けないか?

さざなみは呪われる

終わりがあるのに可哀そうだ

波打ちぎわに三匹のウミウシ

ホシガタウミウシ

サンカクアメフラシ

シゴセンホロボシ

をつつきながら

羊水の残高を確かめる

モウチョウを手術した

バランスはどうでしょう

雨の日は違和感があるから

綱渡りしてみよう

ちょうど広場にやってきた

サーカス小屋は満員で

門番は近所のおやじがかってでる

(アリの子一匹入れやしねえ)

頭が尻尾のヘビでふんどしをする

押しこむ町衆の目当ては

尻にジャガーを敷き横座りで眠る女

女の中の宙空に浮かぶ石の滑らかさよ

「おトイレへ」

おひねりはカーブする

魔術師はハトにハチミツをなめさせる

透明する予感

いつか爪のように薄くなる

生まれてからずっと肉体は

内側に折りたたもうとしているのに

(パタパタ パタパタ)

見届けてやれなくてごめん

綱渡りはやめよう

花が散るときはまぶしい

ミミズは失明した

だから夜が見ごろであるが

人間の目は明るすぎる

鏡の館で確かめてごらんなさい

行方不明 神隠し 失踪の

少年少女は

星をアリバイとしている

うそをついたら気体になるのかね

歯切れの悪さが売り物の

コンニャクに四苦八苦しながら

岬の先でトネリコのカンバンに

もたれて

予言されていた

コスカルコイベントで絶滅した

生きもの図鑑をめくりたい

そこに

この断崖をひたひたと上ってくる

はだしの彗星人の悲劇

この八億年間の遊蕩

(飽きたでござるよ)

ダイナソウルスのはらわた

メタセコイアのある部族に

最初の生者と死者

オーパーツはサイコロ型のマメ電球さ

ああ巨大な魚の意味を探して

ロンゴロンゴ

兄じゃは船をこいだんじゃ

棺桶づくりの名人が父親じゃけえ

クマ狩りのいけにえの妹よ

殺し屋早撃ちのポンチョの染みは

滅ぼされた家系図だ月桂樹

鉄道が走る立ちはだかる

ボクサーイシイ!

地球はなかなか中年だが

頭の本棚には

愛の技巧の触手や

氷った沼の古い館で演奏する外国人

ふりだしに戻る振動音しかない

カンシャクもちの月がしゃっくりするのは

コンペイトウに化けるためである

(無理だよ。丸いくせに)

キョウチクトウの

生垣の曲がり角に落とされた

石板は始原のクロスワードだった

1マグロみたいにころがるニンゲン

2ドクキノコを食べるヒゲ

黒い四角に気をつけろ

旅館の女将のように落ちれば

物語の地獄か極楽不発弾

プリズムの少年が奇跡の爆発の原因だった

「こすっていたら大噴火したよ」

歴史に静電気ありであった

観覧車で一望するクレーターは

本当は

塔だけが許された季節

夏なのだ

いまではない

ここは終わった

塔を知る男はさびを知る男であった

遅れたバカンスを直撃した

ジリリジリリジリリ

秋の羽音とゼンマイ

三歩歩いてゼンマイ

パイプの向こうに海

いやあれはもう

なにか特別なたそがれだ

朝の光でキンググリーン

「きれいでしょう。故郷の味を思い出す」

すり寄るイヌモドキの頭を

ロボット男爵はなでる

ヨシ

ヨシ

ヨシッ

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