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#note俳句部
不完全永久プレパラートその89
少年は偽書まわり道あせまみれ
いろいろなリスをあつめて今から埋葬
おそろいの十字架を買おう振替休日
老いてコイにファスナー国産だからな
たくさんの目がウインクして押入
捨ててしまえばマネキンは動くだけ
すばらしい鎖国であった過呼吸
あたらしい二人称がバスでうかんだ
魚竜消えてもう秋
あかとんぼが海馬で迷走している
不完全永久プレパラートその88
お手玉が太陽黒点なのはしょうがない
ぼくを食べたら北にいけばいい
燻製をいけにえにして恋人は実刑
定期的に綱引きする夫婦がたまに来る
月がおちるところで竿がしなる
宇宙はお昼におわると小学三年生のときの日記
セイタカアワダチソウと言ってから笑う保健室の人々
くのいちをやめたら口笛が吹けた
のさばる小文字は藍染にしよう
黄色のちょうが素数とはうかつだった
不完全永久プレパラートその87
みんな円口類であることを忘れている
スイスの絵葉書われわれ産卵しましたとのこと
方舟をちからのかぎり写生大会
こっぱみじんになったらコオロギあふれるけどいいのか
トイレに行くふりしてトランポリンを準備
むすんでひらいて娘の恨みはらす明朝
月光あびればそこその辞書になれる
ああ液体になりたかったな
トーストの耳があまりました爆竹にどうですかね
ギンヤンマからギンを
不完全永久プレパラートその86
こおろぎの仕組みがころし文句
友人は蒸発という技を開発した
さいごのすべりだい婦警が多い
錠剤はひとつみんなむりやり笑っている
くちべにゆうやけ少年はフライングすれすれ
最大公約数おしえないで南米は遠いから
化石の有無は関係ないわたくしは狙われるだけ
おかっぱに撃ちぬかれて月は肌色
ぱらぱらまんがの三枚目にあなたの信じるものはないよ
ひとちがいの結果しろいやまに
不完全永久プレパラートその85
がらんとした公営住宅でモグラ捕獲作戦
あぶりだしを猫に見せつける
傷口を六等星にさらす
ぼんやりしてみんなカラスはどうした
流星群うけとめるには肝臓で十分
ぎりぎりの満月でたらめに囚人を数える
ケセランパセランさけんで町民は全力疾走
気体になりたくてまいにち辞書を開く
万華鏡くれたのだれわたくし血まみれですが
ドロップかみくだいて秋をたずねた
不完全永久プレパラートその84
壺だらけでそれぞれに法則
わたくしの入れない軍団はいつもせせらぎ
よわくてもあなたはいちじく潰すそうノンフィクション
想像していた冷やし中華とちがうが少年は来る
肺魚はケセラケラではないか
仏壇からブエノスアイレスに行くしか手がない
条件みたしたウツボカズラぶらさげいざ廃墟
れっきとしたヒストリー村の少女すべて同じ
すなはまのマンボウますますあかんぼう集まれ
め
不完全永久プレパラートその83
いきいきと終電でありむすめらと食べる小腸
天動説地球空洞説友人夭折どれも似たようなもの
少女が必死でかいたフウセンウナギは宇宙だった
不特定多数がUFO撃退した
完全な白を見つけた一家は失踪
強力な青は骨と埋めなければならない
ほるもんがつぎつぎくる帽子になりたくて
あやふやに水を捨てるこれぞエロチック
きっぷがいい淑女は悪霊になれる
グッドナイトグッドバイわれら
不完全永久プレパラートその82
アマルガムわすれて疾走するのはお嬢様
くらやみにすいかおいて出ていくのか姉さん
ひっこぬかれた案山子はそこそこ武器だ
ざらざらした白色のうえで交尾はつづく
ろうか走る数学教師はだんだんみどり
だくおんながして秋の水を立派にする
ぼんやりぼんやりわれら正確な円形
ひとみごくうなんてチチンプイプイしてやれ
ところどころ透明になって病院は休診
おくすりの名前がたいせつ砂
不完全永久プレパラートその81
五人のうなぎとりは仲がわるい
酢の物や木刀がすきだマドンナ
延長戦がつづくわたくしさなぎ
脳内の風すさまじくむらさき
いっぽんの木がいっぽんにみえないわれらお化け
ひらがなのバス停みんな包丁もってこい
いきあたりばったりという町に町角はひとつ
心臓がふそくしています渚にかんばんむすめ
アナコンダととむらいしている
ピーマンに嘘つくほどなにもない
不完全永久プレパラートその80
つけものは残酷であって銀河はそのまま
片目の少女にそっとわきげ
かわせみ集めて少女ら眠りながれる
ぎんざめとういう密室は姉弟しかいない
わたくしであるならば大きな卵は未明に割る
花火そしてオイカワはさばかれる
すべての鳥は銀色であるとわれわれの結論
金星の幽霊であり王子は二人三脚で泣く
われら放物線を夏という
夜はプールみたいだな諸君
不完全永久プレパラートその79
曇天ならくちぶえを誓った失格覚悟です
墓場いろどりみどり女の子がいた
はやく爪がのびるな夏休み
えんよりだえんが得意な少年をほめた
アリスもすいぎんも砂漠でがっぷりよつ
せみごろしの妹が帰ってこない
うつくしい毒薬みつけるまで兄はもどってこない
ねこがいるピサの斜塔のねこは我が家のねこ
虚数を理解して星人は自慢げ
群青朝焼け恐竜はそこだ
不完全永久プレパラートその78
すべてのさかなを経血で染める予行練習
どこまで狂っても夏が来る悲喜劇
うぐいはひらがなが良いねわれら蒸発
風船があるところはおんなが転んだところ
子宮をみていたガガーリンとお茶
卵巣あふれるバス停は紳士ばかり
盲腸ににている友人がひとりいる
虎より迷子がこわいわたくし礼服
するめより踊り子がおおければとうぶん晴れ
たたられても少女はみずたまり飛びこす
不完全永久プレパラートその77
ぐるぐる回る女子大生はフッ素これは禁句
だらしなく北極にすわれ体育座りはだめ
淡水エイ放りなげろ世界はしょせんいちまい
めいしがないしかたない鳥を襲う
雷魚をすくった友人はすきがおおい
祝祭日は花をまく日シンジケートのおきて
自動販売機は子どもとこわす山中なら必至
さいごまできりんはお得意様にならない
宇宙にあながあく妥当なところだ
梅雨はひかくてき女子のもの