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不動産鑑定士の実務修習・修了考査(記述編)

ととすみ、と申します。
noteは始めたばかりですので、拙いところはご容赦ください。
私は鑑定業界ではない会社に勤めつつ、第16回実務修習を1年コースで受講し、
再考査を経ずに一度で合格しました。
今回は修了考査の記述試験について記載させていただきました。


記述試験の特性

口述試験、記述試験のうち、記述考査は以下の点で落とし穴になりがちです。

1、勉強は自ら進めていかなくてはいけない

実務修習生が所属する実務修習機関では、実地演習の鑑定評価書の作成などを教えてくれますが、記述考査の勉強は基本的にノータッチかと思います
(実務修習機関によってはフォローがあるのかもしれませんが)。

実務修習機関は修習生から受講料をもらう対価として指導をするわけですが、
修了考査は受講料の範囲に含まれていません。
一方で、記述試験には市販の対策本は特に無く、試験対策の情報は限定的です。
予備校のようなペースメーカーもいません。
そのため、基本的には自ら対策し、勉強する必要があります。

2、準備期間が短い

実務修習が1年コースか2年コースでも異なるところですが、
多くの実務修習生は目の前の実務演習や基本演習の締め切りに追われ、
記述考査の対応は後になりがちです。

私もそうでしたが、修了考査の準備に入るのは
最後の実務演習の提出が終わった11月頃になるかと思います。
修了考査は1月中下旬ですので、間に年末年始を挟みます。
仕事納めやら家族との時間やらであっという間に時間がなくなっていきます。

3、範囲が広い

実務修習を申し込んだ後、連合会から修習のテキストが届くのですが、
その厚さと量に驚かれた方も多いかと思います。

基本的にはテキストは記述考査の対象範囲になります。
論文試験で鑑定理論などの知識は既に一定身についているかと思いますが、
実務修習はその名の通り「実務」の勉強をするため、新たに学ぶことが多いです。
一方で、テキストには修了考査の観点からすると重要度の低いものがあるため、
闇雲にテキストを読み込むだけでは時間を浪費し合格が遠ざかってしまいます。

4、口述を優先して記述が後回しになりがち

記述考査はマークシートと論文式が組み合わさった試験で、2時間で行われます。口述考査は20分から40分程度の時間で、自分が提出した鑑定評価書から
ランダムに選ばれ、その内容について質疑応答を行います。

比較すると心理的にハードルが高そうに感じるのは口述考査ではないでしょうか。
提出した鑑定評価書は急いで出したこともあり穴がありそうだし、
面接形式の試験はあまり経験がないのでしっかりと準備しなくては、と感じます。
記述試験は、短答・論文試験の経験でなんとかなりそうな感じがします。

ただし、注意が必要なのは、修了考査の合格前提は
口述・記述試験どちらも基準点に達すること」です。
そのため、修了考査はタイトなスケジュールで、
口述と記述をバランスよく準備しなくてはなりません。

加えて、
記述考査が基準点に達しないと一号再試(口述のみ再挑戦)も受けられません
極端な話、口述が100点でも、記述が基準点より1点低かった場合には
即、実務修習のやり直し確定となります。

5、難しい

無勉強で過去問に挑み、合格水準目安の6割が取れる人はほぼいないと思います。
鑑定評価の関係問題も、テキストを読み込まないと回答は困難です。
難度は年々上昇傾向です。

記述考査の準備

諸々記載しましたが、要は記述考査は決して油断ができないということです。
一方で、一部で難問奇問があるものの、修了考査まで辿り着く実力があるのなら、しっかりと準備すれば基準点を超えることは十分可能と考えられます。

実務修習は長い期間で多くの苦労を乗り越える必要があります。
その労力が記述考査のたった2時間の試験で否定されては、
悔やんでも悔やみきれません。

以降では、記述試験の項目別の対策方法(優先度、対応方法等)、
試験当日の留意事項(当日にしがちなミス、時間配分等)などをご紹介します。

なお、本稿の内容は、私自身が修了考査で経験したことを踏まえた勉強方法を紹介するものであり、過去問の各問の解説は含みません。

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