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トップガンマーヴェリックの謎を解け‼ #7

2.2 一推しキャラクター


 ”F-18の活躍”と題した前の項目では、『映画を見て心揺さぶられたこと』といいながら、後から見返すと映画に関係する事といえば、操縦桿の塗装がハゲちょろなのがリアルだったという事と、マーベリックの機体がGで歪んだかもって事くらいしか書いていなかったようです。 (-_-;)

 実は10Gで機体に歪が発生したという事実と、7.5Gが許容値という米軍の運用基準からジュラルミンのN-S線図を使って、低サイクル疲労の観点からのF-18の強度設計についても考察を書きたかったのですが、それは絶賛やめておきましょう。(ザクッというと激しい機動飛行に50万回は耐える設計のものを、一発で壊しちゃったようです。)
後日追記:F-18に普段乗っている皆さまへ
     10G未満のGで一発で機体が歪まなくとも、7.5Gを越えると
     最悪機動飛行可能回数が4万回程度まで下がることが
     ありますので、決してマーベリックの真似はせず、
     F-18は戦技マニュアルを守って末永くご愛用ください。

 前回の内容からのつなぎとするだけのつもりが、危うく脇道に逸れてしまうところでしたが、このような余計な方向に話を発散させるような知識が私には全くないキャラクターに言及するに至り、やっとで内容が素直な映画感想に近づける感が出てきました。
 だがしかし、まだタイトルにあるトップガンマーヴェリックの謎については本章では出て来ません。今しばらく広き寛容の心を持って永きお付き合いをお願い申し上げます。


 トップガンマーヴェリックでは何と言ってもトム・クルーズの演技がすばらしく、マーベリックが抜群にカッコよいのですが、他のキャラクターも同じくらい印象的でした。

 特にご紹介したいのは次のお二人です。お二人とも、その性格や行動に関する私の感想が間接的にトップガンマーヴェリックの謎を解く手掛かりの一つになっているので、次章に備えて読んでおいていただいても損はないかと思います。

フェニックス

100点娘である。

 準主役級のルースターやヒロインのペニーを抜いてマーベリックの次に、好き♡という人も多いのではないかと思います。
 
 フェニックスの最初の登場シーンから印象的でしたね。
顎をクイッと突き出して、ペイバックとファンボーイ、男二人を従えて颯爽と歩いてくるところです。

 初登場の印象に加え、ハングマンとの舌戦とか、飛行中にバードストライクを喰らった時のきびきびした対処などから、気が強い、ド根性娘と思われる向きも多いのではないかと思いますが、ド根性とは違う賢明さというか気配りを感じさせる女性で、ルースターに全幅の信頼を寄せつつも、いつもルースターの言動を心配しています。

ところでなぜ100点娘なのかというと、単に芯がしっかりした性格だとか、操縦がうまいというだけでなく、相手の要求に対して100点満点の対応ができるということです。

 ウラン濃縮プラント攻撃シーンではマーベリックのダガー1に対してレーザー爆撃誘導を行うダガー3パイロットの座を見事勝ち取りますが、マーベリックに対する対応が常に完璧。

 トマホークの着弾でバンデッド(山賊、悪漢→敵機)が引き返してきたので、加速するといったマーベリックに対して、
We got you Mave, don ‘t wait for me.
(私はついて行くから、あなたのペースで行っていいわよ。)と即答。

 ポップアップ攻撃のときは簡潔に、
Dagar 3 in position. 
”ポジションについている”という英語の響きが実に頼もしい。
(Positionは位置というだけでなく、本来あるべき適所という意味があります。)

 ここは吹き替え版ではただの『了解』なんですが、”了解”であれば、“あなたの言う事が理解できた。指示に従って対処します。”という印象になると思います。
 それに対して英語のセリフは、あなたの求めていることはわかっているから、私は既にそれに適した状態になっていて、いつでも対応できます。という安心感を感じさせるものです。

私は誰の挑戦でも受ける‼

 フェニックスは最初からこのミッションのメンバーに必ず選ばれるという意気込みをルースターには表していましたが、かといってハングマンみたいに実力をひけらかすということもなく、それこそマーベリックでは守る事の出来ない”Not 10.1! Not 10.2! Mach 10!”のお約束をしっかり守ってくれる人なのです。
(おそらくハングマンもマッハ10の制限速度は守らないでしょうし、ルースターだとマッハ9.9でもう十分だ、ってなるんですかね?)

 ハングマンに対して、『鞄持ちのバッグマンよ。』とか毎回ツッコミを入れてますが、引き時を心得ているので鼻につくような態度はありませんね。

 やはりハングマンとしても、偉そうなことを言って、誰も突っこんでくれないとホント自分悪者みたいやん。と望むところなのでしょう。

 やはり型破りのマーベリックとペアを組んで第1の奇跡を起こせるのは、相手に合わせてきっちりとフォローできるフェニックス以外にはいません。

俳優はモニカ・バルバロさん。(全然予備知識ありません。”バルバロ”ってガンダム0083に出てきたモビルアーマーの名前と一緒ということくらいでしょうか)

過酷だった撮影の疲れはなさそうですね。お美しい。

サイクロン

人情おじさんである。

 『サイクロンって何なん?と最初はうちのマーベリックにさんざん嫌味言っといて、マーベリック行けるぜ、となったら掌返したみたいに!プンスカ!』
という人も少なからずいるのではないかと、思わずサイクロンの身の安全を心配してしまいます。

 でも鑑賞回数を重ねるにつれ、登場人物で一番人情味のあるのは実はサイクロンではないかと思いはじめ、サイクロン大好き人間になりました。もうサイクロンの出るところ最注目です。

 サイクロンが自身自分の経験・能力からみても絶対無理やん!と思っているウラン濃縮プラント爆破を、トップガンだったらできるだろう、と国防省から無茶振りされて、中将といえども一介の中間管理職でございます。と耐えていたのでしょう。

 もう知らん、ミッションを何とか成功させるためには多少の犠牲は・・と自分を騙しているときに、マーベリックにパイロット全員生還が絶対条件ですとか言われ、ピクリと反応するあの表情が良いですね。

 痛いところ突かれたと思いつつ、言うだけだったら簡単だとマーベリックに更に反感をいだいたかもしれません。

 しかしマーベリックが2分15秒で爆撃命中させるデモンストレーションを見て考えが変わります。
実現性を疑っていたマーベリックの作戦ですが、これならば本当に攻撃部隊が敵機に遭遇せずに帰還できる、という望みが出たのです。

 そこから態度が急に変わります。空母での作戦シーンでは、「訓練の成果を発揮して生還せよ。」と初めてパイロットの安全に言及しますし、あとルースターが考えるな行動しろと言う言葉でふっきれて、やっとで加速したときも、「敵を叩いて帰還しろ」って言いますね。

 これが口だけでなく本当にパイロットの命を大切に考えていることは爆撃成功! ボーザイ!ボーザイ!ボーザイ!(笑)のシーンではっきり示されています。

 みんな爆撃成功ヤッターと湧き上がり、ウォーロックもガッツポーズをしているときにサイクロンはただ腰に手を当てて、2回うなづくだけ、そしてすぐ心配そうにまだ棺桶コーナーだ!とパイロットを気遣います。

 これは14回目、15回目の鑑賞でやっと確認できたことで、一瞬のシーンなのですが、こういうシーンで人間の本心が見えますね。(というか映画の脚本がすばらしいし、実に見事にジョン・ハムが演じています。)

 そして最後のF-14が空母に帰還するシーンで、お約束の艦橋至近距離通過。反射的に身構えつつのちょっとうれしそうな表情。

 トップガン’86から最後の艦橋通過シーンはもうお約束というか、今から艦橋通過するとわかっていながら、コーヒーを受け取り、案の定見事にこぼしてくれるあのおじさん。あれ見事なコントですが、大好きなシーンで、あれを彷彿とさせてくれます。

 そしてマーベリックが見事着艦してからの、マーベリックの敬礼に対して答礼はせず、うなずいてからのあの表情。
あれは私の目には、任務を果たした部下への労いの気持ちを越えて、軍人ではなく人間として、みんなの命を救ってくれたマーベリックに感謝している姿に映りました。

アイスマンの遺志は俺が引き継ぐ。

 それほど見事にサイクロンことボー・シンプソン司令官を演じたジョン・ハムですが、やっぱり詳しいことは何にも知らない私でした。(ペコリ)

ジョンハムはこのくらいの大きさで十分だろう

サイクロンについては、実はトップガンマーヴェリックの謎の核心につながるような言動があるのですが、それは次章で。

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