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よこはま~、たそがれ~ 四分の二

人間、集中と隣合わせにリラックスあり、
そしてリラックスの中にこそ
新たなインスピレーションが降りてくるものです。

あっ、なんか来た

前回の『四分の一』では、
28回目29回目鑑賞でペニーが経営するbar Hard Deckへの
通勤手段の謎を解くため、
主にbar Hard Deckやペニー自宅の周辺の様子に
神経集中させたことを書きました。

では、その他のシーンの時は?
ボーっとしていたわけではありませんが、
ふっと気が抜けてリラックスしたのは確か。

この効果なのか、これまでの27回の観賞で
当然”と思っていた映画のディティールついて
新たなインスピレーションが湧いてきました。

これらは、主にペニーフェニックスに関するもので
なかなかどうして、
彼女たち、ますます活き活きと活躍しているご様子。

ということで、今回のサブタイトル

フェアレディーとは呼ばせない!


前回のシーン分けした番号に従って、
順次書いていきたいと思います。
(シーン番号は『四分の一』を参考にしてください)

ペニー VS. マーベリック

シーンC

まずはbar Hard Deckでの、それぞれの再会シーン

マーベリックのトラウマ:
あのガランガランとペニーがベルを鳴らすシーンです。
『俺、なんかやらかしたっけ⁉』とひるむマーベリック。
マーベリックはカウンターの脇にある看板を見て、
”カウンターに携帯を置いたから全員に一杯おごることになった”
と思っていますが、その前からずーっと携帯を置いてるのを、
ペニーは見逃してあげてます。

Hard Deck法:家系ラーメンより、老舗の蕎麦屋よりもうるせぇな!

では、ガランガランの真意は?
You look Good!”です。
日本語だと、『今もきれいだよ』なのですが、
これは嫌いな人から言われると、立派なセクハラワード

Hard Deck法第三条ではなく、第一条違反だったのですね。

ただし、マーベリックが嫌いということではありません。

『付き合っても、いつも同じ終わり方をする
(マーベリックは自分からペニーの元を離れて戦地へ行く)ので、
もう付き合わないようにしましょう。』
OK(わかった)』
OK(よかった)』
直後に性懲りもなく、こういうことを言うからですよ。

ちなみに、ルースターハングマンに再会したとき
You look…good.と言ってるんですが、ここの日本語訳は
調子…よさそうだな。』です。

同じ言葉でこの意味の違い
もしルースターがハングマンに、
『おまえ…きれいだな』などと言ってしまうと
まさかのBL展開
英語は難しい。

シーンE-2

続いてヨットのデッキ上にて
またまたマーベリックがペニーにへこまされる愉快なシーンですね。

ヨットの操作がわからないマーベリックに対して、
『あなた、海軍でしょ!』と
海軍は海軍でも海軍パイロットであることを知っていて
敢えて”からかいます。

しかし、マーベリックでなくても、これでよかったのかな?
という気持ちになるのが、『緑のロープを引いて』ですよね。

えっ、そんなシーン憶えてない?

『思ったより少し海が荒れてるわ。』
『これでちょっと⁉』
と激しく傾いたヨットのデッキ上で珍しくおよび腰で、
ヨットの操作をするマーベリック。
マーベリックのトラウマシーンその2です。

そんな強風でガッツリと帆がをはらんでいる状況で
テレンと垂れ下がっているあの緑の細いロープ
手で引っ張れとは!いかほどの効果があるのか?

マーベリックはこれでいいの?と半信半疑ながら
ペニーの指示に従うのですが

果たして効果があったのか? ペニーはすぐに”OK!”
次はあのウインチを巻いて!
と別の事をさせています。

これって、本当にヨット操船の観点から説明のつく動作なのだろうか?
それとも?
またまたマーベリックをからかったのかも。

5月8日の28回目鑑賞でふとそれを疑問に感じ
5月9日、29回目鑑賞は『ペニー通勤事情』とは別タスクとして
その確認にも注意を向ける。

どうやら、緑のロープを引っ張るのは、バックステーを引くため
そしてウインチを回すのはジブを張るため
なんだそうです。

そしてペニーは、飛行機にもフラップがあるでしょ!
とマーベリックの得意な飛行機を例にして説明するのですが
おそらくマーベリックは全然ピンと来ていない。

フラップは、流体力学的に翼のキャンバーを増やす
高揚力装置です。
ヨットのも、
かつての帆船が凧のように真後ろから風を受けるのではなく、
風を帆に沿って流し揚力を得ることで進むものらしいので、
その揚力を何らかの操作で調整できるとすれば
ヨットの安定にも影響するでしょう。

これはもっともらしい説明には思えますが、これ以上の正確な説明は無理。

ヨットの基礎知識もなく、映像やセリフを表面的に追っていくだけでは
歯が立たちそうにない問題に足を踏み入れてしまいました。

30回目鑑賞はもう翌日5月10日をインターネット予約済なので
ちょっと間に合わず、5月12日の31回目鑑賞が勝負です。

それまでにインターネットでヨットのことを勉強します。

まずは初心者向けに平易に基礎を教えてくれる
30分程度の動画を見つけて拝聴。
確かによくわかりましたが、
さすがに強風などの特殊な状況下での操作までは
言及してくれていない。
同じ動画シリーズを見て見ますが
ヨットスクールの紹介やヨット上でのクッキングなど
どんどんあさっての方向へ進んでしまう。

やっぱり文字による情報の方が検索しやすく、
数も豊富ですので、”バックステイ”、”ジブ”などのキーワードで検索し
インターネット記事を読み漁ります。

最初はカタカナの専門用語だらけで、果たしてこれは日本語なのか?
ちんぷんかんぷんですが、
複数の記事を読み合わせたり、用語解説を参考にすると
なんとなく意味が理解できたような気にもなります。

ただ、ヨットの操作にも〇〇流みたいなのがあり
完全にこれが正解というのはないようで、
実際にヨットに乗る方も、日々研究実践を重ねて
操船を体得されているご様子。

緑のロープを引っ張って』の意味を知りたいというだけで
ちょこちょこっとインターネットで調べただけの私では
理解もごく浅いものですので、間違っておりましたら
ヨットマンの方々、ご容赦ください。

まずペニーのヨット。マストが一本立ってましたね。
一本マストで、その前と後に合計で2枚ついているヨットを
スループ型というのです。(もう一枚最後に特別な帆が出てきますが)

エンジンを修理に行くと言ってましたので、
エンジン付きで機走もできる、スループ型のクルーザーヨットといえば
正しいのでしょうか?

このスループ型には限りませんが、
ヨットは以下の3つの基本構造から成り立っています。
Hull:船体
Running rigging:セイル(帆)や
    セイルを操作するシート(ロープのこと)
Standing rigging:マストやマストを支えるワイヤー

同じ部位でも解説によって微妙に用語が異なるのも難所

スループ型の2枚の
後側がメインセイル、前側がジブセイルと言う名前です。
はい、もう出ました!
そうペニーが”ジブ”といっていたのがこのジブセイルのことです。
大型のジブセイルのことを”ジェノア”と呼ぶこともあるそうですが。

そしてマストを前後左右から支えるワイヤーをそれぞれ
側 フォアステイ
左右 サイドステイ
もう、わかりますね。
側が バックステイです。二つ目のキーワードが出ました。

なんだ、基本のキの字キーワードが二つとも出たじゃないか?
拍子抜けするが、ここからが大変。

海が荒れている時に、バックステイジブをどう操作したら良いのか?
できれば、操作の仕方のみでなくその原理も知りたい。

となるとまずはヨットの走る向きから知る必要があります。
東西南北とか、右旋回・左旋回ということではなく
風の吹く方向に対してヨットが進む方向です。

これによってヨットのセイルが風を受けた時に発生する力の特性が変わり、
必然的に操作の仕方も異なるためです。

ヨットの進む方向には以下の様な専門的な呼び方があるのですが、
大きく分ければ。
風上に向かって切り上がっていくか、
風下に向かって流されるかということですね。

特に、風上に向かって進んでいる時には
セイルがとしての作用を最大限発揮している時ですので、
セイル断面の形状が非常に重要です。

翼理論、懐かしいな

ドラフト量というのが、翼理論ではキャンバー量(またはキャンバー)、
アタック・アングル迎え角です。
迎え角は英語では Angle of Attack(AoA)と言いますので
同じことですね。

一般に迎え角あるいはキャンバーが大きいと、
揚力が増えますが(同時に抗力も増大)、
迎え角を大きくしすぎますと容易に失速してしまいますので、
飛行機は速度が落ちる離着陸時にフラップを下げて、
キャンバーを増やして揚力を稼ぎます。

これを頭に入れて置くとヨットの
セイルでの揚力のコントロール方法がイメージし易い。

ただしヨットが飛行機と異なるのは
セイルがで出来ているため、フニャフニャであり
セイルが風をはらんで初めて翼の形になることです。

平たく言えばこのセイルのキャンバー、いやドラフト量
ドラフト位置を調整するために、
あっちこっちからシート(ロープ)を介してセイルを
引っ張ってやるのがヨットでのパワー調整です。

特に風上に向かって走っている状態では、
セイルの発生する揚力の大半が船体の横向きにかかりますので
その力を受けてヨットは傾きます(ヒールするという)

風が強くなれば当然ヒールが大きくなり、
最悪突風がくれば転覆するというのですから恐ろしいものです。

ネット記事でも強風時に船を安定させるための
セイルの操作方法が幾つも書かれています。
(でも中には、いろいろ調べるも具体的な構造や操作が
よく分からないものも含まれます。)

メインセイル
・セイルに力が掛かる位置を変えてヒールを抑えるために
 ドラフトの位置前側に移動させる。
①ハリヤード(メインセイルを吊り上げるためのシート)を締める。
②カニンガムでラフ(三角帆の風上側の辺)に張力を掛ける。

・セイルに掛かる力弱めるため
 ドラフト量小さくする(セイルをフラットにする)
①アウトホールを締める
②フラット二ングリーフを引く
バックステイを引き、マストを曲げる
なるほど、バックステイはマストを後方から支えるだけのものかと
思っていましたが、マストを引っ張って後ろに曲げ、そのことで
セイルの張りを変えるためにも使えるのですね。

ジブセイル
メインセイルほど多様な操作はありません。
①セイルに掛かる力を弱める
トラックリーダーの位置を後側に移動させる。
(ジブシートがジブセイルの後端を引っ張るポイントを後にずらして
 後ろ向きに引っ張ることで、三角セイルの下辺であるフットが張る
②セイルに掛かる力を(完全に)抜く
→ジブシートを緩めて、セイルをシバ―させる
 (ばたばたなびかせて、風をはらまないようにする。)
またジブセイルを使わなければ、ローラーファーリングを使って
ジブシートをフォアステイに巻き付けて簡単に畳むことができます。

よし、ヨットの知識はこのくらいで良いだろう。
というかこれが精一杯

では31回目の鑑賞に臨みます。

ヨットのシーンです。
戦闘機が空を飛ぶのとはまた違った迫力開放感があっていいですね。
っていかんいかん!映像の素晴らしさに見蕩れている場合ではない。
ちゃんと確認しなくては。

なるほど、確かにちょっと荒れてるどころか、
かなりヒール(ヨット船体の傾き)がすごいです。
マストの水面からの角度が45度以下になり
ほとんどデッキポート側(左舷)が水面位置までに来ています。

これでもだいぶ傾ていると思うのですが、マストは45°以上に立っている!

やや! メインセイルブームがほぼ真後ろを向いていますので、
目いっぱい風上に切り上がっている、クローズホールドの状態のようです。

セイルに働く力はほぼ横向きであり、それで強風なら、
確かにしこたまヒールするはず。

今『セイルのパワーを下げるので、バックステイ引いて
とペニーが言いましたね。
『飛行機のプラップ上げるのと同じこと』とも、
それで、『そこの緑のロープを引っ張ってちょうだい』
ということになるのです。

でマーベリックがこれ?と掴んだ緑のロープは?
ブームの先端に付くメインシートかなと一瞬思いましたが、
よく見るとブームのマスト取付部付近から伸びているように見えます。

ちなみにネット記事でバックステイについて調べると、
バックステイを引くことによる効果については書いてありますが
実際にどういう操作でバックステイを引くのか全然見つかりません。

たぶんヨットに乗る人にとっては当たり前すぎて、
書くまでもないのでしょう。

そこで、チャットGPTの出番。
『バックステイを引く時の操作について教えて?』と入力すると
次のように答えてくれました。

ヨットのバックステーアジャスターは、セーリング中にセールの形状を調整するための重要な装置です。風が強い場合やセールの揚力を調整する際に使用します。以下に、バックステーアジャスターについて詳しく説明します。1. バックステーアジャスターとは?
o   バックステーアジャスターは、ヨットの最後部に設置される装置で、ロープまたは油圧で操作します。
o   マストトップを少しずつ後ろに引くことで、マストを曲げ、セールのカーブを調整します。
2. セールカーブの調整
o   バックステーアジャスターを引くことで、セールのカーブ(ドラフト)を減少させます。
o   セールのカーブが浅くなると、揚力が減少します。
o   強風時には、バックステーアジャスターを引いて、マストを曲げてセールカーブを減らすことで、揚力を調整します。

Copilot AIの回答

なるほど、チャッティちゃんすげえ!
バックステイを引く方法はこれだけではないのかもしれませんが
少なくともここに描かれたものが、
イメージにも合う一般的な方法のはず。
となると船の後部に向かって操作しないといけないわけであって
あの緑のロープは違うもの、ということになります。

やっぱりマストを曲げるくらいの大掛かりな操作
ロープを手で引っ張るだけというのは合点がいきません。

むしろシートの位置としてはカニンガムを使っているのかもしれませんが
詳細は不明です。

いずれにしても、あれほど荒れた海でのヨットの上で
マーベリックをからかっている余裕はないと思うのですが
訳も分からず、”わけのわからないこと”をさせられたマーベリックにとっては、からかわれたと思っても仕方ないでしょう。

その後のジブを張るとは?
すでにジブセイルは張られており、風を目一杯受けています。

調べた限り、ジブセイルのパワーを下げるといったら、
ジブシートを緩めてシバ―させるか、
トラックリーダーを後方に移動させて、
ジブセイルのフットを後ろに引っ張ることです。

断定はできませんが、ジブを畳むほどではないと判断して
最初から後方寄りにセットしていたリーダーを介して
ジブシートを引っ張ることにより、
ジブセイルをフラットにしていたのかもしれません。

まぁそう言う事で手を打とうじゃないか!一件落着

しかしこの後、ペニーが衝撃的宣言をします。
アフターバーナーを使う準備が出来た(比喩)、
というのです。

アフターバーナーの説明はこの際省くとして
折角パワーを下げて安定させたのに、新たな帆をあげて
最大パワーを得ようというのですから不可解極まりない。

あっ、青い帆が船首に展張されました。
清々しいシーンですねぇ。いつ見ても。

って、今気付いたのですが、
メインセイルのブームが完全に横向きになっています。
これは追い風を受け風下に進むときのブームの位置ですね。

心なしか波も低くなり、
ヨットはヒールすることなく安定して進んでいるようです。

そしてこの広げられた帆が何なのか、調べてみると
ジェネカー”というもの。

画像は、より見栄えのするスピンネーカー

同じような形の”スピンネーカー”が下り専用なのに対して
こちらはある程度風上への上りにも対応できるようですが、
やっぱり背後から風を受けて
気持ち良さそうに帆走しているようにしか見えません。

よく見ると、さっき張ったばかりのジブセイルは
いつの間にかファーラーに巻き取られています。

つまり、明らかに時間的に異なる二つの映像がつなげられている。
ただペニーとマーベリックの会話が途切れることなく続いていますので
二つのシーンが連続しているように見えるのです。

なんのために
単純に考えると、進路は一直線ではなく、マリーナを出て
しばらく進み、島を回るように進路を変えたという考えが
妥当です。
次のシーンのセリフを、前のシーンの映像に被せて流すという
手法はこの映画では度々みられるのですから
このような少々無理な推理も不可能ではありません。

ただそれでも連続的な映像に見せることによる効果
あまり感じられませんし、
もしかするとジェネカーを広げて進む
あの美しいシーンどうしても撮りたかったというだけ
なのかもしれません。

しかしせっかく新たに見つけた疑問点なので
別の方向性も探ってみましょう。

すなわち、強風の中、風上に向かって進みドックヤードへ到着。
エンジンの故障が深刻ではなかったのか、
簡単な部品交換で済んだのかわかりませんが、
意外にも即日修理が完了し、
少し風が収まった状態で、今度は風下に向けて帆走し、
ペニーが普段ヨットを停泊しているマリーナへ戻ったということです。

そういえば、強風のシーンでは目指す方向
サンディエゴ市本土側と思われるビル街が見えますが、
ジェネカーのシーンでは、ビル街背後の景色として映り、
ヨットの行く手には、ノースアイランド島にみえる島があるのです。

もともとはドックにヨットを預けて
バスか何かで、サッと元のマリーナに戻り、
そこに停めていたマーベリックのバイク
bar Hard Deckに一度戻るつもりだったのかもしれませんが
ちょっと時間を掛ければ今日中に直せる”と言わて、
修理完了待ち帰りの航行の時間で少し遅くなったので、
ペニーの自宅に直帰したというのはどうでしょうか?
(それでジェネカーも広げて急いでいたのか!)

もちろんアメリアには電話で、一人で家に帰るように伝えてです。

そう考えると、実はこれまで"言っても詮無い事だから"と思って
書いてなかったあと一つの疑問も解決するのです。

ヨットに乗る前にbar Hard Deckに現れたマーベリックは
アメリアに何と言われていたでしょうか?
そう、『バーは5時からよ』

本日は営業する予定だったのです。
それなのに、マーベリックに自宅に送ってもらい、
アメリアには『夕飯にするわね』
などと呑気なことをおっしゃる。

お店は開けなくて良いのかな?とハラハラしていたのですが、
先ほど書いたように、”ヨットを即日修理する事が出来る
と言われれば、
改めて引き取りに来るという二度手間になるよりも、
今日少し遅くなっても修理してもらおうか
ということになるでしょう。やっぱり

それで”お店は本日臨時休業なり”という訳です。


いずれにしてもこのシーンで肝心なのは
ヨットを帆走させるためマーベリックは役に立ったか?
ということなのですが、皆さんどう思われました?

帆走のための操縦を2人で行うことを前提として設計したヨットでは
操舵手が舵輪(Helm)から手が離せない時に、
Running Riggingの操作をするには必ず別の乗組員が必要であり
上手に出来ようとどうだろうと、役に立ったことは間違いありません。

まぁ、マーベリックが役に立ったからというよりは
下手くそながらも、
セイリングという自分の世界に入って来てくれたことが
ペニーはマーベリックに再び心を許すきっかけになったのだという説は
トップガンマーヴェリックの謎を解け‼ side B‐2』で書きましたが、
この時はさすがに自宅まで送ってもらっても、
玄関前で『さよおなら』です。

前回の『よこはま~、たそがれ~ 四分の一』記事の通り、
ここからは必然の流れなのでしょうが
ペニーがマーベリックを自室に招いたのは、
ビーチでのフットボールの後ですね。

シーンI-3

あっさり目ε-(´∀`*)ホッ、のラブシーンの後、
マーベリックにルースターとの関係について問うシーンです。

しかしこれは映画を観る側としては、既に衆知の事実で、
ペニーがルースターとのことを尋ねるのも、
マーベリックが、『海軍兵学校への公募書類を破って…』と答えるのも
当然に感じるのです。

なんせ、最初の飛行訓練のF-18搭乗前から
マーベリックとルースターはギクシャクし、
2回目のルースターとのドッグファイト訓練では
最低地上高度合戦の挙句ルースターはフェニックスから
『なんであんなことをしたの!』と問い詰められて
書類を破られて…』と打ち明けているのです。

さらにマーベリックからはアイスマンに対して
書類を破って、恨まれているけどいつか(偶然にも)
真実を知って、許してもらえないだろうか』という、
(それはないな!)と即答されそうな期待を吐露しています。

その直後のビーチでのフットボールを経てからの
このペニー自室のシーンにおいて、
マーベリックは初めて書類を破った理由まで説明しますので
(謎はすべて解けた!)ではありますが、
正直、これで何度目のカミングアウト?という感覚でした。

ところがペニーの登場シーンだけを切り取って見てみると
”ペニーは何故マーベリックとルースターの不仲についてわかったの?”
と言わざるを得ない、驚異的な鋭さなのです。
女の勘?

なんせ、シーンCのbar Hard Deckでは、
マーベリックが放り出されちゃうまでは、
マーベリックがルースターを避けようとしていることになど
気付く機会もありませんし、
放り出されたあとに、窓から呆然とした表情で、
ピアノを弾いているルースターを見ているマーベリックを
チラっと見かけただけなのです。

その後になにかあったかしら?
ツケを返しに再びbar Hard Deckに現れたシーンE-1
話をしたのは
・犬およびアメリアともに大きくなったこと。
・ペニーの別れた夫は再婚してハワイに住んでいる事。
・まだ大佐でも勲章はたくさんもっていること。
くらいで、しかも話相手はペニーの娘、アメリア。

お金を払った後、すぐにヨットの操船を手伝うことになるのです。

直前にルースターとのドッグファイトでの最低地上高度破りで
サイクロンからこっぴどく怒られていたにしても、
ここでルースターの話が出る余地などありません。


アイスマンから『過去は水に流せ』と言われて思いついた
シーンHのビーチでのドッグファイトフットボールですが、
このシーンでも、ルースターは転んだマーベリックに
手を差し伸べて、一見仲が良さそうに見えます。
(初鑑賞時には、”もしかしたら、これだけでもう仲直り?”
と思ってしまいました。)

しかし二人の間にはまだ緊張感が漂っているのです。

当然、ペニーをこのイベントに誘うときは
”トップガンチームづくりの一環だよ”
と説明したのでしょうが、
マーベリックって本来は一匹狼なので、
レクレーション大会を通じて結束力を高めよう”
というタイプではなく、
やはり”死線を共に乗り越えてこその真のウイングマン”
と考える気持ちが強いに違いない。

マーベリックが、”こういったイベントを企画した”という事自体が、
”ルースターとの関係を修復するのに苦心している”と
ペニーが察知できた理由なのではないかと思うのです。

さてこのシーン、ペニーが自分とアメリアの話をし、
しばらく間があいてから
『ルースターと何があったの?』と切り出します。

日本語字幕では『ルースターの話を』とあっさりで、
心の襞にそっと触れるような趣のある表現も好きなのですが、
ここでは、Is that what happened with Rooster?
という言葉の正確さが重要です。
(ルースターと何があって、そんなギクシャクしているの?
というニュアンス?)

ルースターの父親グースが、マーベリックが操縦するF-14の
後席に乗っている時に事故死亡したことは
ペニーも当然知っているので、
”ルースターと(今の関係)はどうなの?”でも
”ルースターは(事故の事を)なんて言ってるの?”
でもなく
何があったの?”と尋ねるのですから
事故のことを聞いているわけではないことは明らかです。

サイクロンやハングマンは、
ルースターが父親の事故死マーベリックの責任であると考えて
恨んでいるのではないかと思っているのですが、
2人の事を良く知っているペニーは、
マーべリックにとってもつらい事故の事には一切触れ
マーベリックに、あっさりと『海軍兵学校への応募書類を破いて・・』
と話させます。

それがペニーという女性の包容力なのだと思うのです。

ペニーに関する記憶に残るシーンはまだ他にもありますが
それは、四分の四でまた書こうと思います。

フェニックス VS. ハングマン VS. ルースター

シーンD-1

一番最初にトップガンメンバーが基地に集合し、
格納庫でウォーロックから訓話を受けます。
(作戦の詳しい説明はしてないので、”訓話”としかいいようがない)

その訓話の中で、すでに敵戦闘機に対する性能での優位性は
なくなってしまったので、
パイロットの能力が重要であるという話を聞いた時に、
ハングマンはニヤニヤしながらフェニックスを見ます。

なんなんでしょう?この視線は。

その時のウォーロックが言った言葉
”Success comes down to the man or woman in the box.”
に反応しているようです。

そういえば、ハングマンがフェニックスと組んだドッグファイト訓練でも、
マーベリックに『Wingmanを見捨てる戦法を久しぶりに見た。』
と言われ、『お前、manって言われたぞ』と過剰反応しています。

おそらくはハングマンはフェニックスのパイロットしての
高い能力一目置きながらも、
それを”男まさり”と考えているのではないでしょうか?

それでウォーロックの”man or woman”に対して
”お前は一体どっちなの?” あるいは
”お前もと認めてもらってるじゃないか?”といった
からかいの気持ちでフェニックスを見たのです。

ヤな奴!ヤな奴!ヤな奴!

しかし、我らがフェニックス、少し渋い顔をしただけで
少将の訓話中にそんな子供じみたハングマンの挑発は相手にもせず、
すぐに視線を前に戻します。

しかし、よく見るとこめかみ自然に当てた右手の
なんと中指が立ってます。
 
あんた、鬱陶しいわね!
つまらないことで、いちいちこっち見るんじゃないわよ!
という無言のやり返しなのでしょうね。

シーンD-5

一方ルースターに対しては厳しく温かい態度です。
2回目のドッグファイトで、教官であるマーベリックに悪態をついたうえに
下限高度制限を破ったことに対して
『どうして、あんなことをしたの?』と問い詰めます。

答えたくないという風のルースターに対して、
『自分はこの作戦のメンバーに絶対に選ばれるつもりだが、
あなたがそんなことをしてメンバーに選ばれなければ
私はハングマンと飛ぶことになるのよ』と話します。

なんせ”ハングマン”のコールサインは、
Hang someones out to dry(人を見捨てる)から付いたもので、
今回もちゃんとそれを実践しているのですから、
反ハングマン派であるルースターはこう言われて、
態度を改めない訳にはいきません。

確かにこの後は、教科書通りの慎重な飛行はかわらないものの
マーベリックに対するふてくされた態度はなくなったようです。

でも、ちょっと待ってください!とまた疑問の芽が!

そうどうして、ルースターとフェニックスが二人きりとなるような
シチュエーションが実現したのでしょうか?

それは、撃墜されたペナルティーで駐機場で腕立て伏せをしている
ルースターに会いに行ったからなのですが、
ルースターと組んでいたハングマンは腕立て伏せをしなくても良かったのでしょうか?

だって今まで、ドッグファイトで負けたチームみんな腕立て伏せを
していたではないですか?

そもそも、何故単座機に乗るルースターハングマンチームを組んだのか?

う~ん、混乱してきました。
訓練の全体像を整理するという意味で、
ドッグファイト訓練のみでなく
すべての飛行訓練の内容を整理しなければならない。

そのためには準主役級のパイロット達以外の
脇役パイロットについても調べる必要があるのですが、
ある程度は、『トップガンマーヴェリックの謎を解け‼#8』で
調べがついています。

カラ・ワン小姐が扮するもう一人の女性パイロットは
ヘイローというコールサインですが、
残りのハーバートフリッツオマハイエール
全然名前が一致していない。

5月9日、29回目鑑賞の別タスクその2、緊急発動です。

目を凝らして確認しますが、ほとんど彼らにセリフはありませんし
折角ヘルメットコールサインが書かれているのに
彼らの本領発揮シーンである撃墜時さえ、画面に映るのはほんの一瞬です。
ケンシロウ並の動態視力がないと無理!

超有名シーンなのにこの画像探すの苦労しましたよ。

いや、あきらめるな!
視力がダメなら、聴力で補うのだ!

たしか単座機のコヨーテと一緒にドッグファイト訓練していた複座機は
オマハ、キル!』と言われていた。

この時紛らわしくもヘイローさんが画面に映るので、
ヘイローが、オマハだと思っている人が結構いるのです。
したがって、オマハヘイローペアで複座機パイロットである。

残りのハーバート、フリッツ、イエールが
セルフィ―さん”と勝手に名付けた3人組です。
(腕立て伏せをするルースターをバックに自撮りしていた奴ら)

この中に渓谷を抜ける低空事項訓練でルースターと組んで飛んだ
複座機のパイロットがいますが、その時
ルースターにスピードアップを促していたのはイェール

残念ながら劇場での鑑賞でわかったのはここまで、
ハーバートもしくはフリッツがイェールと複座機に同乗し、
他方は単座機です。
四分の四で、とうとう禁を破り、Amazon Primeじっくり
トップガンマーヴェリックを研究するミッションがあるのですが、
この時に画像を幾度も繰り返し見たり、
停止画像にすることにより最終的に全員のフライト記録が確定しました。)

3週間の訓練の賜物

この訓練記録を改めて見てみると、
やっぱり基本は単座機複座機のペアが基本。

ドッグファイト2ラウンド目だけが単座機どうしで特別です。

それに、ドッグファイト訓練で、ハングマン以外にも
腕立て伏せをやっていないパイロットがいました。

最初にルースターと飛んだ、ペイバック(とファンボーイ)です。
撃墜されたら腕立て伏せをしましょう”と言い出した張本人のくせに。
(ペイバックは絶対後で、お前が余計なことをいうからだぞ、って
みんなに怒られたに違いない。)

ところで、正確にはなんて言ったんだっけ、
マーベリックが定めたルールは、
”2機のうち1機でも撃墜されたら、チームの両方が負け”でした。
ほら、やっぱりチームは連帯責任だ!ちゃんと腕立て伏せやらないと!

いや腕立て伏せのルールはその後にペイバックが追加したもの、
曰く”最初撃ち落された奴は腕立て200回”です。

あっ、チームとして負けた時でも、
実際に撃墜された奴だけが腕立て伏せをやるんだ!

あー、ルースターはマーベリックに突っかかっていつも
急降下するから、僚機は上空に残されてマーベリックに
撃墜されないんだな!

それでルースターと組んだ、ペイバックファンボーイ
ハングマンは腕立て伏せをやっていないのか?

でも最初に撃墜された奴といっている!ぞ
厳密にこのルールに従うならば、ラウンド1の
第2戦のイェール&ハーバート
第3戦のハングマン
第4戦のコヨーテは、腕立て伏せする必要なかったんじゃね?

なんか勢いでやってしまったんだな!

いずれにしても、ルースターとフェニックスが二人だけ
話ができるようにするための仕掛けが、腕立て伏せペナルティーだとすると

ルースターがマーベリックに突っかかる
   ↓
ルースター1機だけ撃墜される
   ↓
ルースター1人だけ腕立て伏せをする
   ↓
マーベリックに突っかかった理由を、2人きりでフェニックスに問われる

という流れ必然的に形成されるのであるから
なかなか良く考えられている。

なお腕立て200回はきついな、というマーベリックに対して
きついくらいでないと運動とは言えませよ。』
とファンボーイが言ってましたけど、やりすぎで腕がパンパン
なったのでは元も子もありません。

実際パイロットにとって腕立て200回のキツさはどうなんだろう?

ちょっと計算をしてみました。
操縦中には急上昇急旋回に伴う機体下方向が最も大きく
F-18の許容値は7.5G
ウラン濃縮ブラント爆撃後の崖への衝突を回避する急上昇では
最大10Gに達していました。

これは腕の重量7.5倍から10倍になるということです。

自分の腕の重さなど測った事はありませんが、ネットで調べると
人間の体重の部分ごとの比率は以下の通りでした。
頭部 8%
胴体 46%
上腕8%(左右各4%
前腕6%(左右各3%
手2%(左右各1%
太腿14%(左右各7%)
ふくらはぎ12%(左右各6%)
足4%(左右各2%)

肩から先の上腕、前腕、手の合計は16%、(片腕8%)ですので
体重65kgの人間であれば、片腕が5.2㎏
これに10Gが掛かった時にはなんと、52kgになるのだから
たまったものではない。

こんな状態で操縦桿を正確に操れるものなのでしょうか?

確かに重力に逆らって、腕を前に伸ばした位置で保持するためには
上向きに力を入れなくてはならず、
これは腕立て伏せの時の上腕の動きと同じ方向。
腕立ても訓練の一環というのも道理にあっています。
ヘイローは腕立てでヘロヘロでしたが、後部座席なので
操縦桿は握らなくても良いのでしょうが、
レーザーサイトを正確に目標に合わせられるのか心配になります。

そこで、下向きのGが掛かった時と腕立て伏せ時のそれぞれで、
肩にかかる力(モーメント)を簡単なモデルで計算して
比較してみました。

ごく簡略化された計算ですが、操縦桿を握っているといっても
前ならえ”のようにまっすぐ前に腕を付き出しているわけではないので
だいぶ楽です。
一方で腕立て伏せは胴体および頭の重さから重心位置を考え
で体重の2/3(片腕だと1/3)を支えており、
しかも一番深く曲げたしんどい体勢で計算してみました。

さて計算結果は?
肩部に働く腕全体を上に持ち上げるのに必要なモーメントが
等しくなるのは、
なんと!約7G
通常の急旋回で5.7G(訓練中にこの数字が映像で出ていました)
F-18の許容値が7.5Gなので、
なかなかオーダーとしては良い値ではないですか?

腕立て伏せが苦も無くできるのであれば
許容値近いGが掛かっても、
なんとか腕を持ち上げた姿勢を保っていられるということです。

さすがに200回も急旋回を連続して行うことはないかもしれませんが
とはいえ、
許容値以下のGであれば機体の疲労強度
50万回以上の繰り返し荷重に耐えれるはずですから
パイロットが10回や20回でへたっていたのでは話にならない。

やはり腕立て伏せ200回くらいはできなけば、
パイロットやってられません!

シーンQ‐1

いよいよ、ダガー編隊が空母から発進。
ならず者国家のウラン濃縮プラント爆撃作戦に挑みます。

攻撃の順番は、レーザー精密誘導爆弾を使用する性質上
ダガー1:マーベリック単座機ダガー3:フェニックス複座機
→換気口カバーへの爆撃

ダガー2:ルースター単座機ダガー4:ペイバック複座機
→露出した換気口からプラント内部の爆撃

の順番です。

しかし何故か、発艦は
ダガー1 アウェイ(空母の通信士、ガンダムで言えばセイラさん)
ダガー2 アウェイ(同上)
ダガー3 アウェイ(同上)
ダガー4 アウェイ(同上)
の順番です。

海軍は単座機至上主義なのか? 

そしていよいよ、敵地の海岸が近づきこれから渓谷に突入、
命綱である2分30秒の計測を戦闘機各個に開始します。

カウントダウン 3…2…1… マーク!(マーベリック)
(ダガー)2 マーク(ルースター)
(ダガー)3 マーク(フェニックス)
(ダガー)4 マーク(ペイバック)

ちょっと、待って!(いつも待たせてすいません。)

はいそこ! 単座機同士でくっつかない。
ちゃんと分かれて飛ばないと、その順番じゃダメでしょ
合コンを仕切る人っぽく言ってみた)。

前に慎重なルースターがいると、渋滞します。
そうでなくとも、フェニックスはマーベリックの直後に居なくちゃ。

おかしいな!もう一度映像で確認してみましょう。
(これが鑑賞29回目の別タスクその3です。)

発艦した後、すぐに菱型の隊形を組みますね。

菱型のポジションも各機のコックピットから
後方に向かって見える、僚機の位置でわかります。
先頭頂点がマーベリック(後ろに3機見える)
左頂点がルースター(右後方にペイバック機)
右頂点がフェニックス(左後方にペイバック機)
殿(しんがり)がペイバックです。

これがマーベリックの
『攻撃隊形をとれ!』の合図とともに、
ルースターがするすると後方に下がり、
フェニックスはルースターのへ。

間違いありません、渓谷突入の段階から
ダガー1、、4の順になっています。

ではなぜ、1マーク、2マーク3マーク、4マーク
の順番なのか?

ルースターとフェニックスが入れ替わってる~

いやいや、まさかフェニックスがルースターに掛け声の先を譲った

考えてみると2分30秒というのはダガーチーム全体の持ち時間であり、
チーム全機が渓谷侵入から2分30秒以内に離脱しなければならない。
(まぁ厳密にというよりは目安時間っぽいのですが)

ならば、本来は先頭の戦闘機が侵入した瞬間にカウントが開始され、
2発目の爆弾投下した時にカウントアップして
2分30秒以内でないといけない。

まぁ百歩譲って、最初の爆弾投下が終わるまででもいいですが、
とにかくそれぞれの機が、それぞれ渓谷侵入から計測開始して
2分30秒の持ち時間を持っているわけではないのです。

つまりマーベリックのカウントダウンに合わせて
同時に”マーク”すべきなのです。

また仮にペースの目安として、
それぞれが渓谷への侵入の瞬間に計測をスタートしたとしても、
音速に近い速度で飛行しているのですから
時間差はそれぞれ0.16秒ずつのハズで、ほぼ同時みたいなものです。
(映像では飛行間隔はF-18約3機分、F-18E/Fの全長は18.38mから
55m間隔で飛行していると推定。音速は340m/sですので)

したがって、あの映像の1,2,3,4というほぼ1秒間隔
掛け声というのはリアルタイムではなく、
同時に起こった事象をあの順番に映像化しているということなのです。

これはこの後の2分30秒の攻撃シーンに、
映像では4分38秒を費やしているのと同じ理屈です。
(4分38秒はマーベリック渓谷侵入から、マーベリックの爆弾命中までの
実測時間。
ルースターは途中の遅れが完全には取り戻せなかったかもしれませんが、
マーベリック&フェニックス組は順調どころか途中から加速しているので
計画の2分30秒を超えることはありえない)

では映像はなぜ実際の順番通りに1,3,2,4にしなかったのか?

これは映画監督次第で、フェニックスにはどうにもできない事です。
誰だ!ジェリー・ブラッカイマー? ドン・シンプソン?
ジョセフ・コシンスキーか!
誰でもいいから出てこーい。

シーン・・・

ムリか。
多分、順番通りに1,3,2,4とすると
あたかもあの掛け声の間隔が(実際には同時であるにも関わらず)
現実の間隔だと勘違いする人が出るからに違いない。

すなわち敢えて実際と違う順番に映像化することで、
これらはほぼ同時なんだよ!と示しているのではないでしょうか?

もしかすると単に1,2,3,4の順番の方が
耳に聞こえが良いというだけなのかもしれませんが。

ということで
”フェニックスがルースターに気を遣って先を譲った?”疑惑
解消することができました。

やはりフェニックスはフェニックス。
実戦でもその度胸が冴えわたります。

なんせ、実戦に至っても、うだうだと悩んだルースターと違い
敵機が来たので加速するぞと言われれば、”Don’t wait for me"、
ポップアップ攻撃にいくぞ!と掛け声を掛けられれば
"Dagger 3 in position"と即答なのですから。

しかし直観力はルースターの方が勝っています。
いや『考えるな!動け』を会得した、スーパールースターが、
と言うべきか。

マーベリックが撃墜された後に、さすがのフェニックスも、
敵機はもうすぐ来るし、
マーベリックのパラシュートが開いたのも見えなかったし、
帰還命令は出ているし、で
『もう引き返せない』とマーベリックの救助を断念するのです。

かたやルースターはといえば、何の根拠確信もなく
あっさり命令を無視して引き返し、
敵ヘリコプターのバルカン砲で
マーベリックが吹き飛ばされる直前に
ヘリを撃墜して見事マーベリックのを救いました。

それにしてもバルカン生身の兵を撃とうとするなど
敵兵ひどいな!プンスカ

アムロでもガンダムでそんなことしてないぞ、
いやビームライフルシャアを狙った事があったなぁ。

多分あのヘリのパイロットも
『撃つぞ、撃つぞ、撃つぞぉ~』と叫んでいたのでしょう。

フェニックスは、そんなルースターの活躍については知る由もなく
F-14に乗って空母に帰還したルースターを
満面の笑みで迎えて、太い首に抱きつきます

きっと、ルースターがマーベリックを助けようと
逆にマーベリックに助けられて帰って来たとしても
やっぱり仲間の命を絶対に見捨てないルースターが好きなのでしょう。

そしてあれほど嫌っていたハングマンともハグ
(こちらは、普通のハグですね。)

こちらのハングマンさん、予備要員として空母で待機していたのですが、
マーベリックが撃墜された時には、いてもたってもいられず、
救助のための発艦を要請します。
そして引き返したルースターが撃墜された時の表情も
『自分が発艦できていたら、援護できるのに!』という
あのハングマンのものとは思えない仲間を思う苦渋の気持ちが伝わります。

きっとF-14で二人が戻ってきていると知った時には
喜び勇んでふっとんで助けに行ったんだと思います。

フェニックスがハングマンを認めたのは、
ルースター達を救ったからというだけでは決してなく、
予備機に回されたからといって腐らずに、
出撃したパイロットと気持ちを一つにして
この困難な作戦を経験したハングマンもまた、
見事に成長を遂げたからなのでしょう。

いや~、このシーンは何度見ても涙が止まりません。

マーベリックにとってのペニー
ルースター(&ハングマン)にとってのフェニックス
2人とも甘くは接してくれない手ごわい存在ではありましたが、
最後はやさしさに包まれて終わるところが
トップガンマーヴェリックの何とも良いところです。


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