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なぜ石油株はインフレに強いのか?

コロナショック後のインフレ拡大

米国経済ではコロナショックへの金融緩和によって市場にばら撒かれたキャッシュの影響で昨年秋冬からコアCPIが7%台をつけてインフレが進行している。
ヨーロッパでもその傾向が見られている。
アメリカのFRBや欧州のECB(European Central Bank)は金融引き締めのため、
これ以上の保有資産(国債など)を増やさず、市場に国債などを売って、市場からキャッシュを吸収していく予定だ。
市場からキャッシュが吸収されることでインフレを抑え込むのだ。

金融緩和の引き締め

金融緩和の引き締めは次の3つのステップで進められる。
 

第1に、FRBの資産購入(米国債や住宅ローン担保証券等)規模を減額。

毎月1200億ドル(約14兆円)の購入額を段階的に減額して行く。
これは、「テーパリング」と呼ばれる。
市場にばらまくキャッシュを減量することだ。
 

第2に、利上げを行い金融引き締めに転換。

利上げをするとはフェデラルファンドレート(FF金利)を上昇させることを言う。これはFOMCで決められる。
フェデラルファンドレートとはアメリカの民間銀行同士の資金の貸し借りに適応される金利のことだ。
FF金利を上昇させると通常 国債も短期金利が引き上げられるし、長期金利も上昇する。
すると金利が高いので徐々に資金の貸し借り、流通が滞るようになる。
結果として市場全体のキャッシュの供給量が低下し、インフレが改善する。

第3に、国債などの保有資産の規模を削減。

国が国債を保有せず、売るので、さらに市場からキャッシュが吸収される。
市場からさらに資金を吸収するので、市場に出回ったキャッシュが減り、インフレが抑制される。
量的緩和政策(QE: Quantitative Easing)と反対の政策として量的引き締め政策(QT:Quantitative Tightening、保有資産縮小策)と呼ばれる。

以上の3つの施策によりインフレは抑制されて行く。

エネルギー株がインフレ下で値上がりする理由

インフレにエネルギー株が強いのは

  1. 人件費や材料費といったコストをそのまま価格に上乗せして販売することができること

  2. インフレ物価が上昇した場合、実物資産(石油や金など)の価格も上昇する傾向にあるため

Bloombergの記事「インフレ不安高まる中の株式投資-ゴールドマンやソシエテのお勧めは(リンク)」でも、過去のデータによると”インフレが昂進する時にエネルギー株には投資妙味がある”と表現されている。

エネルギー株で注目の銘柄

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