社会復帰するまで24

こんにちは、先日とある方から『一緒に合唱しませんか?』とお誘い受けました。音楽の知識はほぼ皆無ですが良い経験が出来そうなので楽しみです。また歌ってみた音声は、記事として投稿したいと思います。


さて、先日からに続き今日も車椅子の練習です。

念を押しますが、僕は歩いて退院します。ただこの車椅子の操作は思った以上に上半身の力を使うので、そちらのトレーニングにはもってこいでした。

前回ビビってた前輪上げ(正式にはキャスター上げ)もほぼマスターし、院内の廊下を前輪を上げたまま走ったりして、体幹と筋力を鍛えていました。

【歩いて帰りたい】【ケガをしても始末書は書かなくていい】

順調にステップアップしている僕の姿を見て、Y先生のドSっぷりは益々レベルアップしてきました。

『いい感じやなぁ。よっしゃ!じゃあ、車椅子に乗ったまま階段下りてみようか!』


……


……???



もはや意味が分かりません。

これまた動画がありました。

この動画の5:05辺りから、階段を下りています。




これをしろと?いやいや、さすがにビビるよ…

健常者の方も是非チャレンジしてみて下さい。車椅子から見下ろした階段はもはや断崖絶壁で、イメトレをしてみても成功するイメージが湧いてきません。

先ほどの動画の方もそうですが、前輪を使うと必然的に前のめりに転倒します。ですので練習したキャスター上げの状態で、一段ずつ下りていきます。いざキャスターを上げてみると更に目線の角度は上がり、もはや階段はほぼ視界に入らず崖に飛び込むような感覚を覚えました。

『ものは試しやで!さぁやってみよう!!』

無駄にテンションの高いY先生の声にイラっとしながらも、僕は意を決して挑みました。

本当に危ないと思った時は手すりを掴んでいいという条件の下、慎重に一段ずつ下りていきます。さながらサーカスの綱渡りをしているような感覚です。

そばにいる研修生のO君も、かなり不安そうに見守っています。

どれくらいの時間が経ったでしょう?階段の踊り場からスタートして健常者の方なら10秒もかからないぐらいで下りられる段差。数分は経過していると思われます。


慎重に一段一段足を(車輪を?)進め、あと残り3段…

僕の視界に地面が見えてきました。もうすぐ終わる…



心の中に一瞬の隙が生じました…

今まで慎重に後輪に保っていた重心が一瞬の気の緩みで崩れ、後ろ向きにコケそうになりました。

これはヤバいと思い、すかさず重心を前にしたのですが…




!!!!!!!!!!


ガタンッッッッ!!!

そのまま車椅子のコントロールを失い、前のめりに転倒しました。

車椅子は階段の下に転がり横向きに倒れています。僕も同じように地面に倒れると思った瞬間、横にいた研修生のO君が腕を掴み間一髪のところで転倒を防いでくれました。


たださすがに大きい音がしたのでリハビリ室から数人のPTさんがとんで来ました。まわりの独特のピリッとした空気が流れています。

これにはさすがのY先生も申し訳なさそうな顔をしていて、

『ごめんtoshi君。ちょっと無理し過ぎたな…。もうこの練習はやめようか。』

いつになく弱気な態度をとっていました。



いや、そもそも僕が始末書を出さなくていいから無茶をしてくれと頼んだのです。普通なら車椅子での生活を送るのに、歩いて帰りたいと言ったのです。

色んな思いが交錯しY先生の顔を見てつい…



『いやいや、これぐらい全然大丈夫やから気にせんといて?それよりも、もっと早く歩ける練習させてよ。』

自分なりにY先生を元気づけるつもりでした。これで少しは元気になってくれるかなと。

この言葉を聞いたY先生は僕の顔を見て笑顔で

『オッケー!!じゃあ明日から歩きまくろう!筋肉痛が出てもおかまいなしやから覚悟してな!』





……


この人に言葉をかけるんじゃなかった…


続きは明日書きます。




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