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浪漫あるなと思った話

不謹慎だが浪漫あるなと思った話。

 旧約聖書ではエジプトで奴隷となっていたイスラエル人を助けるために神が十の災いをエジプトに齎した場面がある。そのうちの一つに、第八の災いである蝗害(こうがい)がある。蝗害とは簡単に言うとバッタが大量発生して作物を食べてしまうというものだ。蝗害が起こる理屈はわかりやすくて面白い動画がYoutubeにもあるので是非調べてみてほしい。

 とはいえ、イナゴと言われるような、子供の頃に我々が追いかけたあのバッタさんが大量発生するわけではない。日本に生息するバッタで蝗害を起こしうるのはトノサマバッタだ。ああいうでっかいバッタが蝗害を引き起こす。実際、2007年に関西国際空港の近くでトノサマバッタが大量発生したらしい。

 聖書にも記述されているほどであるから、古代から蝗害はあり、それは甚大な被害を引き起こしている。だがそれは現代でも同じらしい。東アフリカから中東あたりで現在大規模な蝗害が起こっている。

 そう、東アフリカあたりで発生しているのだ。聖書で蝗害が発生したのはエジプトのあたりだったはずだ。(当然、現在のエジプト領ではなく古代のエジプト領だろうが。)現在蝗害を起こしているのはサバクトビバッタらしいが、もしかして聖書で蝗害を起こしたのもこいつなのだろうか?そんなことを考えて私は浪漫を感じている。人間は近年飛躍的に進歩しているが、未だ神罰は克服できてはいない。

 正直、私は東アフリカの蝗害についてニュースで見かけるまで、蝗害など過去のものだと思っていたのだが、まったくそんなことはないらしい。群れの大きさ自体もどうやらkm単位らしい。それでは殺虫剤は焼け石に水だろう。過去に蝗害が起きた際は冬になり自然と治まっていったらしいが、今は春だ。当分はどうしようもないということなのだろうか。

 情報系学部に通う私が大学でゼミに当たる授業で自分のテーマを蝗害にしてみたのも、蝗害の持つ浪漫と衝撃によるものだ。情報系学部に通っていても私はど素人だし大したことはできないのだが、それでも蝗害について皆が情報を得られるようにはしたいなぁ、なんて思っている。現状では蝗害についての情報を得られるサイトは英語のものは存在しても日本語のものはかなり少ない。アフリカなんて日本の反対側の場所で起こっていることは対岸の火事、ということもわかるのだが、日本に蝗害を起こすバッタが生息している以上そう思って欲しくはないというのが私の願望だ。

 蝗害へ取り組むことは国連のSDGs(持続可能な開発目標)では二番の飢餓をゼロにすることに当たるのだろう。私の通う大学でSDGsに取り組んでいるが、当初私は、SDGsなんて綺麗事でしかないと思っていた。だが今は、蝗害のように現在存在する問題、課題には浪漫があるのではないかと思うようになった。そんな浪漫に気づける人間になりたいものだ。

 大学の講義、課題なんてつまらないと思うかもしれない。実際私もそう思う。でも自分が気づいていないだけで浪漫が潜んでいるのだろう。今回の蝗害のように。

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