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読書レビュー 魔女の原罪

 面白さ★★★★☆
 オススメ★★★☆☆
 難しさ★★☆☆☆
 ページ数:362

 ひとことで表すと……血と受け継がれる罪のミステリー

 またこの作者のミステリー小説を読んだ。これまで読んだ作品と同様、テンポが良く読みやすい。ただ、血についてや主人公が透析患者であること、町の不可解な慣習など面白い要素が散りばめられていた割にはそれが活かしきれていないように感じてしまい、もっと詳細に読みたかったと少し惜しい気持ちになった。

 大枠としては、主人公とヒロインはどちらも透析患者であり、その設定が事件の根幹に関わってくる。主人公達の通う学校は、自由な校風をうたっているがその実は違っており、あらゆる場所に監視カメラがある特殊な学校である。そこで町の不可解な慣習に関わりがある事件が起こり、そこから主人公はその慣習や町の謎に気付き調査していく中で様々な事件に巻き込まれていく……

 これ以上の展開を書くとこの小説の驚きや展開の面白さを無くしてしまう気がするのでこれくらいにしておくが、この後にはテンポよく予想できない展開が続き、飽きさせない作りになっている。

 これまで読んだこの作者の小説に比べると、法律に関する部分が少なめで、第2の主人公とも言える元弁護士の学校の先生の活躍が少し少なくそこが惜しいと感じた部分かもしれない。終わり方も多少唐突感があるが全体としての満足度は高く感じた。

今回の本:魔女の原罪 著 五十嵐律人 文藝春秋 2023

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