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読書レビュー 経済を動かす単純な論理

 面白さ★★★★★
 オススメ★★★★☆
 難しさ★★★★☆
 ページ数:233

 ひとことで表すと……バブルとは一体何なのかについて理解できる本

 この本では、投資とバブルについての基本的な考え方について、わかりやすく説明されている。
ただし、2009年の本なので最新の状況については反映されていない。リーマンショックの影響、サブプライムローン問題については言及されている。

 まず投資の基本的な構造について説明されており、株式投資や、投資信託、大数の法則についてなど、知っておくべき経済に関する基本的な情報について知ることができる。大数の法則とは、要はリスク分散の法則であり、投資に対する期待値が良くても、低くなる可能性があると投資しづらいが、その可能性を分散できるだけの投資が可能であれば、確率は収束し期待値通りの結果が得られるため期待値の高い策を選ぶことができる法則である。銀行やファンドなどはその法則を利用して利益を得ている。

 後半はバブルについて、本質的理解を促すような内容になっている。説明はまず貨幣という制度がバブルである、というところから始まる。現在私たちが使っている貨幣は、国というものの信用から成り立っており、それがなければただの紙切れである。要はただの紙に実際以上の価値が生まれており、それがバブルであるというお話である。その論に沿い話は進んでいき、いわゆる80年代の日本のバブルは崩壊してはいないという話につながっていく。詳しくは説明が複雑になるから省くが、気になる方は読んでみることをオススメする。

 この本を読んで、タイトルの通り、経済が単純な論理で動いていることがわかった。ただし、論理が単純なだけでその構成要素は複雑多種多様で、制御が困難であることも理解できた。昨今各国の政情不安などで円安や株式の高騰など、さまざまな経済的に大きな動きがあるが、このバブルとリスクの考え方を適用することで、これからの経済について予測することは個人としても重要なことだと感じた。

今回の本:経済を動かす単純な論理 著 櫻川昌哉 2009 光文社

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