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読書レビュー 人間関係ってどういう関係?

 面白さ★★★★★
 オススメ★★★★☆
 難しさ★★★★☆
 ページ数:205

 ひとことで表すと……人間関係とは何かについて考え、独自の定義をしていく本


 この本では、人間関係について、友人や恋人、家族などといった不安定で一意に決まらないものではなく、その性質から、新たな関係性の考え方を提示している。

 まずそもそも友人や恋人、家族が不安定というのはどういう意味かと言うと、例えば友人や恋人であれば友人と恋人は両立する状態があるかもしれないし、どちらとも呼べないような男女関係、もしくはそもそも男女関係ですらない(同性の場合ももちろんある)場合があり、その定義というか有り様は様々で定義が明確でない。

 著者が考える人間関係の考え方は、2つのマトリクスで考えるもので「タテ」と「ヨコ」、「相補」と「共同」で考える。例えば、ヨコの相補的な関係の例で言うと、夫婦や恋人関係が挙げられる。「ヨコ」はすなわち関係性が基本的に対等であることを表し、「相補」はその名の通り相互に補いあうものであることを表している。その対極にあるタテの共同関係の例では、先輩後輩や上司部下の関係が挙げられる。「タテ」は関係性に上下関係があることを表し、「共同」は例えば部活や会社などの共通点で繋がっていることを表す。

 この著者の考え方で人間関係を見ることで、人間関係について正確に分類でき、深く考察することが可能になると考えられる。人間関係の問題が解決に近づく場合もあるかもしれない。内容は人間関係に関する本にありがちな感情や倫理に寄った内容ではなく、終始論理的な説明で非常に興味深く感じた。

今回の本:人間関係ってどういう関係? 著 平尾昌宏 筑摩書房 2024

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