透明駒の解き方とその手筋(1)

 以下では、「第5回透明駒解答選手権」への参加希望者を主な対象として、透明駒の解き方の一寸したコツと代表的な手筋を紹介したいと思います。透明駒の基本的なルールは既知としますので、もしそこから確認したい場合は
透明駒をはじめから(1)|青のKK|note
透明駒をはじめから(2)|青のKK|note
透明駒をはじめから(3)|青のKK|note
透明駒をはじめから(4)|青のKK|note
透明駒をはじめから(5)|青のKK|note
などを参照して下さい。

(1)「反則」の利用

 まず、是非覚えてもらいたいのが「反則」をすること。といっても、二歩とか行き所のない駒のような、本当にルール違反の手を指すのではありませんよ。一見反則に見えるような手が合法になることから、透明駒の情報が得られることが非常に多いのです。

           (A)

協力詰 3手(透明駒2+0)

41馬、33角合、52馬迄3手。

「反則」の中でも特に強い印象を与えるのが、「自玉に王手がかかっているのに防がない」という筋。これを王手放置の手筋(或いは疑似逆王手の手筋)といいます。2手目は一見逆王手に見えますが、それに構わず52馬とするのが透明駒特有の妙手。これが反則でないことから先手の透明桂が44にいることになり(角は売り切れ)、これで確かに詰んでいます。
 この筋の姉妹編と言えるのが次作。

           (B)

協力詰 3手(透明駒1+1)

X、43飛合、22と迄3手。

 わざわざ飛合を出しておいて22と!とするのは、普通の詰将棋しか知らない人には思考外の1手でしょう。しかし、これが反則でないことから23に後手の透明駒がいることになり、それは飛・金以外の駒種なので(もしそうなら、初形で先手玉に王手がかかっていることになり、初手が非合法になる)いずれの場合もこれで詰みとなります。いわば「わざと自玉を敵駒の利きに晒す」ことで、後手透明駒の位置情報を得た訳です。

           (C)

協力詰 3手(透明駒1+0)

23歩、11玉、X迄3手。

 詰将棋における代表的な禁手といえば打歩詰ですが、これも透明駒を判明させるのに利用することができます。
 例えばこの図。透明駒がなければ23歩は勿論打歩詰ですが、透明駒があるので2手目11玉と応じることで21か31に何か先手の透明駒がいることになります。21にいるならこれは角か銀ですが、これは3手目に駒を取らずには動けません。よって3手目Xは31にいた金(か小駒成駒)が21に寄る手だったことになり、これで詰んでいます。

 これら以外にも、「一見反則だが、透明駒があるために合法となる手」は色々あります。あなたはいくつ思いつきますか?

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