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長編連載小説『サンキュー』第855話。

 俺は、作家業が面白くなるにつれて、雄一とは、距離ができていった。当然だ。認知症の老人など、面白くないに決まっている。映子も、徐々に、雄一と距離を置くようになった。俺たち夫婦は、結託して、雄一を無視しに掛かった。これも、また、当然で、認知症の老人など、元々が、面白くない。俺は、元々、ミステリー作家とあってか、ぶっ飛ぶような面白いことが好きで、認知症の老人など、端から相手にしないのだった。俺にとって、刺激とか、エキサイティングなことが一番で、はっきり言って、認知症の老人など、どうだっていいのだ。それは、はっきりと言える。いつしか、俺たち夫婦と雄一は、距離ができていった。当然と言えば、当然だ。(以下次号)

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