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長編連載小説『レター』第16話。

 俺も、深夜、仕事をする。パソコンに向かうのは、孤独な作業だ。疲れを覚える。実際、風呂に入るのだって、夜遅くとか、明け方になるし、ちょっと寝たと思ったら、もう朝だ。寛子は出かける時間である。俺も、腰とか、膝が痛い事があった。年齢的な物だ。コルセットを使っている。実際、40を過ぎてから、そうなった。

 妻は、お洒落もするし、望の事になると、死ぬ気で頑張る。愛娘が可愛くて、しょうがない。また、俺も、娘の事なら、何をしても良いと思う。寛子は、多少仕事で疲れても、子供の食事の準備とか、洗濯なんかは怠らない。義父の事で苦労したが、俺は、そういった苦労は別に良かったと思っている。今考えれば、有り得る事で、無駄だったとは思わない。

 寛子は、出かける時に、必ず、化粧もしっかり目にしていく。オバサンのお洒落で、俺も止めない。別に良いのだ。パートに出ていても、しっかり頑張っている。俺も、そんな妻を応援している。互いに、一心同体なのだ。もちろん、苦労だって、折半である。仕事で徹夜しても、娘に付いていてやるのは、当然の事だ。

 俺たちは贅沢をしない。所得が少ないから……。でも、幸福だった。人の幸福度など、また別個だ。稼ぎなどとは、全く別で……。(以下次号)

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