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長編連載小説『サンキュー』第643話。

 映子が嫌がり出すたびに、奈々たちも、雄一に対して反発し始めた。父はいよいよ、居場所がなくなった。もう、終わりなのだ。映子も無視した。義姉も、前川家から遠ざかった。雄一の認知症は、酷くなった。もう、父は終わりなのだ。俺も見捨てた。レビー小体型認知症という物ほどの罪はない。また、近所の人間も嫌がり出した。雄一にあるのは、テレビかラジオだけだ。そして、父の事を嫌う人が増える毎に、雄一は、もう、居場所がない思いしかしないようになった。それが、認知症の正体だ。(以下次号)

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