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AI未満人材とは何?日本大学の役割とは

AIが人間の能力を超えるというシンギュラリティが起こるのではないかと真面目に議論されるようになりました。結局、越えるのか越えないのかはよく分からないですし、越えるとしてもいつ越えるのかは分からないでしょう。

すでにAIはグーグル検索にも使われるくらい身近になっていますし、AIという言葉を聞いて知らない人は少ないのではないでしょうか。もちろんその仕組みはよく分からないでしょうし、私もよく分かっていません。

さてそうした中で、AIに負けない人間になろうという話が当然出てくるわけです。AIに負けないためには計算が早い、記憶力があるとかではなく、独創性が求められると言います。しかし、今回の日経ビジネスの特集はAIと人間という話ではありませんでした。

AIよりもかなり劣る人間がいる、そしてそれをどうしたら良いかという問題を大学教育との関係で述べています。日本の大学教育が出てくると、日本の大学はダメ、海外の大学が良いという話になりがちですが、今回の記事はバランスが取れているし、日本の大学の形を進化させようという論調で、大変好感が持てました。

そこで今回は日経ビジネス2019年10月28日号の記事を紹介しつつ、日本の大学について考えたいと思います。

優れているスウェーデン型モデル

優れている大学モデルとして出てくることが多いのはスウェーデンのモデルです。福祉国家でもあるので、そちらでの登場回数も多いですね。スウェーデンの大学は完全に実学主義の大学で、職業と直結しています。そのため学ぶ意欲が高いと言われています。

また大学を卒業すれば即、その能力を発揮できるということで、司法試験もありません。どの方もみな即戦力として卒業していくわけです。そのため企業も常に即戦力の人材を雇うことが可能であり、日本のようにOJTが必要ないと言われています。

そしていつからでも学びなおせるため、途中で挫折してもまた社会復帰ができます。実際に「大学の在学生40万人(2009年)のうち、25歳未満は45%、25~30歳は22%、30~40歳は18%、40歳以上が15」の構成です。これは日本の大学とはずいぶん違うでしょう。

日本型大学モデルはオワコン?

このように実学主義モデルが成功していて、世界的にもこちらのタイプが主流だと言われています。日本の産業界も実学主義がいいと言って大学を批判していましたよね。これまで日本企業は自分たちで専門的な知識を教えていました。これがOJTであったり、自分で学校を作ったりした理由です。

しかし、その余裕がないのかもしれません。即戦力が欲しいので、大学には実学主義になってほしいのでしょう。しかし、こうした実学主義も問題がないわけではありません。

フランスでは若者の失業率が20%に達した。即戦力を求める企業がビジネス経験のない新卒よりも、経験者を優先して採用しているのが一因だとされる。
(中略)
対称的に日本企業は、大学で学業を怠った学生でもOJTで教えることを前提に企業は採用してくれる。即戦力であることは求められず、採用枠を巡って経験者と争う必要はない。結果的に若者の失業率は3%台と、OECD諸国の中では最低で、社会は安定している
(51頁)

つまり若い人が就職できないという問題が出てくるんですね。まあロスジェネ世代としては、新卒一括採用のおかげで、今も就職できずにいる人がいるわけですが、新卒一括採用を無くす弊害もあるわけですね。

日本の大学教育の課題とは

それで結局日本の大学の課題は学ぶ意欲が少ないということと、教育費がかかりすぎるということです。教育費に関しては国の政策としてやっていけば可能だと思いますが、学ぶ意欲をどうやって起こすかは工夫が必要です。

プロ教師の会は「子供たちの能力主義に対する諦めと、それに伴う学ぶ意欲の消滅」としていますが、確かに努力しても報われないとなれば、勉強もしなくなるのは当然です。それでスウェーデンではいつでも学びなおせる仕組みがありますが、日本はどのような対策をしているのでしょうか。

日本の場合は実学主義ではありません。しかし、必ずしも実学主義がいいというわけではありません。これだけ時代の変化が激しいと、特定の技術のみを学んでいたのでは、時代の変化に着いていけないからです。

そこで日本の場合は各大学が企業とコラボしたり、独自のカリキュラムを作るなどして、学ぶ意欲を引き出そうとしています。これは大学生だけでなく、社会人の学ぶ意欲も引き出すことができるとのことで、一石二鳥なのです。

ただそれでも学ぶ意欲を引き出すのはなかなか難しいと思います。学びが何に繋がるのかが見えていないわけですね。それが必ずしも仕事である必要はなくて、純粋な面白さや好奇心をどう引き出すのかはとても難しい問題なのかもしれません。

まとめ

日本の大学はこれからも今も教育システムを取り続けるとは思いますが、その中で、どうやって学生の学ぶ意欲を引き出すのかは重要です。大学生だけでなく、小学生や中学生、さらには高校生もそうです。学ぶ面白さを引き出す工夫がこれからも必要になってくるのでしょうね。

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