「仕事ができない」が見える化される時代
最近、電車に乗っていて「乗車率が低くなってない?」と思っている。周りに聞いても、意外とリモートでの仕事になっている人が増えているのだ。「家に旦那がずっといるのがウザい」という声も聞こえてくるのだが、それはまた別の話でリモートになるといろいろな会社の問題が見えてくる。
「リモートなんかできるわけないだろ」と言っていたのに、コロナになってリモートにせざるを得なくなり、「リモートできない」と言っていた人が実はリモートが嫌だったのではなく、仕事そのものができなかったのだということがわかってきた。
今までは会社にいるだけで仕事をしているかに見えた人。それがリモートになったら会社にいるだけはできない。仕事をしなければならない。リモートは業務を切り分け、ジョブ型で仕事を進めないとうまくいかない。
期せずしてメンバーシップ型からジョブ型へと転換したのだが、ジョブ型雇用に変更したことで、仕事を各社員へと割り振るようになった。ここで改めてジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用の違いを「パーソル研究所」のサイトから紹介しておこう。
「ジョブ型雇用」とは、従業員に対してジョブ・ディスクリプション(職務記述書)により職務内容を明確に定義し、労働時間でなく成果で評価する雇用システムだ。これに対して、日本型雇用システムは、「メンバーシップ型雇用」と呼ばれる。就職ではなく就社であり、会社のために残業などの長時間労働、転勤、異動などが当たり前で、労働時間や勤務地、職務内容を限定しない働き方だ。
このように仕事は成果で評価せざるを得ないのである。しかし急激なジョブ型雇用への変化は「仕事ができない」を見える化してしまったのである。
苦しむ40代・50代
生産性が上がったと答えた人の割合は、「39歳以下」だと45.7%に達する。半数近い人がテレワークによって生産性を引き上げている。ニューノーマル(新常態)の時代における理想的な働き方をしているといっていいだろう。
ところが「40歳代」だと生産性が上がったと答えた人は24.1%まで下がり、「50歳代」に至っては19.4%まで減る。39歳以下よりも26.3ポイント低い。「60歳以上」はやや持ち直すが、それでも39歳以下には及ばない。
生産性が下がったと答えた人の割合は、60歳以上が56.3%と最多だった。50歳代は53.7%、40歳代は42.6%と続いた。39歳以下は37.1%にとどまった。若手や中堅の方がベテランよりもテレワークを上手に使いこなして仕事を進めている。こんな実態が改めて浮かび上がった。
リモートになると生産性が下がったと答える40代と50代が多い。そもそも生産の定義が難しい。すべて自己判断。「以前から生産性が低いだろうが!!」という人も中にはいるだろう。
ただそれは隠れていた。椅子に座り、なんとなくパソコンをいじっているだけでも仕事をしているように見える。もちろん成果物はないので、「あいつ仕事してないな」と思われていたのだが、それでも会社に来ているから良しとされたのである。
しかしリモート環境では純粋に成果物で評価される。なぜなら各自に仕事が割り振られているからだ。そうすると使えないかどうかが本当によく分かる。
「従業員アンケートでもテレワークで生産性が上がったという回答が多数派だったのに、テレワークに適応できない一部幹部が『俺は生産性が下がったと思う』『人との出会いが大事』との言葉とともに鶴の一声で出社日を設定した。通勤も職場の環境も苦痛だし生産性も下がる。出社を強いて足を引っ張る幹部にはスキルアップを促したい」
ここまでくるとまさに老害だと言われても仕方がない。業務効率化ではなく、自らの権利を守るのに必死なのである。そしてそれが幹部にいる…。若手は報われないと思ってしまうのだ。
これからの時代を生き抜くために40代・50代がすべきこと
実は私も40代だ。経営に関わる役員であるため、解雇されることはないが、常に挑戦し続けている。そもそも我々の世代は年金もどうなるか分からず。80歳まで働かないといけないかもしれない。
40代でもまだ先が長い。引退はまだまだ考えられないのだ。そのため管理職だからとただ指示しているだけではいけない。新しい事業に挑戦したり、個人で仕事を取ったりしなければならない。
こうした考えを持っている人は少なくないと思う。もはや正社員だからと生き残れる時代ではないのである。そこで副業はオススメだ。自分の能力を底上げするのに適している。
ただし現在の副業、ジョブ型なので、プロでないとなかなか仕事がとれない。そのため自分の仕事に近いもの以外で副業するのが難しくはある。しかし、それでも探せば案件はあるので、能力アップのためにも積極的に副業挑戦はアリだろう。
もはや40代・50代は肩たたきされる側になっている。それでも生き残らなければならない。少しでも生き残れるように、自分を磨いていくしかないのではないだろうか。そんな時代に私たちは生きているのである。
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