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長編連載小説『流刑地』第18話。

 天井の蜘蛛の巣は、まだ張ったままだ。誰も取らない。まあ、ロシアとか、そういった風土で、皆、知らんぷりだ。あたしは、改めて、この土地の冷たさを思った。凍土が延々続き、外れの流刑地は、冷たい。Instagramは、まだ使えないけど、地下鉄を出れば、使える。あたしのアカウントは、人数が多い。フォロワーは、結構いる。現地の人もいて、あたしの交友関係は広い。トルーニャは、ゆっくりと足を組み替えて、宙を見つめる。

 地下鉄内は、大勢の人がいた。ここは、僻地だ。ロシアというのは、ツンドラ気候である。寒い。あたしも震えていた。あまりの冷えに……。あたしも、品川オフィスで、燻ぶっている事があったが、別に日常など、普通に流れる。あたしの地下鉄内などでの過ごし方は、大抵、スマホを見る事だ。スマホさえあれば、パソコンもタブレットも、持ち歩かなくて良い。あたしも、大きな荷物を持ち歩く事はしない。元々、あたし自身、身軽だった。ハンドバッグと、化粧ポーチ、それに、メイクを直す際に使うコンパクトがあれば、平気だ。トイレでも、化粧直しをするし、普通に身軽に行動して回る。(以下次号)

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