セリエA20-21欠席裁判part3

シーズンも終わった。シーズンを振り返っていくぞ。3度目の欠席裁判だ!

キャプチャ

ユベントス 4位 勝ち点78

レジェンド監督による大躍進、スーパーリーグによる大収入、10連覇達成の記録、すべて夢に消えちまったユベントス!

アニェッリ会長はUEFA側とESL側の2重スパイだったため、UEFAとの関係は悪化しそうだし、監督交代は上手くいかなかったし、厄年だなこれは。

さて、ピッチに目を向けると、ロナウド活かすことと競り合うゲームで勝ちを逃すチーム守備のバランスで苦しんでいた。コーチすら未経験だったピルロの監督1年目は厳しかった。それでもコッパイタリアを獲って無冠は阻止、デリフト、クルゼフスキ、キエーザと獲得した若手が一定の活躍を見せるなど、いいところもあったという印象だ。

最も大きかったのは、CL出場権の確保。来季はピルロを解任するのかどうか不透明。ただ、選手層の厚さはセリエAトップだと思うので、来シーズンの復讐に期待したいところ。

セリエBから這い上がってきて、セリエA9連覇、CL準優勝2回まで漕ぎつけた彼らはまた這い上がってくるだろう。

ちなみに管理人の優勝予想はユベントスだった。ピルロの手腕には期待していたが、ローテーション起用が多すぎて結果としてチームを固められなかった印象。ペップリスペクトもそこまで行くとやりすぎ。というか、ペップもキャリア初期のバルサではメンバーを固めるやり方だった気がする。まだまだピルロには経験が必要だと思うので、これで放逐してしまうのではなくて経験を積んで欲しい。

インテル 優勝 勝ち点91

優勝!スクデット!やったやった!ルカク、ラウタロを中心にした攻撃陣とボールを運ぶことと堅さを両立させていたMF、DF陣。とくにDF陣の踏ん張りは大きかった。ハンダノビッチがやっと報われた姿を見ると泣ける。

それでもクラブの体制がマロッタ、コンテと元ユベントス首脳陣なのは笑える。まぁ経営陣はイタリア人でもないし、優秀でセリエを知ってる人材を素直に登用したのが功を奏した。

ただ、スクデットをとれた要因の一つは、CLのGL敗退。特に4位での敗退だったので、ELにも出場できなかったため、セリエAだけに全力投球できたのは大きかった。本当に一番の要因がこれなので、来シーズンはどーすんだろう。

コンテが欧州で勝てない点が全く改善されないので、ここがかなり心配な部分。

そして現在、中華資本がコロナの影響で焦げ付いて、今後どうなるのかが不透明。アメリカ資本からの融資を受けたが、その融資を返済できなければ、ミランと同じようにアメリカ資本となる。まずは来シーズンから緊縮財政の予定なのだが、それを受け入れなかったコンテ監督が辞任。優勝したにもかかわらず、財政問題で監督交代という切ない終わり方となった。

未来がコロナで見えにくいご時世の影響をイタリア王者が受けるというのは、なかなかイタリアサッカー界の財政難を感じる出来事ですなぁ。

ミラン 2位 勝ち点79

短距離走ちゃうねん。マラソンやねん。こう言いたくなるミラン。序盤のスタートダッシュはなんだったのか。

ただ、離脱者が戻ってくると、途端に強くなり、2度目のユベントス戦などは、めちゃめちゃ強かったぁ。土壇場でのCL出場権獲得はさすがの一言。

経営陣を見ると目指しているのは、かつてのアーセナルのような売りながら勝てるチーム。今だったらドルトムントとか?なのかもしれない。レオン、エルナンデス、トモリ、ディアス、サーレマーカーズなどの若手、中堅どころは来季もセリエAで見たい顔ぶれ。さらに、ベテラン陣の頑張りも凄かった。トモリを支えていたケアー、最前線でキーマンであり続けたイブラヒモビッチの存在感は圧倒的だった。このメンバーでのCL出場権獲得は本当に価値がある。

なんでもいいから来季はタイトル獲得に期待したい。階段は一歩ずつ。

ローマ 7位 勝ち点62

EL出場権も逃したローマは、早々にモウリーニョ監督就任を発表。これはずるい。今季の反省の前に話題作ってごまかすのは、オシムって言っちゃった日本サッカー協会の得意技でしょ。

今季の、ペレグリーニ、スピナッツォーラ、マンシーニ、クリスタンテのような若手、中堅イタリア人と実力派ベテランのジェコ、ペドロ、ムヒタリアンを組み合わせるのは、ある意味で理想的なチーム構成だった。

おそらくモウリーニョに魔改造されて焼き畑農業と思ったら、今のメンバーは尊い。

フォンセカはシーズン終盤、チームに自信が欠けているから勝てない、と発言。それに対してアッレグリは半笑いで、シーズン終盤であればそういう問題はもう解決されてないといけないだろ、って言ってた。このコメントがすべてかなと思う。

来シーズンのモウリーニョについては、別記事で書きます。

ラツィオ 6位 勝ち点68

やっぱりCLとの両立は難しい。とくにラツィオのようなクラブであれば余計に難しそうだ。

それでもCL敗退後の強さはやはり本物。ラツィオが選手層の薄さをカバーできればどうなるのかは見てみたかった。多分、そこまでお金はかけてこないだろうから、見ることはできないのだろう。

さて、監督シモーネ・インザーギは契約延長しておらず、このままフリーになりそうだなるかもしれない。ポストアッレグリと噂されていたインザーギの動向はセリエAを動かしてもおかしくないと思うので注目。ただ、ここで見放されるとラツィオの選手たちは少し可哀そうでもある。

今季はインモービレが不調そうだったが、結果的に19ゴール。というか19ゴールで不調そうと言えるところが、インモービレの素晴らしいところ。よくドルトムント、アトレティコ、セビージャでの苦しい経験から立ち直ってくれた。

アルベルト、サビッチのデキは、今シーズンも上々だった。そろそろ売り時でもあるが、移籍市場が動きにくいだろうから残留もある。

もし、主力が残留し欧州戦がなければ優勝もあり得るメンバーだと考えている。最大のキーマンがインザーギになりそうだ。

ナポリ 5位 勝ち点77

試合を見ていると質は高い。でも安定はしていなかったナポリ。そもそも、離脱者が多すぎで厳しいシーズンになった。とくにメルテンスが離脱がちになってしまって高齢化を感じる。

最後の最後までCL出場権を争っていたが、ヴェローナの前に引き分けとなりCL権は逃してしまった。涙目のガットゥーゾを見ていると、こちらも泣きたくなってきた。あと勝ち点2足りんかったってのは切ない。

ピッチ上を見ると、インシーニェが気を吐いて大活躍。個人としての活躍だけだと、今まででベストだったような。ジエリンスキもトップ下として半覚醒くらいはしてそうなので、ネクストハムシクになって欲しい。サイドのアタッカーは層が厚いので、後1、2枚中央の選手が安定して活躍できれば未来は明るそう。

さて、シーズン終了後にガットゥーゾは解任となり、ナポリの監督に誰が就任するのか。ここが楽しみなところだ。サッリ監督のユベントスを経由しての帰還をファンが許すのか。それとも別の監督を連れてくるのか。どちらにせよ、ナポリ人とチームのメンバーは一癖も二癖もある。誰が適任なのかが難しい。

近年アンチェロッティが制御しきれなかったのはバイエルン、ナポリだけってのも変な話よね。

アタランタ 3位 勝ち点78

エースにしてスターのパプゴメス退団の影響でダメダメにならないのはなんでですか。答えてください。

強固な戦術的骨格を備えているアタランタは、今年も強かった。ゴメスの後釜がペッシーナ、パシャリッチで、大丈夫か?と思った人は僕と一緒に謝罪しにいきましょ。

ベルガモ地方はコロナの影響を最も受けた地域の一つだったが、後半戦の追い上げには、勇気づけられた人も多かったんじゃないだろうか。観客の声がスタジアムに響かないけど、彼らはベルガモの誇りでしょう。素晴らしい。

ただ、不安なのがイリチッチとガスペッリーニの関係も怪しいとの報道。ムリエル、サパタの起用法にも個人的に違和感がある。ガスペッリーニの長期政権を目論んでいて、チームサイクルを進めるためならば良いのかもしれないが、ローカルヒーローたちを簡単に売り払う姿勢は、なんとなく寂しい。監督と選手との不和がきっかけでチーム崩壊は、見たくないぞ。そろそろガスペッリーニさんには丸くなってほしいけど、丸くなったらチームの強固さがなくなるのかな。

総括 ~どんぐり~

さて、シーズン終わってしまった。管理人としては、本当はインテリスタのくせに、優勝予想でユベントスをあげており、本当に謝罪会見、執行猶予だ。

ただ、インテルの優勝要因はCL敗退なので、来季どうなるかは未確定。さらにインテルの中華資本がコロナで焦げ付き、チーム戦力売却の予定。その経営方針に納得できないコンテ監督とも、悲しきお別れとなった。

CL出場権を獲得したチームを見ても、ミランは軸にしたベテランがいないと不安定になってしまう弱点があり、アタランタは1つサイクルを回そうとペッシーナ、マリノフスキーら若手を使おうとしていて、ユベントスはロナウドを活かしながらバランスを確保するのに1年間苦しんだ。

こうしてみるとセリエAはユベントスが苦しんで以降はどんぐりの背比べ状態だ。

ここにラツィオ、モウリーニョのローマ、あと一歩のナポリが加われば、シンセブンシスターズでの争いは拮抗したものになりそうだ。

キーになるのはコロナで動きが少なそうな移籍市場で、どのまで賢く動けるかだろう。これは選手人事だけではなくて監督人事も含めて、いかに軸をもってチームを構築できるかどうかにかかってきている。

あと考えてみるとここ10数年セリエA優勝監督が、アッレグリ、コンテ、サッリしかいない。イタリア人でも、そうじゃなくてもいいので、誰か新顔を見てみたい。

番外編サプライズチーム

管理人が気になったチームについて語っていきたい。

まずはスペツィア。シーズン初めはサッカーキングのようなメディアにも情報が少ない状況だったが、結果的に残留。しかも、サッカーがポジショナルプレーと若手イタリア人選手の中盤とローマが喜びそうなスタイルだった。監督のイタリアーノは今後トランジションでのディフェンス整備ができれば、イタリア屈指の指揮官になれそう。ポベガ、メッジョリーニの中盤2人がU23イタリア代表に選出されているので、その選手たちにも注目。

次にエラスヴェローナ。終盤戦はペースを落としたものの、ナポリを地獄に叩き込んだチーム。ユリッチは師匠であるガスペッリーニ同様343マンツー気味のディフェンスを軸にバランスの取れたサッカーを見せている。あと2枚くらい尖ったアタッカーがいれば大化けしそうなチームだ。それこそ、カリニッチ、ラザーニャ同時起用とか見てみたい。

最後にサッスオーロ。サッスオーロに関しては監督がポゼッションの狂人デゼルビになって以降、かなりサッカーの質が向上。とにかく繋ぎの質、特にボールの綺麗さはセリエAナンバーワンだった。選手を見ても、ベラルディはイタリア代表でスタメン争いできる選手となり、ロカテッリは欧州のポゼッション型チームの補強ターゲットとなっている。ラスパドーリがイタリアA代表に召集されたのも驚きだった。

そんなデゼルビが、来シーズンからはウクライナのシャフタール監督に就任。シャフタールは、久々に優勝をディナモキエフに明け渡してしまったらしく、ここが招聘のポイントだったようだ。デゼルビのような監督がセリエAでの出世コースではなく、海外からCL出場を狙えるチームへ移籍してステップアップを図るのは興味深い。

そして、サッスオーロが誰を監督に招聘するかにも注目だ。監督選びではチャレンジを続けてきたサッスオーロだけに、楽しみだ。

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