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できるだけ、ご機嫌で~自宅安静妊婦~


お腹の中に残っている血の塊は、まだ赤ちゃんの近くで、深い闇のように居座っていました。

「安定期に入るまで入院してたほうがいいかもしれないけど、息子さんのことや家ことも気になるだろうから、自宅安静で様子をみましょうか」

こうして退院することになりました。

これまでの経過はマガジンをご覧ください。

https://note.com/tosoro/m/mc6cad6bb672c


ようやく息子に会える、寝てばかりだったけど好きに動ける。
心弾む反面、仕事は休むけど家事はしなくちゃいけないし、入院してるようにはとてもいかないな~と不安でした。


自宅安静をされている皆さんは、どうでしょうか。

先生の指示を守りながら、納得いく生活を送られていますか。

私はダメでした。

お昼寝が嫌い!だらだら過ごすことが苦手!

何かしてないと「時間を無駄にしてる」と自分にダメ出しする性格で、家の掃除とか洗濯とか、ついごそごそと。。。

心の中で、もう一人の自分が、そろそろやめといたら~と小さな声で言ってくるのを聞かない振りして、「もうちょっと、もうちょっと」と頑張ってました。

主人のほうが見かねて、「そんなに動いていいの?横になったら?」と心配そうでした。


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つい動きすぎると、そのあとにくるのは罪悪感でした。

「動いちゃったけど大丈夫かな。。。」

読書が好きで、自宅安静の指示がでたときに、真っ先にしようと思ったのは読書でした。ところがいつもは集中して読める推理小説や小説が面白くない。集中できない。物語にに入っていけない。最後まで読み進められないことが多かったです。

殺人とか暴力とかのシーンに拒絶反応があったり、複雑な内容を理解する頭のスペースがなかったり、登場人物と自分との間に隔たりがあって、感情移入できなかったり。

雑誌をめくったりするのも、ただ時間をつぶしているようで、長くはできませんでした。


そして、ネットサーフィン。
「自宅安静」とか「出血」とか、気になることを検索しては、「安静中にこんなことしました」とか「退屈でした」とか、お医者さんなど専門家の情報提供だったりとかを貪るように延々と見ていました。

「なるほど」「へ~」と参考になる記事も沢山あるのだけど、併せて悲しい記録も色々出てきて、目も疲れてくるし、つらくなって気分も悪くなることもよくありました。

結局、気分転換にもならない。まだつわりも残っているようでした。

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私がネットで検索していたのは、私自身の妊娠の行方でした。 

それはどんなに人の記録を読んでも、専門家の知識に照らしても、知る由はなかったんだけど。

自分の気持ちをよく見つめてあげるべきでした。でもケータイを手放せなかった。

そして安静指示を守れない、思うように生活できない私の気持ちの焦りの矛先は、息子でした。退院してすぐの再会を喜んだのも束の間、私は甘えてくる息子にダメ出しばかり。お散歩は一緒に行けないよ、幼稚園の送り迎えはパパかばあばだよ、抱っこは無理だよ、禁止することばかり言っていました。

体力を使わなくても、息子の心を満たしてあげられることは色々あったのに、この時の私は、いつも冴えない気分で、お腹の子のことをじめじめ思って暮らしていました。
息子はそれに文句を言ったり暴れたりすることもなく、じっと耐えていました。
パパと二人の生活で男同士の絆を深めて、本当はとてもママっ子なのに、とても頑張っていました。


お腹の中で赤ちゃんは頑張っている、今日もドクドク鼓動しながら、すごいスピードで成長してくれてる、私も頑張ろう、でも何を…自宅安静、安静にすることが今の私のすること、赤ちゃんのためにも、できるだけご機嫌で。

そう分かっていても、心の杖を、ケータイの中に探してしまいました。


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