転院
切迫早産で入院中に、多量に出血しました。
今日は出血が落ち着いた朝のことの書きます。
朝9時ころ、主治医の先生が来られました。
私は自分の個室ではなく、診察の脇の簡易ベットに横たわっていました。
ベットの周りは、ぐるりと白いカーテンで囲われ、ベット横に置かれた小さな丸い椅子に、夫は座りにくそうに長い時間腰かけていました。
主治医のT先生は、
「昨晩大変でしたね。出血が落ち着いているので、とりあえず経過観察で」という内容のことを手短に言って出ていかれました。
夫は、「実家に電話して、何か食べてくる」と言って、椅子を立ちました。
長男を実家に預けて来ていました。
そこへまた主治医の先生が顔を出し、
「出血量がかなりありました。お腹が張ってこれだけ出血するとなると、お産の時が心配です。ここは子ども病院で、大人の出血に対応できる輸血量も限られている。近くの大学病院に転院してもらいたい。お産で胎盤が出ても出血が続くことがあり、そうなると、最悪、子宮を取らなければいけません。でも大学病院なら、子宮を取る前にできる措置もあります。輸血にも対応できる。ご主人には、先ほど廊下で出会ったので伝えました」
とのこと。
子宮を取らなければいけないかも、と聞いて、驚き、怖く悲しくて涙が出ました。
赤ちゃんも守れないし、自分もどうなってしまうんだろう。。赤ちゃんを無事に出産するために、こども病院に入院していたのに、転院したら赤ちゃんはどうなってしまうんだろう。自分のために転院していいのか。
主治医の先生に、見放されたような気になりました。
夫が戻ってきました。
主治医の先生から話を聞いたか尋ねると、ひと通り話しを聞いたとのこと。
その後、救急車で大学病院に搬送されることになりました。
こども病院に当直で来ていた大学病院に勤務しているМ先生が、一緒に救急車に乗ってくれるとのこと。
夫は自家用車で大学病院へ向かいます。
看護師さんがモニターを外したり、痛くないようにと、ゆっくりと丁寧に着替えを手伝ってくれました。
救急車まで移動する別れ際に、看護師さんが
「がんばったね」と声をかけてくれて、
途端に張りつめていた緊張が緩んで、いっぱい泣いてしまいました。
主治医の先生がベットを引っ張ってくれました。
エレベーターの扉が開き、救急隊員の方がタンカーを押して出てきました。それに私を移動させてくれて、エレベーターに乗り込みました。
扉が閉まる時、普段は冷静で、大きな声を出すことのない夫が、
「じゃあ」
と珍しく大きな声で言ってくれました。看護師さんにお礼を言っている声が扉越しに聞こえました。
下に降りると、階段を使って降りて来ていた主治医の先生や看護師さんの姿がありました。
救急車に乗る際に、主治医のT先生にお礼を言いました。
心配そうに見えたのは、私の気持ちの投影だったかもしれません。
感謝の気持ちと今の状況を受け止められない戸惑いで、また泣いてしまいました。
救急車の中で、M先生が大学病院の話しをしてくれました。きびきびとした若い女医さんでした。
「しんどいけど安静を続けて、少しでも長くお腹にいてもらいましょう。」と励ましてくれました。
もちろんそうしよう!と強くうなずきました。頼もしかったです。
病院に到着すると、救急隊員さんが、寒くないか心配してくれました。ちょっと和むことを言ってくれたり、皆さん優しくて、本当に素晴らしい方々でした。
診察室で内診。これまでの妊娠の経過を確認していただきました。
赤ちゃんは元気。ほっとしました。
時々動いています。元気。元気。
「女の子かな~」
M先生がつぶやきました。
その言葉で、お腹の中の赤ちゃんが一層身近に感じられてました。
元気に生まれてきて。。何度思ったか分からない、ずっと思ってる思いがより強く身に迫りました。
夫も病院に到着。
2016年12月17日。娘が生まれたのは12月20日。この3日後のことでした。
つづきはこちら。
これまでの経過はこちら。
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