見出し画像

コスタリカで金鉱掘り当てて一発逆転!

しないか!? と言う話があった。

Sさんは昔の職場の同僚、ってか20歳上の人。
話のかなり分かる人で、みんなの人気者。

ただ、複雑な環境にいたらしく顔写真を撮るのは絶対NG!
何でも福岡のヤクザと揉めて逃げて来たらしく、見つかれば必ず殺されるとのこと(゚Д゚;)
きっと悪いことして来たんだな(-。-)y-゜゜゜
持ち逃げとかそんなこと・・・をリアルに感じさせる人だった@@;

スラッとして背が高く、二枚目俳優みたいだった。
そこに福岡弁がカッコよかった。

で、深夜の職場で暇な時間があり、エアガンが流行った。
みんな改造したエアガンを持ち寄り、試し撃ちして遊んでいた。
僕は友人に譲ってもらったマグナム44を持って行った。
肩から下げるホルダーまで付いており、仕事が入ると、脇にマグナムを見せたままフォークリフトに乗っていたww

でSさんは・・・本物を持ってきた・・・・・・・!?!
「エアガンじゃ物足りんだろ!? このチャカで遊ぶか!?」って、
いやいやいや・・・お、重いね・・・・。
弾は入ってるの?
「ああ、気ぃ付けんさいよ。弾入っとるけん」
あのさ、それ、早く言ってくれる⁉(;´Д`)

そんな人だったw
オーディオに凝っていたので、音を聞きに家に行ったり、本当の友だちになった。


ある時、Sさんは言った。

「わしの友だちにコスタリカの大統領がおるんじゃ」


「は!?!」

「そいつが、金鉱を掘りに来んしゃいと言うとるばい。きさん、行くか!?」


「は!?! え!?! はあ!?!」
もう一人、仲が良かった班長と目を見合わせた。

「向こうでの家は、大統領が用意してくれるから心配せんでええ。土地も大統領権限で○○平米はくれると言うとったから、金も要らん。道具も貸してくれるそうじゃ」
「あ、ああ・・・えっと・・・へえ・・・・」
班長と僕は軽いパニックww


「食費は自費じゃが、掘っとったら幾ばくかの金塊が出るそうだから、心配はいらんと言うてた」
「Sさんは行かないんですか?」
「わしはもう歳じゃから。体力と腕力がいるけん」
「腕力?!」
「ああ・・・たまにジャングルでゲリラが出るらしいから、それとやり合う腕力ぐらいもっとかなのお」
「は、はは・・・あはははははは・・・」
「わしから言うて、マシンガンでも用意してもらうか?」
「マシンガン・・・・あははははは・・・・・」

どうやらマジっぽい(・ω・;)
毎晩のように勧誘された・・・。
大統領は日本語も話せるから手紙で確かめるか?とか・・・。

ちょっと規模が大きすぎて、そこに自分が立っている姿が想像できなかった。
班長は、子供がいるからtosikoさんに譲るってw


と、そこに思いがけない別れが待っていた。
Sさんが癌になったのだ。

もう前から分かっていたそうだ。
とうとう来たか、そんな感じだった。

最後は病院にも行かず、自宅でひっそりと息を引き取ったそうだ。
僕たちは手を合わせに行って、奥さんと話をした。

「あん人は、いつも強がってばかり。本当は弱いくせに」
「苦しいとか、絶対に言わない人なの。お医者様も驚くほど。最期も笑っていたわ。それで私、言ったの。思い残すことはないのかって」
「ああ、もう十分生きたばい、だって。あん人らしい・・・」

愚痴ひとつこぼさなかったSさんに、男としての敬意を抱かずにはいられなかった。
本当の|《おとこ》だなと思った。

「ああ、それで伝言があるのよ。tosikoさんに、もしコスタリカに行く気になったらこの手紙を持って行け、って。これ」

「コスタリカ大統領」

と書かれた封筒の中には一枚だけ便箋が入っていた。

「こいつの面倒を見てやってくれ。お前の役に立つはずだ」


それだけが書かれていた。

Sさん、僕が何の役に立つと思ってたんだい!?
僕は何も出来ないよ。


きっと今頃、天国、いや、地獄で、鬼のお姉ちゃんをはべらせて
豪快に笑っているんだろうなあ(´ー`)


ひと夏の大きな壮大な夢物語でした。




またAYAさんの記事に引き金を引いてもらった。
すっかり忘れて埃を被っていた、昔々の夢物語が蘇ったよ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?