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ローグライクのゲーム性の話 RogueEna

今日お風呂で RogueEna に強めのパズル性を持たせる方法を思いついたので、明日プロトタイピングをしてみようと思っています。なので、その前におさらいとしてローグライクのゲーム性についてお話しようかなと思います。

ローグライクはターン制ですから、1ターンずつ熟考することも可能なデザインになっています。それはボードゲーム的でもあります。また恒久死といって、死んだら終了し、集めたものも全部失って、最初から遊び直しましょう、という「待った」が通用しないルールにもなっています。こういった部分から、ローグライクというのはキャラクター育成型RPGとは毛色の全く違う、ワンゲーム制のRPGとして区別されています。

このような性質から、ローグライクの面白さは、その喪失リスクが生み出していると考えています。そしてローグライクの一番おもしろくなる部分は、準備してきた道具を用いて突如発生した危機を乗り越える、という部分だと思います。そのために準備するフェーズがあって、準備不足でも定石やアイデアで乗り切る、そんなところに達成感があるのだと思います。

その準備には取捨選択があり、その多くはアイテム所持数やターン数・危険な行動をするべきか否かで発生します。それ以外にもテクニックや思いつきなど、工夫することでも良い準備ができたりもすると思います。

さて、先に述べた「一番おもしろくなる部分」はどんなゲーム性があるのでしょうか。

ぼくの考えるローグライクの一番おもしろい場面

風来のシレンで考えましょう。このゲームではモンスターハウスという部屋があり、不用意にその部屋へ一歩踏み入れてしまうと、そこに居た沢山のモンスターが目を覚まし、プレイヤーに危機が訪れます。モンスターは単純な行動を取るだけではなく、アイテムを投げてきたり、魔法を使って主人公シレンの行動を制限したり、倍速で攻撃してきたり、色々厄介なことをしてくるので、プレイヤーは瞬く間に死んでしまう恐れがあります。これは将棋で例えるなら王手されたときのようなものですね。

このとき、重要なのが今まで準備してきた所持品です。強化した装備、魔法に対抗できる防具や攻撃を避ける道具、その場から逃げ出すことができる杖、などなど。あらゆる手段で死を避けなければなりません。また、欲を言えばその部屋にある大量のアイテムを回収したり、モンスター討伐時の経験値も頂きたかったりします。

プレイヤーには死という必ず避けなければならない問題に対して、得ることのできる大きな報酬もあることになります。ここでプレイヤーには選択が生まれます。この戦略的状況でプレイヤーがどのような行動を取るべきか、ゲームルールとしては計算上は最適解が存在しますが、プレイヤーには最適解を解く時間は与えられていません。何しろ可能な行動数は無数に存在するわけで、オセロや将棋などのボードゲームと同じようにゲーム理論的計算コストは膨大なものになるからです。また、次のフロアなど明かされていない場面もありますから、非完全情報ゲームという一面もあって、予測も難しくなります。

つまりプレイヤーがどのような行動を選択するかは、プレイヤーの数だけ解法があり、プレイヤー次第で結果が大きく変わることになります。ミクロだとミニマックスな選択が生存確率を高めますが、どう転ぶかは最後まで計算できないので、オセロや将棋と同じように定石と発想で攻略していくこととなります。死は必ず避けるべきだという最悪の不利、失う道具などの不利、得たい利のバランスからプレイヤーは選択することになります。利は次のための準備でもありますから、利を得られない場合は機会損失であるため不利とも考えられます。

このように、死と利のギャップが大きい戦略的状況が、ぼくが思うローグライクの一番おもしろい部分です。

生存のための準備

プレイヤーは生存・そしてゴールのためにゲーム開始時点から準備を始めます。死なないことが目的ですが、準備が停滞しているとターンが進み状況が悪化していき、最後には死んでしまいます。なので準備は効率的でなければなりません。ローグライクでは運も重要ですが、ランダム性によって与えられた場面を上手く利用する賢いプレイも必要になります。

準備できるものには限りがあります。単純な数値的強さや道具の所持可能数の上限、こういった制限の中で未来のために選ばれていくことになります。選べる種類も限りがありますが、アイデアやテクニックでその種類を増やすこともプレイの幅のひとつです。

生存とはあらゆる手段から最も合理的な選択をしていくことです。しかしその解は先に述べたとおり事実上計算不能ですから、自分の得意な戦略や、選択できる幅・余地を多く残していくような方法が生存に適しているかもしれません。いや、でもその場の思いつきで何とかしてきた幸運の持ち主なら、そんなことどうでもよく、アイテムを集めずポンポン進んでしまう戦略もあるでしょう。それにしても、手段を準備しておくことに越したことはありません。そうすれば、死に対峙することを可能な限り避けられ、そして対峙したとしても対策を講じることもできます。その結果大きな利を得ることも可能です。

こうした生存のための準備は「一番おもしろくなる状況」を盛り上げるために存在しています。結果が実を結ぶとき達成感が得られるのですから、当然です。

準備とは、生存確率を高めるための取捨選択と言い換えることができます。

ぼくが考えている準備と行動選択のバランス

明日プロトタイピングを開始して、今考えているアイデアが自分の考えているゲーム性につながるか、つまり面白くなるのか、ということを評価していく予定です。

上で述べてきた準備と行動選択の基本的な考え方に従って、その最大の面白さをどこまで引き上げられるか、また行動の幅がパターン化しないか、という点を重視していきます。

そのために

・選択できる行動の組み合わせに特徴的な幅があること
・準備には一定の制限が設けられて何でもできる状況は生まれないこと
・極端な危機的状況下であり、そして不十分な準備だとしても、工夫することで解法が見つけられるようになっていること
・安直な解法だけが利用されないようになっていること

といった、いくつかの評価基準を設けて試行錯誤をしてみようと思っています。

現段階では、単純なアイテムの効果を列挙している最中で、明日以降も思いつく限りの効果を集めていこうと思っています。そしてプロトタイピングの最中に様々なそれら効果の組み合わせや利用方法を試して一定以上の面白さを見出すことができるような物に厳選していきたいと考えています。「強めのパズル性」というアイデア自体が不採用になる可能性もありますが、明日以降ではプロトタイピングで何をやったかをレポートしていきたいと思います。

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