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20 ぼくはマハラジャ。そしてヒンズーの行者の呼び方について。

「ばっばっ、しゅばどぅばぁ」
という印象的なスキャットから入って、
「あい・あむ・ばば、
あい・あむ・ばば、
あい・あむ・ばば、
あい・あむ・あい・あむ・あい・あむ・ばば」
というラップが続くかっこいい歌を、シンガポールのディック・リーという人が歌っています。

☆Dick Lee "I am Baba"

https://www.youtube.com/watch?v=iFsrAMBQbHY

この歌はシンガポールで歌われているマレー語や中国語、それから多分南インドのタミル語のわらべ唄を取り入れたエレクトリック・ポップで、かっこいいのに懐かしい、不思議な味わいの名曲です。

で、この「I am Baba」という曲名なんですが、この「ババ」という言葉、シンガポールやマレーシアでは中国系の「旦那」という意味で使われるようです。

で、語源として関係があるのか分かりませんが、インドでは同じ「ババ」という言葉が、主にヒンズー教やシーク教の行者や宗教者に対する尊称として用いられます。

つまり、お寺のお坊さんなどに対して「ババジ」と、「さん」や「さま」に当たる「ジ」をつけて呼ぶわけです。

というわけで、トップ画像はそんなババジが自転車に乗ってすいすいと走っているところを橋のたもとの壁面にどかんと描いた野外アートです。

去る4月に行なわれた12年に一度のクンプメラという大祭に合わせて、こういう巨大な絵が街なかのあちこちに描かれたもので、ガンジス川沿いを歩いていてこうした絵を見るたびに、クンプメラのときはババジが街じゅうに溢れかえってすごかったなと思い出したりするのです。

このババという言葉よりもうちょっと敬意を込めた言葉としてはマハラージという言い方もあります。

これは日本の人も知っているマハラジャと言葉としては同じもので、一見別の言葉に見えますが、それは地方による発音の違いや表記の違いの加減なのです。

「マハ=偉大な」と「ラジャ=王」で「マハラジャ」は「大王」というような意味になりますが、インドで「ラジャ=王」というのは「偉い人」くらいの意味合いだったりするので、ヒンズー教の行者もマハラージと呼ばれるし、お互いに「マハラージ、マハラージ」と呼び合ってもいます。

日本で学校の先生が互いに「先生、先生」と呼び合うのにちょっと似てるでしょうか。

そしてインドでは英語も相当使われますから、外国人のぼくなどは「サー」と呼ばれたり、またうちの奥さんなら「マダム」と呼ばれたりします。

そしてです、マハラージやババジという言葉も、このサーに近い感覚で使う人がいるものですから、宗教者でもないぼくのような人間もババジと呼ばれることは割とあるし、たまにはマハラージと呼ばれたりもするのです。

こうなると日本語の旦那くらいの言い方に近い感じですし、ひょっとすると客引きが社長と呼びかけたりするのにも近いかもしれまさん。

というわけで、日本人としては文無しに近いほどのぼくのような人間でも、インドに来るとマハラジャになってしまうというばか話なのでありました、ちゃんちゃん。

てなことでみなさん、ナマステジーっ♬

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