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詩作集・天網恢恢

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この世界はみんなで見ている夢にすぎない。そこを出発点として。
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#散文詩

[208 湧出詩] 鵺の鳴くころ、秘密めいた泉で

それはぼくだって、幸せになりたいさ。結局はそれだけのことだろ。

遠い星から送られてくる思考の連鎖に、即興の形を与えてやることができれば、心は少しばかり落ち着いて、闇の中、静かに踊り始める。

それでぼくは、今日もこうして無為の時を過ごし、それが徒食であれ自然であれ、とにかくそいつを絶対的に肯定してしまうことで、目の端ににじむ涙を成仏させる、大海原へと向かうガンガーの流れへと合流させる。

放り出

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むかしむかし少年がいた。

むかしむかし少年がいた。
少年は友だちの彼女を好きになった。

友だちから彼女を奪おうと思ったわけではなかったが、
少年は彼女を映画に誘った。

それを知って友だちは不愉快そうだった。

やがてその友だちと彼女は別れた。

少年は仲間たちとねずみの国に行った。
彼女も一緒だった。

少年は彼女とふたりお化け屋敷の乗り物に乗った。
彼女の手が少年のももにおかれた。
奥手だった少年は何も反応できなかっ

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