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3.19(29/89日目) Fallas最終日

今朝もメイドさんの掃除の音で目を覚まし、朝食ついでに歩いてNike(ニケ)像を見にいった。

昨日挿していた花はNike像の全身を覆うほどではなく、足元の台座だけに綺麗に植えられていた。

14時にいつも通り爆竹花火ショーを聞き終わったあと、また日本人を発見したので話しかけてみた。その彼は一眼レフカメラを肩から掛け、いかにも日本人旅行者といった風貌の青年。

一眼レフカメラの彼は闘牛を観てみたいというので一緒にチケットを買いにいってみたが、残念ながらチケットは完売していた。しかしどうしても観たいと言うので、近くにいたダフ屋からチケットを入手することに。3階席を4,000Ptsで無事購入(通常は1,700Ptsの席)。自分は先日観たのでチケットは買わず、闘牛が終わる21時に正面ゲートで待ち合わせをする約束をして一旦お別れした。

祭り中は通りで多くの大道芸人を観る事ができた。ペイントスプレーを使って絵画を完成させるパフォーマンスをやっていたので人垣の間から見物。スプレー缶のシンナーの匂いがややキツかったが、筆などを一切使わずスプレーと紙で手際良く絵を完成させていく作業はついつい見入ってしまった。

感心しながら人混みの中見ていると、自分の左後ろのポケットを誰かに探られているのに気がついた。

「スリ...?」

ポケットをソフトに触れたり離したりを繰り返している。チカンではなさそう。

さりげなく後ろを振り返ってチラ見してみたところ、その犯人は40〜50歳くらいの男性で、悪人ヅラではなく普通の地元の人といった感じだった。スリ犯罪はマドリッドで経験していたせいかそれほどパニックになることはなかった。犯人はポケットの中身を財布だと思っているようだが、残念ながら左後ろのポケットにはタバコの箱を入れていた。

被害に遭う心配もなく、スプレーアートの完成が完成が間近だったのでその男を放置していたが、しばらく経ってもポケットの中に手を入れてくる気配がない。

結局そのまま進展なくスプレーアートが無事完成。その場を離れ他の大道芸に移動した。

犯人は自分をターゲットと決めたのか後を付けて来たが、知らないうちにいなくなっていた。どうやら諦めたかテリトリーから外れたようだった。
こんなに大人数が集まるお祭りなのでスリにとっても稼ぎ時なのだろう。 

大通りをぶらぶら歩き、別の大道芸に見入っていると白い帽子をかぶった日本人を発見。目が合ったので挨拶をしてみると、Fallasの最終日を観に来ているとのこと。友人の2人と近くで待ち合わせの約束をしているらしい。

「夕食、僕たちと一緒にいかがですか?」

闘牛を観に行っている一眼レフカメラ君の事も話したら、是非ということになり5人で夕食をすることになった。

先に一眼レフカメラ君と合流するために闘牛場に移動。正面ゲートでカメラをかけたアジア人を探したが待ち合わせ時間より少し早かったせいか見つからない。白帽子クンと2人でキョロキョロしていると、一人の日本人の女性が前を通りすぎ、我々を凝視していた。

「あのー、もしかして...。」

彼女は白帽子クンに話しかけてきた。

「え? あー、以前お会いしましたね!」

白帽子クンが数日前にフランスのアルルという街を旅行していた時にユースホテルで話しをしたことがあって顔を覚えていたらしい。

女性も一緒に夕食を食べることになり、最終的に日本人6人で夕食をすることになった。

21時。一眼レフカメラ君が闘牛場から出てきた。ちょうど白帽子クンの友人も合流して6人勢揃い。

一眼レフカメラ君に闘牛の感想を聞いてみたところ、彼は3階席のチケットを購入し入場したが、セキュリティが甘く1階に移動することが出来たとのこと。
そしてさらに闘牛が終わった後、グランドまで降りて行き戦いの最中に飛び散った牛の血を拾って持ち帰ってきたと言って、砂にまみれた血のかたまりらしき物の入ったビニール袋をバッグから取り出し見せびらかし、皆をドン引きさせた。

6人でバルに移動し、祭りのクライマックスであるNike(ニケ)像に火が点火される0時までその店で時間をつぶすことになった。  

22時30分。徐々に人が増えてきたのでいいポジションを取るため、バルを出て市庁舎前広場に向かうとすでに広場の人口密度は渋谷のスクランブル交差点くらいに混みあっていた。

割といい場所が取れて、人混みに揉まれながらNike(ニケ)像を見上げながら待っていると、警備員がやって来て

「ここのエリアは危険だから後ろに下がりなさい。」

的なことを言われ、自分も含めその近辺にいた人達はぞろぞろと退去させられた。Nike像に近すぎて大量の火の粉を浴びてしまうエリアだったらしい。

移動のついでにトイレに行くために一旦皆から離れたところ、人混みが凄すぎて戻れなくなってしまったので結局1人で観ることになった。

人混みはさらに密度を増し、東京の地下鉄の通勤ラッシュ並みの密度に。

そんな状態で0時になり、見物客がどよめく中ついにNike(ニケ)像に火が入り始めた。

まずはNike像の横にある小さめの像に火が入り燃え始めた。皆盛り上がり歓声が鳴り止まない状態になるが、いつまで待ってもメインのNike像には点火されず...。

自分の見えない角度の場所で何かセレモニー的なものでもやっているのだろうか。

結局、全員直立不動のまま待つこと1時間。

1時にちょうどに花火が上がり始めた。

昼間の花火ほどではないが、そこそこの迫力の花火が上がる中ついにNike像に点火。

数万人の見物客全員が大盛上がりになる中、バチバチと豪快なと炎とともに燃えつき15分ほどで全焼。風下に立っていたため火の粉が降ってきて少々熱かった。

盛大な拍手で祭りは終了。
見物客は散っていき、全焼したNike像の跡だけが残り広場はまた静かになった。

それにしても、祭りの期間中コツコツ積み上げられた20m以上もある像が、最終日に燃やされて灰になって終わるなんて、なんと儚くて切ない豪快な祭りなんだろうか。 

皆の所に戻ると、女性は翌朝早いということで帰ってしまいひとり減っていた。

もう少し遊ぼうということになり5人でバルに移動。しかし白帽子クンたちが先日行ったというおすすめ のバルは閉まっていた。

どうしようかと話し合っていると、突然スペイン人が猛ダッシュで自分たちの目の前を駆け抜けていき路地裏に消えていった。そしてそのすぐ後ろをアジア系の男性がものすごい怒り顔で追いかけて行った。

「待てやコラー!!」

何事かと自分たちも後を追いかけていくと、路地を曲がった所でそのスペイン人が警察に捕まっていて、後を追っていたアジア人と通りすがりの英語が話せるらしい地元の女性の4人で事情を説明していた。

遠目に聞いていると、どうやら昨晩その日本人が財布をスられ、追いかけたが捕まえる事ができず諦めたが、つい先程その時の犯人と街でばったり再会したとのこと。もちろん犯人はダッシュで逃走したため追いかけるという展開になったらしい。

追いかけた日本人の勇気に拍手である。結局犯人は警察に逮捕され連行されていった。

事件が無事解決しスッキリ(完全に他人事だが...)。興奮冷めやらぬままバル探しを継続すると白帽子クンが

「ここのお店、どうでしょう?」

と言って指差したのは偶然にも自分の泊まっているホテルの一階のカフェだった。

宿の主人に「ただいま」と挨拶をして5人でビールを注文。偶然隣で飲んでいた日本人の二人組とも仲良くなり7人でしばらく談笑したが、閉店時間になってしまい別の店に移動することに。

夜も遅く睡魔が襲って来て、店が閉まると宿の鍵がもらえなくなると理由をつけて皆と別かれた。

「人形を燃やした後、街は朝まで盛り上がる。」と地球の歩き方には書いてあったが、流石に深夜3時になると店はほとんど閉まっていて静かになっていた。

それにしても今日はたくさんの日本人と出会った。春休み&世界的なイベントということもあったのだと思う。そして大人数の人が集まるイベントとなると犯罪も増えるようである。

感動に浸りながら部屋に戻ったが、バッグに入っていた使い捨てカメラが見当たらない...。

どうやら燃やされるNike像に夢中になっている間に使い捨てカメラをスられてしまっていたらしい。
少ない資金の中購入して祭り中せっせと撮り貯めたFallasの人形達がNike像の燃えカスのように消えてなくなってしまった。

ショック...。やはり人ゴミの中ではバッグは前に抱えていないとダメである。反省。

それにしてもこのバレンシアの火祭りは、インパクトが強すぎてカメラが要らないくらい脳裏に焼き付けられ(負け惜しみ含)、間違いなく一生の思い出になったことは言うまでもない。 

本日の出費

昼食 700Pts
夕食 2,500Pts
ジュース 250Pts

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