5.3(74/89日目) 廃人の足音
今日は日曜日なので、レストラン以外の店はほとんど閉まっていた。
散歩していたら、カテドラル近くの広場で絵画の露天販売に出くわした。しばらく見て回ると、家の玄関に飾るのにぴったりな陶器の置き物を見つけたが、日本まで無傷のまま持って帰れる自信がなかったため、購入は断念した。
それからもう1つ、気に入った風景画に出会ったが少し予算オーバーだったため渋々諦めた。芸術の街というだけあって、露天で売られている無名の作品もさすがにレベルが高い。
ペンションに戻り、森崎さんと昨日の五目ならべの続きをやった後にダイニングで昼食をとっていると、テレビでスペイン語吹き替え版の映画バックトゥザフューチャー2をやっていた。観ているとドクのセリフが異様に早口で面白く、思わず最後まで観てしまった。
その後、一緒に映画を観ていたおばあちゃんと辞書を片手に会話をして、森崎さんの部屋でコインサッカーをするが15分で飽きたのでやめた。
いつもはその後もくだらない話をしてダラダラと過ごすのだが、今日はめずらしく森崎さんが浮かない顔で真面目な話をしだした。
「廃人の話、知ってる?」
突然何を言い出すかと思い、なんのことか聞いてみると、長期の海外旅行者は日本に帰るとしばらくの間灰人のようになってしまう人がいるとのこと。
なぜ廃人のようになってしまうかというと
・外国の文化に馴染みすぎてしまい、日本の独特の文化に慣れるまで時間がかかる。
・海外旅行中は責任を負う出来事がほとんど無くなり、ストレスフリーな状態が普通になってしまう。
・そんな状態で日本に帰ると、あらゆる規則や常識が煩わしく思え、何もやる気が起きなくなる。
ということで廃人となってしまう場合があるらしい。
それを免れるには帰国したらすぐにやることを見つけること。これははじめて聞いたわけではなく、これまで会った旅行者からも度々聞いていたし本にも書いてあったのだが、帰国する日が近づくにつれて、今まで他人ごとのように思っていた「廃人」というキーワードが目の前に迫ってきているようで、少し恐い気がした。
その後マンガとテレビの話題で盛り上がり、さらにくだらない話をして2時30分には寝た。
本日の出費
新聞 125Pts
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