Amazonにおける正規輸入と並行輸入について
お疲れ様です。
実働ってなんだろうと疑問に思っているとしぞーです^^
最近あるアプリを使って、自分が働いている時間を秒単位で計測しているのですが、本当に働いている時間(休憩とかぼーっとする時間を除いたもの)を計測すると、大体一日3-4時間ぐらいしか実動していないんですよね。
で、それでもクタクタになるという。
一般的な『実動8時間』とかって、厳密にチェックすると半分以下になりそうな気がします。
自分の働いている時間を可視化すると見えることがいろいろありますので、たまに検証してみるのはわりとおすすめです。
(アプリを使った方法についてはいずれ解説するかも)
さて。
先日Twitterで『Amazonにおける正規輸入と並行輸入について』というまとめをしたら、思った以上に良い反応をいただきました。
ということで今回は状況内容のnote版です。
音声でも喋りましたので、よければご一聴ください。
それでは本編にまいります。
音声はこちら
ブログもやってます。
基本的な正規輸入と並行輸入
まずは一般的な『正規輸入』と『並行輸入』の違いについて考えてみましょう。
海外にメーカーがあり、そのメーカーと代理店契約を交わした国内代理店がメーカーから商品を仕入れ、輸入します。
この時に商品が通るのが『正規輸入』ルートです。
そういう意味で正規輸入品を「国内代理店が扱う商品」と定義しても間違いではないのですが、そうすると国内代理店から仕入れた商品を販売する販売店が扱う商品が正規輸入品なのか?という問題が出てきてしまいますので、正しくは「正規輸入ルートによって輸入された商品」を『正規輸入品』と定義することが一般的かと思います。
一方『並行輸入品』は上記のルート以外を通じて輸入された商品を指します。例えば海外の小売店で買い付けた商品を日本に持ってきたりとか、海外の卸問屋から購入した商品などがそれに当たりますね。
正規輸入品には
・代理店はノルマやサポートに関わるコストによってある程度の粗利益を見込まないとやっていけないため、価格が上がりがち
・代理店がメーカーに代わって保証業務を請け負っている
・国内用に商品の外箱や説明書がリデザインされている
・国内流通用に専用のGTIN(JANコードの総称)が付与されている
・偽物が混在する余地がない
などの特徴があります。
そのため、顧客からすると安心安全なのですね。だからある程度高くても売れるのです。
一方並行輸入品には
・代理店のような縛りがないので比較的薄利で販売できる
・保証を用意する義務はない(独自の保証をつけているパターンもあり)
・外箱や説明書を日本仕様にする必要がない
・GTINは海外で流通していたまま
・仕入れのルートが様々なので偽物が混在する可能性がある
などの特徴があります。
リスクはそれなりにあるものの、多くの場合、安さが強みとなって売れるわけです。
このように顧客目線から見ても正規輸入品/並行輸入品という属性分けがされていると大変便利なのですが、販売者側から見てもこのカテゴライズは非常に重要なんですよね。
輸入をされている方で、一度でも代理店業務に携わったことがある方ならわかると思います。代理店になると(今まで自分が並行輸入品を扱っていたのに)並行輸入業者が目障りでたまらなくなります。僕にもそういう経験があります。
代理店にとって、正規のルート以外で輸入された商品が市場に出回るのは困るんですよね。利益が目減してしまう要因になります。
そのため、本当は並行輸入品の販売を禁止して欲しい。
しかし裁判の判例などで並行輸入品の販売は(条件が合えば)合法だということになっている。
となると、両者のカテゴリーをはっきりと分けて消費者にわかりやすく提示する必要が出てくるのです。
並行輸入品の販売が(正規輸入品の販売を阻害するにもかかわらず)合法とされている詳細に関しては、また今度まとめたいと考えています。
さて。
正規輸入品と並行輸入品は、一般的に上記のような定義によって棲み分けされているわけですが、これはAmazonにおいても同様です。
Amazonからしても顧客のために、販売者のために、両者の棲み分けをはっきりとさせることが自社の利益に繋がるのです。
しかし、Amazonにおいての両者の判断基準は、一般のものとは少しだけ異なります。次にそれを見ていきましょう。
Amazonにおける並行輸入品
まずは『並行輸入品』の定義について。
Amazonヘルプの[並行輸入品について]では
並行輸入品とは、メーカーが認める正規輸入代理店以外を通じて国内に輸入された商品です。
と記載されています。
これは前項で説明した一般的な並行輸入品の定義と一致します。
しかし『メーカーが認める正規輸入代理店』とは何を指しているのでしょうか?ここについて厳密に定めている(っぽい)のがAmazonにおける並行輸入品の定義の特徴です。
(あくまでも僕自身がサポートから取った言質によると)
『メーカーが認める正規輸入代理店』とは
・メーカーとの代理店契約を明示できるような証明書(主に契約書)を提出できる販売者
・メーカーのHPなどで代理店一覧として掲示されている販売者
上記どちらかを満たすことが『メーカーが認める正規輸入代理店』である条件とのことです。
さらに突っ込んで考えると、例えば
「メーカーとの直接取引の請求書は証明書になり得るのか?」
とか考えられるのですが、これについては不明です。
もしこれで『メーカーが認める正規輸入代理店』と認められるなら話は大きく変わります。何か知っている人がいましたら情報提供ください。
まぁ、流石に請求書だけでは認められないとは思いますけどね・・・
ということで上記の条件を加味すると
「メーカーと代理店契約を結んでいる販売者が販売する商品以外の輸入品は全部並行輸入品」
ということになります。
思ったよりも並行輸入の範囲は広いですね。
Amazonにおける正規輸入品
実はAmazonのヘルプページのどこを探しても『正規輸入品』に関する定義が見つかりません。
また、カタログ作成の際にも『並行輸入』というステータスはあるのに『正規輸入』というステータスはありません。
このことから、Amazonは積極的に『正規輸入品』という概念を認めていない気もします。
まぁ確かにそうなんですよね。Amazonが規定する『並行輸入品ではないもの』ってもはや『国内正規品』と呼べるようなものなので、あえてそこに『正規輸入品』というわかりづらいカテゴリーを定める必要ってないですからね。
とはいえ、一応定義を考えましょう。
『並行輸入品』の定義はされているわけですから、その定義をひっくり返して読めば『正規輸入品』まで行かなくても『並行輸入品ではないもの』の定義は見えてきます。
Amazonにおいて『並行輸入品』は「メーカーが認める正規輸入代理店以外を通じて国内に輸入された商品」と定義されていたのでした。
ということはつまり「メーカーが認める正規輸入代理店が扱う商品」を『並行輸入品ではないもの』と表現して良さそうです。
これを『正規輸入品』と表現することもできるでしょう。
随分周りくどい説明の仕方をしてしまいましたが、ここまでの理解がすごく重要です。
本来あるべき姿
以上の要素を踏まえて、まずは本来あるべき姿を考えてみましょう。
Amazon上に存在する輸入品は二つのカテゴリーに分類されます。
一つは『国内正規品』もしくは『正規輸入品』です。
これらの商品を扱うセラーはAmazonから依頼されたらいかなる時も「メーカーと代理店契約を結んでいる証明となる書類」を提出できなければなりません。つまり『国内正規品』もしくは『正規輸入品』を扱うのは代理店のみであるということです。
もう一つのカテゴリーは『並行輸入品』です。
代理店以外が扱う商品は基本的に全てこのカテゴリーに分類されます。
メーカーから直接仕入れていようが代理店でなかったら並行輸入品です。
卸から直接仕入れていてもそれは並行輸入品です。
なぜなら代理店契約をしている証明となる書類を用意できないから。
このようにはっきりとカテゴリー分けされた世界が本来あるべき世界です。
顧客目線で見るととても便利ですね。
『正規輸入品』と明示されている商品は必ず正規代理店が扱っているものであるため、保証やクオリティが担保された状態で購入を検討できます。
また『並行輸入』に関してもリスクをはっきりと認識した上で、納得して購入できるでしょう。
実は、セラーにとってもこちらの方が平和です。
当然正規輸入代理店は、自社の販売ページを代理店ではない誰かに荒らされることがありません。
並行輸入セラーに関しても「間違って正規品のページに出品をしてしまった」というミスが起き得なくなるため、安心して並行輸入品の中で戦えます。
ただ、これはあくまでも理想の世界です。
実際は全然こうなっていないのです。
実態
実際は先ほどのカテゴリーに追加して、もう一つ謎のカテゴリーが存在します。
それが『正規輸入品という何か』です。
先ほどAmazonにおける正規輸入品とは「正規代理店が扱う商品」であると書きました。
しかし、正規代理店ではないのにもかかわらず『正規輸入品』として販売されているカタログが存在します。(というか超たくさんあります)
本来、Amazonにおいては『並行輸入品』というカテゴリーと『並行輸入品ではない』というカテゴリーしかないはずなのに、その中間に『正規輸入品という何か』が発生しているのです。
その原因は様々です。
・メーカーから直接仕入れしているから正規輸入品だと認識してページを作成するパターン
・卸から仕入れをしているから正規輸入品だと認識してページを作成しているパターン
・正規輸入品というカテゴライズがおかしいのは重々理解していて、それでもそうすることによって競合排除ができることを知っていてページ作成をするパターン
いずれにせよ、このような謎のカテゴリーが発生することで
・顧客にとっては分類がわかりづらくなり、安心して買い物ができない
・セラーにとっても分類がわかりづらくなり、安心して販売ができない
・Amazonにとっても顧客とセラーの利便性が損なわれるのは損害
と、三方良しならぬ三方ダメ状態に陥っています。
では相乗りして良いのか?
Amazonの規約に則ると『並行輸入品』と認識されるはずの商品が『正規輸入品』として販売されている。
ということは、そのページに『並行輸入品』を相乗りして良いのでしょうか?
結論からいうと「あんまり良くない」です。
理由は大きく二つあります。
一つは「そもそもその正規輸入品(とされている)ページは規約違反である可能性が高いこと」
Amazonには「並行輸入品を販売する際には並行輸入品であることを明記しなさい」というルールがあります。
しかし今回取り上げているカタログでは並行輸入品であることが明示されていません。(だって正規輸入品として販売しているんだもん)
しかし、Amazonの規約に則るとその商品は並行輸入品である可能性が高い。ということはこれ、規約違反なんですよね。
「規約を守っていないカタログに対して相乗りすること」に対しては「あんまり良くない」と言わざるを得ません。
二つ目の理由は「高確率で攻撃されるから」です。
『並行輸入品という何か』のカタログ作成者は大きく二つに分類されます。
①知らないでそうしている人
②知っていてそうしている人
①のパターンにおいて並行輸入品の相乗りがあったら①の人はどう思うでしょうか?
きっと「並行輸入品を正規輸入品のページで売るなんてけしからん!!」と激昂するのではないでしょうか?そしてそのセラーに対して何かしらの攻撃をしますよね。
②のパターンにおいて並行輸入品の相乗りがあったら②の人はどう思うでしょうか?
きっと「自分も並行輸入品を販売していることは理解しているけど、並行輸入の相乗りは許さんぞ。こういう攻撃が効果的なのも知っているぞ」という感じで攻撃をしてくるでしょう。
つまり『並行輸入品という何か』のカタログに相乗りをすると、高確率で攻撃を受けることになるのです。
(例外としてカタログ作成者が既にいない状態のページがあります。この場合は誰も誰を攻撃するでもない平和な状況になっていたりするのですが、それでも一応規約違反なんですよね・・・)
以上二つの理由から『並行輸入品という何か』のページへの相乗りにはリスクがあり、相乗りはあんまり良くないと言わざるを得ない。と結論します。
(ここ大事です。ダメとは言ってません。リスクは自己責任で負いましょう)
で、本来はですね。
『並行輸入品という何か』のページは規約違反をしているのですから、Amazonにそれを連絡することで正しいカタログに変更してもらったり、規約違反をしているセラーに制裁を加えてもらったりしてもらいたいですよね。
ですが、これが現状難しい。
Amazonにいくら働きかけてもあんまり良い動きをしてくれません。
(しかもそのページに本来のGTINが使われていると、こちらで正しい並行輸入ページを作ろうとしても弾かれるという地獄仕様)
一方で、こちらがそういうページに相乗りをすると相手方から攻撃が来る可能性があるわけですが、この攻撃は通るんですよ。
多くの場合商標権侵害とかで(これもマジで良くわからん)攻撃されるんですけど、このトピックの問題に関してはAmazonも敏感なので、推定有罪で処されます。(大体その商品のみの出品取下げになる)
個人的にはAmazonのこの対応をまずなんとかしてくれと心から思うわけですが、庶民の声は届かないですからね。できることをやるしかない。
とはいえ、庶民の声が大きくなれば王様も動かざるを得なくなるかもしれません。今回説明したような状況があれば、ぜひAmazonに一言文句を言いましょう!みんなが文句を言えばきっと何か伝わるはずです。
とまぁこんな感じで、Amazonにおける正規輸入と並行輸入の違いについて書きました。
ビジネスはリスクとリターンの選択ゲームです。
だからそれぞれのプレイヤーの選択に文句を言うつもりはありません。
しかしながらリスクとリターンを正しく認識することは必要です。
そうじゃないと正しい判断なんてもってのほかですからね。
そう言う意味で、今回の記事を参考にしていただけると幸いです。
今回は以上。
また次回お会いしましょう^^
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