転職先について本当に悩んだ時の話

こんにちは。
私は10年間コンサルティングファームに勤めた後、思い立って2019年にSaasスタートアップに転職しました。その会社も直近の2022年4月で退職し、次のスタートアップに移っています。
1社目のスタートアップで色々と職種を経験した結果、それなりに選択肢のある転職活動だったと思いましたし、一回スタートアップで自分のキャリアのトレンドもあって方針も決まっているし、楽な転職活動になるんじゃないかなと思っていたのですが、全くそんなことはなく笑。うまくいくこともありましたが、私の拙さから想定以上に苦労しました。
どのように転職を考えたのか、それがどのように変わっていって、何に悩んだのか。そこら辺を共有できればと思い、Noteに残します。

転職活動の話の前に

少し私のことについて補足を。
私は2019年にVertical Saasスタートアップに入社しました。それまではいわゆるコンサルティングファームで延べ10年くらい働いており、専門性はエンタープライズ相手のプロジェクトマネジメント(戦略、IT、経営管理、業務なんでもござれ)です。
今ならその価値もわかりますし、2019年はもう少し可能性を探っても良かったかななんて思いますが、とりあえず私は業界でSAPのような最新の基幹システムを作って業界変えてやる!というボスの元に馳せ参じたわけです。入った時には20人くらいの会社でした。
そこでは全部社長がやってて、プロダクトの仕様を考えたりデザインする人が専任でいなかったんですね。そこで、私が兼務することになり、エンタープライズプロジェクトマネージャー兼PdM。その流れで開発スプリントでの品質サポートもやることに。結果として、エンタープライズ向けにプレセールス、セールス、CS、PdM(デザイナー含む)、プロダクトサポートと、エンジニア以外のバリューチェーンを一通り経験することができました。そしてそこら辺の管理職にもなります。その意味では、品質が優れているかはわかりませんが、できる職種はどこかにはありそうという前提で始まっています。
ここから転職活動の話に移りましょう。

何を基準に考えるのか?

正直退職の経緯が悪く時間があまりなかったので、ざっくりと、「会社が伸びていく中で自分が貢献できる環境」を目指していいんじゃない?なんて魔が差しかけましたが、流石に慎重に選択しようと基準を設定します。初期の基準はこんな感じです。
経営観点から戦略、組織、業務・職種、カルチャー・メンバーとそれぞれで気になることを上げました。

  • 事業内容・プロダクトが気にいるか

  • この会社が何をミッションにしていて、何を実現するのか

  • 経営者の価値観・経営の考え方とのフィット感

  • その他マネジメント(特に直接の上司)との価値観・業務への向かい方のフィット感

  • 会社のバリューと自分のワークスタイルの整合性

  • ミッションや自社プロダクトへの取り組むスタイルが気にいるか

  • 事業開発戦略や今後の展望

  • 組織構成とセールス・プロダクトへの投資バランス

  • 今後の組織開発への考え方

  • 必要としている職種と自分のキャリアの整合性

  • オファーされている業務内容

  • 会社のワークスタイル(ルール)、コミュニケーションカルチャー

  • 既存のマネージャーやメンバーのレベル感

  • (最後に)給与レベル

これそれぞれに対して、「自分に合うのはこういう傾向だろう」と仮説を持っておきます。特に経営者については人格が問われたりするので、自分がどんな性格なのか、何が長所で欠点なのかなど、包み隠さず言う事になるし、人事の人にはキャリアの展望や職種で得たいもの、価値観など問われます。準備しておくことに越したことはない。
ただ、今回こだわるのは、経営者とのフィット感だ!と思ってました。正直言うと経営者や上司とのフィット感が合えば、あとは仕事できれば大丈夫かな?とか甘く見ていたんです。就活の初期は幅広く会社にコンタクトをとっていたし、それなりに会社のバリエーションもあったので、それぞれの会社に合うようにコミュニケーションを設計したりした、つもりでした。経営者とも合わない人ともそれなりに話せないかな、なんて。

最初の躓き

そして就活が始まります。最近流行りのダイレクトリクルーティング。方々の会社からご連絡いただき、15社くらいカジュアル面談を申し込みました。エージェントさんにも2社ほどお世話になりました。
正直カジュアル面談なんて流していけばOKでしょ?って思っていたのですが、けっこう初回から経営管理担当役員とか、社長さんとか出てきます。しかも採用にコミットしているから本気です。カジュアル面談にあまりなりませんでした(笑)
当然のことながら経営者との人間的なミスマッチや、メンバーのバリューに合わないとか、採用戦略上のミスマッチもあります。「今回無いかな?」とお互いに話したり、「戦略的に君を取るのどう思う?」って問われたり。(懸念ありますって思っていたけどさ)結局採用面談にまで行ったのは10社を下回りました。
こんなに摩擦の部分で進まないものなんだなあと、改めて思ったわけです。1社経験することで、自分のスタートアップライフにクセがついていたんだなあということと、やはりスタートアップは密なワークをこなしていく現場でもあるので、人間性をぶつけていることもあったのだなと。バリューは大事。ここが一つ目の躓きでした。

結局何で決めるの?

一旦バリューの壁を越えると、次は職務・業務理解やメンバーの壁という一般的な就活の部分がきます。この第2の壁については準備が進めやすかったです。事業や業務のあり方は、カジュアル面談で事業・プロダクトや組織投資のトレンドを聞いておけば想像ができます。一応前職で組織設計や業務設計やってたので、ここはスムーズに進みました。結果として、贅沢なことに複数の内定をいただきました。ここからが次の障壁になりました。
どの会社も経営者ともフィットし好感持っていて、経営陣とも人事とも非常に仲良くなってきている。職種もスキルに整合するもので、管理職になれる展望を示してくれている。カルチャーも嫌な会社はない。直近見えている将来性に少し差があるくらい。でも好きなプロダクトなら少々今売れてない状況でも、事業戦略面で納得できないとかでなければトライするのには問題ない。

え、じゃあ何で決めるの?

ここまで来て、最初に決めた基準で○✖️をつけて行っても、どの会社も一長一短で遜色つけ難い。決め手にかけることに気がつきました。そしたらこれまで考えたものとは違う視座で考えるしかない、と思いました。
そこで何がフォーカスされたかというと、僕はこの2点でした。

  • 事業内容・プロダクトが気にいるか

  • この会社が何をミッションにしていて、何を実現するのか

よくよく振り返ってみれば、前職で、会社の方針も戦略も経営者自身も、会社の状況によって変わり、職種の面白さは次第に逓減していくことを体感しました。大好きだったメンバーもあえなく退職したり、手塩にかけて育てた部下は、成長したらそれこそ出て行きたがったり。職種?最後の方プロジェクトマネージャーやってたっけ?みたいな。万事変わっていくし、そもそも給与水準とか安定性を問題にするならスタートアップに来ません。
そんな時に振り返るとしたら、自分の全人格をかけて、何を実現したいのか。どんな世界が好きで、どんなアプローチが好きなのか。それしか確かなものがないんです。だから、真剣に僕がどんな事業に立ち会っているのか、何を世界に提供する仕組みを前にしているのか。僕はどのレンズを通して世界に関わりたいのか。そして僕は何を感じるのかを真剣に考えました。

  • AIスタートアップ。将来的に拡大していくエンジニアリング領域に参入し、そのエンジニアリングをキーに、今世界にない価値を作ろう。それをプロジェクトマネジャーとしてしっかり推進してほしい。

  • Saasスタートアップ。困っている人は現実にいる。そんな人たちをリードして、業界のDXを推し進める。新しいビジネスモデルを作りましょう。そんな新しい事業に関わり、プロダクトに仕上げてほしいんです。

  • 製薬系スタートアップ。医療の進歩こそが人を救う。今困っている人がそこにいて、その人の人生が明るいものになる。そんな瞬間を作るんだ。そんなプロダクトに興味ありませんか。

  • データ系スタートアップ。今データを使えば何ができるのか。オフラインの世界の人の行動データも集まるんです。人の動きを整理し、その全てにアクセスできる世界を作るんですよ。顧客とのプロジェクトに伴走し、一緒にそのアイデアを磨きに行ってほしい。

  • 量子コンピュータスタートアップ。これまでできなかった計算ができたら何ができるのか。一気に世界で見える景色が変わります。人に届く、越えるマシンができます。何年かけてもいい瞬間だと思いませんか。一緒に何が良いか、調べて探しましょう。

こういう話を聞いた時、皆さんならどれを選ぶんでしょうか。ビジョンやミッションと掛け算で、自分が何を役割にして、どんな世界との関係の仕方をするかの選択を突きつけられます。
本当に、どの世界を信じるか、どの世界に貢献したいか。自分の価値観で、心の向くままに決めたなと思う出来事でした。珍しく悩んだなあと。これまで事業に真剣に立ち会ってこなかったんだな、と。
一般的な話ではないかもしれませんが、やはり就職というのは一筋縄ではいかないイベントなんだなと心から感じた出来事でした。

何か気になることがあれば遠慮なく聞いてください。
あなたも良いキャリアに出会えますように。

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