くすりのたび

血液の中を薬が循環していく
まるで永遠にたどり着かない旅人のように
血液はやっと咽頭を薬に示す
まるで平体をくずし座った文体のように  

薬の放射が脳へと響く
脳はさぞかし迷惑だろう
患者の勝手でまた形を変えなければいけない

血流の波が薬を溶解していく
まるで永遠に届いてくれない恋文のように
血流にじっと残り香の薬が宿る
まるで平静を取り戻した赤ん坊のように

薬の放射は身体に消える
しかしまやかしなどでは止まぬ
患者の勝手でまた形を変えながら居着いている

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