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グリュック 詩抄 (1) Translated by Toshiya Kawamitsu

  たまご

 1

車のなかで すべて 行く
車のなかで 眠ったら
砂丘の墓地に 天使 立ち
行ってしまった すべて 行く
肉は くさって 豆 笑う
さやに おさまり くつ くつ と
知らずに ぬすんだ わたしたち
エドガータウンで聞いたこと
ころがり 落ちた キリストが
生まれたときの 飼葉桶
下着を 洗う 大西洋
太陽の海 ふれた とき
光 ただしく 水 むさぼる
エドガータウンを すぎた とき
別の道 行く わたしたち


 2

巨大な 手と 手は 空 高く
殺菌されて むらがって
みんな 肉食 捕食して
白く したたり 赤裸々に
魔法の杖へと ひらかれる
ランプは ゆら ゆら その メガネ
焦点 むすぶ わたし 見た
酔いどめ あなたは 犯させた
彼に わたしを 犯させた
どれだけ 長く ここにいる
過去の スプーン フォーク 見た
わたしの体は のびていく
涙のように 紙の上


 3

海を 感じる 夜 ふけて
いつものように 生を 噛み
入江に 湾に 網のなか
網の上さえ 危険です
ブルボン さざなみ 呼吸する
あなたと わたし むすびつけ
魚 浜辺を 横切って
うろこも ひれも うしなって
骨の家族は 固定され
ごみといっしょに つみあがり
から から から と 月の笛
のどは から から カラスガイ
のぞいた 肉体 貝殻は
盲目 かち かち しめつけて
惑星みたいに 飛んでいく
波は ベロニカ ハッチング
見て 見て 骨が まがってる
道を ゆずって まがってる
暗い 暗い 暗い 暗い
体の かけらを 受けとめる
ボウルを はこんできたけれど


THE EGG
Translated by Toshiya Kawamitsu

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