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「中身のない物語」に「中身」をブチ込む方法

今回は【「中身のない物語」に「中身」をブチ込む方法】をお話します。

本題に入る前にお知らせをさせて下さい!


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小学生のころから、絵の才能に恵まれた渡井蓮はその才能を過信し、自ら学ぶことをしてこなかった。
やがて成長し、才能だけでは通用しなくなってくると満足のいく作品が描けなくなってしまった。
そのことに絶望した蓮は、自分の殻に閉じこもり、自堕落な生活を何年も送っていた。
そんな時偶然、同級生だった岩谷英司と再会する。
学生のころ、ともに絵を学んでいた岩谷英司は、画家として大成功をおさめていた。
そのことに嫉妬し恨み募らせたは蓮は、勢いあまって岩谷英司を殺害してしまう。
蓮は、岩谷英司殺害後、彼が発表する予定だった油絵を盗み、自分が描いたものとして世間に公表してしまう。
その油絵をきっかけに、蓮の人生とその周りにいた人々の人生が大きく狂っていく。
人とは違う高みへ上り、そこから見える景色を渇望した男の、栄光と挫折と孤独。

あらすじ

こちらも併せてよろしくお願いします!



○【鬼滅の刃】から見る「中身のない物語」


それでは本題です。

以前、「中身のある物語」と「中身のない物語」について書きましたが、、、


その中で「中身のない物語」の方がヒットしやすい。「中身がない物語に見せて実は中身のある物語」がある。とお伝えしました。


実は最近は、「中身のない物語に見せかけて実は中身のある物語」がヒットする傾向があります。


最近だと【鬼滅の刃】がそうです。

一見すると鬼殺隊と鬼の戦い「中身のない物語」と思いがちな【鬼滅の刃】ですが、実は「中身」があります。

それは、鬼の過去を表現し、敵であるにも関わらず、見ている我々に鬼への同情、感情移入を促しているところです。

主人公の炭治郎が、倒した鬼に対し慈悲を与えるところもそうです。


わざわざ鬼の辛く暗い過去を明らかにする必要はありません。

鬼殺隊と鬼の、息もつかせぬ激しいバトル、命のやり取りだけで十分面白い作品です。

しかし、あえて一人一人の鬼の過去を明らかにし、なんならそこにスポットライトをあてて、より深い物語にしています。


これが「中身」です。


なぜ鬼が生まれたのか。なぜ鬼になったのか。
そしてそこにあるのは、飢餓や貧困、差別や侮辱など人間の悪意が関係していた。

これまでのジャンプ作品にはない、少し異質な作品だといえますが、社会現象になるほどのヒットしたことから、多くの人がこういった作品を受け入れた結果だと思います。


○「中身」を全く別方向から持ってきた【えんとつ町のプペル】

もう一つ、ちょっと違った感じの「中身」を入れた作品を紹介します。


キングコングの西野亮廣さんの【えんとつ町のプペル】です。

ベストセラー絵本を映画化し大ヒットしました。

実は【えんとつ町のプペル】も「中身のない物語に見せかけて実は中身のある物語」です。

しかし、その「中身」がちょっと変わっていました。


キングコングの西野亮廣さんと言えば、誰もが知ってるお笑い芸人です。

バラエティ番組「はねるのトびら」を筆頭に多数のテレビ番組に出演し、一世を風靡しました。

しかし、突然絵本作家を始めたり、「ひな壇にはでない」発言や、今では当たり前になった「クラウドファンディング」や「オンラインサロン」を始めて炎上したこともありました。


実は【えんとつ町のプペル】の「中身」は西野亮廣さんのこれまでの人生そのものでした。


【えんとつ町のプペル】の本編の中に主人公ルブッチの「誰か見たのかよ!」と有名なセリフがありますが、まさにこのセリフが西野亮廣さん本人の言葉です。

「クラウドファンディング」や「オンラインサロン」の内情を知らず、宗教だ!詐欺だ!と非難された自分の心の叫びでした。


【えんとつ町のプペル】は、「中身のない物語」なのですが、作者自身の物語をあえて織り込むことによって「中身のある物語」にしてしまったのです。


そしてこれは西野亮廣さんだからできることで、他の人ではなかなかできません。
全国的な知名度があって、あれだけの炎上騒動があったからこそ成立するかなり特異な方法です。


「中身のない物語」にあえて「自分という物語」を入れる。

非常に面白い方法で、SNSが常識化した現代ならではのやり方です。


○自分はどうするのか

私は小説家として自分の作品は「中身のある物語」にしたいと考えています。


しかしそれではヒットしない。


そうなるとやはり「中身のない物語と見せかけて実は中身のある物語」を狙って行く必要があります。

その上でもここで挙げた二作品はとても参考になる物語でした。


ぜひ今後の私の作品がどうなっていくのか、楽しみにしていてください。


最後まで読んでいただきありがとうございました。

それではまた次回の記事でお会いしましょう。
小説家の川井利彦でした。






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