統失2級

30歳の時に統合失調症と診断された男です。発症前はパチンコ店員やトラック運転手等をやっ…

統失2級

30歳の時に統合失調症と診断された男です。発症前はパチンコ店員やトラック運転手等をやっていました。今は精神薬のお陰で本が読める迄に回復し主に小説を読んでいますが偶にノンフィクションも読みます。noteにはショート小説や統失の闘病記や格闘技のエッセイや読書感想文等を投稿しています。

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【幻聴の話】 エッセイ

過去には、あれだけ僕の事をいじめて苦しめていた幻聴たちも今ではすっかり無害な存在に変り果ててしまい、今では完全に僕の暇潰しの玩具と化しています。現在の幻聴は僕が話掛けた時に返事をする程度になり、自分から話掛けて来る事は皆無です。僕は退屈な時に気紛れの遊び感覚で頭の中の声で幻聴に話掛けます。「お前は不細工だから天国には行けない」とか、「お前は臭いからベランダから飛び降りて死んでくれ」等と僕は言います。すると、幻聴は「何だと、お前の方こそ不細工だし臭いし死んだ方が良い」と返して来

    • 【死の宣告】 統合失調症2級男が書いたショート小説

      「あなたは2028年の8月2日に死にます」その占い師は深刻な顔で美紀に告げる。美紀は唖然として黙っていたが、連れの蘭紗が怒りを顕にする。「いい加減な事言って金稼いでんじゃないよ、美紀、帰るよ」そう言うと蘭紗は料金の4千円を机に叩き付け、美紀の手を取って退店を促す。美紀は占い師にもっと話を聞きたかったが、それを口に出せず、蘭紗の剣幕に圧倒されて、占い店を後にするのだった。 ファストフード店で美紀と蘭紗は向かい合って座りながら、ハンバーガーを頬張る。「本当に占いなんて全部インチ

      • 【オレンジ畑】 統合失調症2級男が書いたショート小説

        真夏の苛烈な太陽の下を1人黙々と歩く男が居た。汗で濡れたシャツが体に張り付き不快指数は絶望的に高い。風は吹くが、それは生暖かく森坂の小太りな体を癒やす事は無かった。競馬で負け、電車代も飲料水代も残っておらず、哀れな34歳の男は1人暮らしのアパートまで過酷な行軍を続けるしかない。腕時計に目をやると既に1時間40分は歩いていた。(質屋でもあればこの腕時計を売って電車代とジュース代を稼ぐのにな)と思いつつ辺りを見渡すが、そうそう都合良く質屋がある訳も無く森坂は落胆する。それでも気を

        • 【来訪者】 統合失調症2級男が書いたショート小説

          島本晴治はたった今、1つの小説を読み終えたところで狼狽して更には愕然としていた。その小説は『来訪者』というタイトルの小説で、晴治が驚いたのはその小説の主人公の人生が自分の人生と酷似していたからだった。主人公の氏名は山本晴彦と言い晴治の氏名と2文字が共通していた。また、家族構成も祖母、母、2人の姉と主人公の5人家族で、これも全く晴治と同じだった。そして、その4人の家族の下の名前も、1文字ずつが共通していた。作中では1番目の姉が高校生の時に急性白血病で早逝するのだが、晴治の1番目

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        【幻聴の話】 エッセイ

          【芸能界幹部会議】 統合失調症2級男が書いたショート小説

          「我々、古川興業の所属タレントであった宮田真が先日、古川興業を批判する記者会見を開きましたので、我々は宮田との契約を解除致しました。そして、向こう30年に渡って宮田をテレビ業界から干し、更に政府からの助成金である100億円を元手に、手下のタレントやネット工作員を使い宮田の悪評を日本中に撒き散らして行きたいと思っております。ご出席の皆さま方のご賛同を宜しくお願い致します」古川興業の専務を務める眼鏡を掛けた小柄な老齢男性が発言すると、他の出席者たちは異口同音に「異議なし」と返答し

          【芸能界幹部会議】 統合失調症2級男が書いたショート小説

          【魔女狩り】 統合失調症2級男が書いたショート小説 改訂版

          1384年、ドイツのとある地区のとある集落でダヤリ人の会議は開催されていた。その会議に於いて若きアシュカータは情熱的に声を上げる。「我々、ダヤリ人には霊能力がある。なのに何だ、この惨めな生活は、これは全て魔女たちの所為だ。魔女たちの魔力が我々の霊能力の活動を妨げている。魔女たちを排除すれば、我々の生活水準は必ずや向上する」その発言を聞いていた小柄で老齢なカーリシマが、諌める様に発言する。「それは危険な思想だアシュカータ、魔女たちに逆らうのは賢明ではない。魔女たちの魔力を過小評

          【魔女狩り】 統合失調症2級男が書いたショート小説 改訂版

          【筆頭大天使】 統合失調症2級男が書いたショート小説

          激しい風が唸りをあげ、容赦ない雨が窓を叩く。光哉は心の中で(停電だけはやめてくれよ)と呟きながら、マグカップ一杯の麦茶をゆっくりと飲み干し深いため息をつく。テレビの予報では3時間後の21時に台風はこの街に最接近する事になっていた。そして、いつもは駄洒落を連発している眼鏡を掛けた細身の中年女性の気象予報士も、この日ばかりは真剣な面持ちでこの台風を「猛烈な台風」と形容していた。光哉は毎週日曜日になると愛車のカワサキに跨り隣県のラーメン屋まで遠征するのを楽しみにしている男だった。し

          【筆頭大天使】 統合失調症2級男が書いたショート小説

          【オウムのケン吉】 統合失調症2級男が書いたショート小説

          金里将太はとある年の6月初旬の夜に不思議な夢を見た。それは昔、飼っていて死に別れたオウムのケン吉が出て来る夢だった。3年振りの再会に感激する金里ではあったが、ケン吉の方には特にそんな素振りは見られず、ケン吉は金里の部屋のテレビ台に立ちながら、「これは夢だ、スペイン、スペイン。これは夢だ、スペイン、スペイン」と坦々とそして延々に繰り返すのだった。起床した金里は(奇妙な夢だったな)と思いつつ、夢ではありながらもケン吉と再会出来た事に喜びを感じ、朝食のパンを食べながら1人で笑みを浮

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          ずっと肥満児だったけど、社会人デビューを切っ掛けにダイエットした話

          僕は30歳の時に統合失調症と診断された男ではあるけれど、今回はそれ以前の健常者時代の話をしていきたいと思います。 僕は物心付いた頃には既に立派な肥満児で小中高とバレンタインデーにチョコレートを貰う事は一度も無かったが、社会に出てから一念発起してダイエットに成功し、11人の女性とデートする事が出来た。1人は同い年の当時のパチンコ屋の同僚であとの10人はテレクラで知り合った女性たちだった。当時、21歳だった僕はダイエットに成功したとは言っても、腹には僅かな肉が残っており、そのパ

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          【神の使い】 統合失調症2級男が書いた超ショート小説

          昔々、草原の地にリハーダという名の村があり、その村には2人の兄弟が住んでいた。兄はヨウという18歳の少年で、弟はムサーカという14歳の少年であった。そして、この兄弟の両親は残酷にも侵略者たちの蛮行によって、5ヶ月前に命を落としていた。侵略者たちは50人程度で徒党を組み夜陰に紛れて突然、村にやって来ると、リーダーらしき人物が声高らかに「この土地は神が我々、カヤダ族に与えた聖なる土地である。よって、お前たちは3年以内にこの土地から出て行くのだ。3年後もこの土地に住んでいるリハーダ

          【神の使い】 統合失調症2級男が書いた超ショート小説

          【発情期】 統合失調症2級男が書いた超ショート小説

          札幌市に青田治久という1人の男が居た。青田はかつての製薬会社勤務時代に副作用の殆どないダイエット薬をほぼ1人で開発しており、会社から200億円の報奨金を受け取っていた。その後、青田は会社を退社し、まだ、30代後半の身ではありながらも隠居生活を送る事になっていた。青田には2度の離婚歴があったが、そのいずれの離婚もダイエット薬開発前の出来事であったので、報奨金は納税額を除いて丸々、青田の懐に入っていた。2度の離婚を経験した事によって青田の結婚生活への憧憬の念は完全に消滅する事とな

          【発情期】 統合失調症2級男が書いた超ショート小説

          【鬼神】 統合失調症2級男が書いた超ショート小説

          窓の外の暗闇に閃光が走り、2秒ほど後に雷鳴が轟く。(近いな)湯地慶彦は心の声で呟き、僅かに警戒する。しかし、その後は閃光が走る事も雷鳴が轟く事も無かった。その内、強めの雨が降り出して来たので、慶彦は窓を閉じカーテンも閉じる。煙草を一服した後、壁時計を見ると24時半を回っていた。慶彦は寝る事にした。 翌朝は7時半のアラームによって目を覚まし、8時丁度にマンションの部屋を出る。そこまでは、いつもと同じ日常だった。しかし、1階のマンション出入口まで足を進めた所で慶彦は我が目を疑う

          【鬼神】 統合失調症2級男が書いた超ショート小説

          【青葉被告への死刑判決に思う事】 エッセイ

          一方的な被害妄想の下、京都アニメーションに放火し36人もの尊い命を奪った青葉真司被告に本日2024年1月25日、死刑判決が下された。青葉被告側が控訴する可能性もあるが、僕個人の意見としては青葉被告にはこの判決を粛々と受け入れて、その命を断つ事で潔く罪を償って欲しいと思っている。36人の無辜の市民を殺害するというのはそれほど重大な罪であるのだ。(翌26日に弁護団が控訴を発表)僕も統合失調症を患う1人の男ではあるが、昔、精神薬を断薬していた頃は集団ストーカーの被害妄想が極度に悪化

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          【理不尽な幸福】 統合失調症2級男が書いた超ショート小説

          目覚めたが体が動かせず、声も出せない。そして何故か後頭部がヒリヒリする。カーテンの隙間から光が差し込んで来る様子もないので、まだ夜明け前だろう。金縛りは人生始めての経験ではあったが、中迫浩文はそんな状況下にありながらも、それほど恐怖を感じてはいなかった。浩文は統合失調症の36歳の独身の男である。6年前に統合失調症と診断され現在は障害者年金で暮らしている。そんな、浩文は最近とある考えに取り付かれていた。それは、この世界はコンピューターによる仮想現実の世界であり、自分は何故か、そ

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          【亀の恩返し】統合失調症2級男が書いた超ショート小説

          昔々、南の島にトゥクブという13歳の少年が居た。トゥクブの母親はトゥクブを出産した日に亡くなり、トゥクブの父親は4ヶ月前に漁に出た切り帰らぬ人となっていた。トゥクブは伯父に漁を教わりながら、父親が残した小さな家で1人暮しをしている。そして、今日も朝から日暮れ前までトゥクブは伯父と2人で小船に乗り漁に出ていた。釣果は、程よく大きな魚が6匹で、伯父が5匹の魚を受け取りトゥクブの取り分は1匹だった。船は伯父の物であり、トゥクブの仕事はあくまで助手的な物であったし、伯父の家は7人家族

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          プロレスに付いて思う事

          1953年に力道山が日本プロレスを旗揚げしてから、2001年にミスター高橋がプロレス界の内幕を描いた暴露本『流血の魔術、最強の演技』を出版する迄の48年間。日本のプロレス界は手を変え品を変え、または徹底的に理論武装してファンを「プロレスは格闘技」と洗脳していた。力道山の「プロレスはショーだと言われがちだが、今後はその様な疑いが持たれる試合は行わない」という発言。そして木村政彦への試合中の裏切り。アントニオ猪木の「あいつ等(全日本プロレス)は見せる為の稽古をするが、うち等は真剣

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