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「お金があればイノベーションって起こせるとみんなは思う?」

サムネイルに毎回使わせてもらっている「いらすとや」ってめちゃくちゃイノベーティブだよなぁ…というのはさておき

先日社内のミーティングで「イノベーション」の話になった。一体それは何で、どうやったら起せるのかという議論をした。イノベーションの定義や学術的にはよしとされているアプローチは聞いたことがあったけど、実際の現場で通用させようとすると簡単ではない。そんなことを切に感じるミーティングだった。

イノベーションは既存の知識の組み合わせ

イノベーションとは、突飛だったり枠にとらわれない発想のことではなく、既存の知識の新たな組み合わせであるという定義がよく使われている。故に、同じチームでずっと議論していると、知識の組み合わせが枯渇してくるのでイノベーションは起こらなくなる。それを解決するためには、自分たちの外にある知識を探索して、自分たちの持っている知識を新しく組み合わせる必要が出てくる。知識のバリエーションを増やせば良いので、色んなことを学んだり、新しい人をチームに招いたり、場合によってはCVC投資や買収をすることが必要だと言われる。

尚、国家ぐらいの単位でイノベーションを捉える場合、「突っ込んだお金と人」だと説明のつかない生産量の増加をもたらすもの、という定義もあるらしい。でも今回の舞台は「ビジネスにおける今ここの現場」なので一旦忘れる。

機会損失や社内での評判との戦い

イノベーションの定義より、イノベーションとは「どれだけ知識を増やし」「どれだけ組み合わせを試すか」かということになる。こう考えると、より困りやすいのは、後者だろうと思う。つまり、知識量ではなく、イノベーティブなアイデアを組み合わせて試す部分の方が困難に直面しやすそうに感じる。なぜなら、イノベーションを起こすためには、いつもやっていること、つまりある程度成功する見込みがあることをやめて時間を確保しないといけないからだ。そして時間というのは、結局お金だ。

「お金があればイノベーションって起こせるとみんなは思う?」

とミーティング中に質問した人がいた。とても良い質問だなぁと思って少し考えてみた結果、少なくとも機会損失は発生するという意味で、お金がないとイノベーションは起こせないだろうなと思う。機会損失だけではなく、実際は自分の評価もリスクに晒すことになる。というのも、イノベーションを起こすことに時間を使おうとすると、明らかに既存事業への貢献が目減りするから。そしてそんな困難を乗り越えてイノベーションの種を見つけられたとして、そこから予算を確保し、しかもほとんどの確率で失敗するという現実と向き合う必要がある。

そう考えると、イノベーションを起こすというのは、個人やチームの気持ちでどうにかなる問題でもないのかもしれないと思う。会社の仕組みがそれをサポートしている上で、周りへの期待値コントロールやコミュニケーションが得意だったりしないと、考え始めることすら難しいものなのだと思う。

コンピテンシー・トラップ

ってな感じで、「やっぱり学術的な議論は現場とは乖離しているよなぁ。実際は知識の幅とかじゃなくて、社内のルールやの立ち回りなんだよな」なんて思っていたら、コンピテンシー・トラップというコンセプトですでに学術的に説明されていた。

コンピテンシー・トラップとは、企業・組織が「できることをもっとうまくやる」ことに傾斜する傾向があることを言うらしい。イノベーションが重要だとはわかっていても、経済的、人的、時間的にコストがかかるため、理屈ではわかっていてもそこに力点を置けない「罠」にかかってしまうというわけか。

まあでもそういうことではなく、

どうやったら質の高いブレインストーミングができるの?みたいな話ですよね。

参考にした本:世界標準の経営理論イノベーターのためのサイエンスとテクノロジーの経営学

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